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”相手を思って”という自己満

先日、大好きな彼氏に別れを告げた。
理由は少しでも私と考えが異なると、強い口調でそれは違うと言ってくることに疲れたからだ。
愛を教えてくれた人、本気で愛した初めての人。

愛してる、だけど。

年上だからか。私に常に正当化したがり、優位に立とうとしていた。
こう言ったらこう言うからやめておこう、と我慢の日々はもちろん長くは続かなかった。

相手を傷つけないことを重視する私と、素直に感情をぶつけて傷つけたら謝ればいいと考える彼。
どちらが正しいとかは無いけど、たぶんお互い疲弊していただろう。そして別れた。

あなたの普通は私の普通じゃないよ

彼の口癖は「は?普通に考えたら分かるでしょ?」だった。
半場呆れたような、バカにするような口調で。
どんどん自分のHPが削られていく感覚がした。

彼は都会育ちのお坊ちゃん、私は18年間田舎で育った上京組。
きっと彼から見たら私は世間知らずで危なっかしく、守らなきゃ!と思っていたのかもしれない。

でも分からなかった。
マナーや礼儀、人を傷つけないことができてりゃ、はなまるじゃないか。私の人生は私のもの。アドバイスは良いけどそれは間違っているなんて言わないで。あなたにとって良くても私にとって良いとは限らないんだから。責める口調で言うのはやめて。

かつて年下元カレに私の考えを押し付けていた

きっと彼は良い先輩でいたい、頼れる彼氏でいたい、人生の先輩として指導したい、そんな想いが強い人だったと思う。
それがいつしか私の意見を否定することで優位に立ち、威厳を示すようになっていた。

自分自身を振り返ると、年下元カレに彼と同じことをしていたのに気づいた。ひどくショックだった。

年下の彼が受験の時だった。
私の大学を目指すために浪人すると連絡がきた。
理由は私と同じ大学に行くことで、私の両親に認めて欲しいらしい。恋人関係でも自立した関係を理想とする私にとって、進路を好きな人で決めるのが理解できなかった。

「私の大学は面白いし良いけど、私がいるから来るってのは違うと思うよ。あなたの人生はあなたのもので私のものじゃない。自分だけの人生にとってどの選択肢がいいのか考えて決めるべき」
と伝えた。

私の中の正論である。今でも意見を聞かせてと言われたらこう言うだろう。
だが、今なら間違っているとわかる。

相手の人生は相手のもの。私が口出すことでは無い。
彼が私を理由に、同じ大学に進学するのを止める権利は私には無いのだ。
自分の人生、自分で考えて納得した道に進めば良いのだから。

相手を尊重するということ

”尊重する”とよく言うけれど、距離が近くなるほど自分と同じ人間だと錯覚し、難しくなる。
恋人であれ自分と違う軸で生きていることを忘れてはならない。

尊重するとは、相手の考えや行動が自分の正解と異なっても考えを受け入れて背中を押すことだと考える。

愛する人ほど葛藤が生まれる。上っ面の思いやりではなく、真の尊重ができる人でありたい。


あとがき
関係が密になるほど尊重が難しくなる。
また年を取るほど自分の中で物事の判断基準が明確化し、自分なりの正しさが確立してくる。

親子関係でも言えるだろう。
私は大学1年の時、インドに行った。その際兄は危ないから絶対だめだと反対したが、母は行っておいでと許可してくれた。母は海外経験も私や兄より少なく、インド=危ないのイメージが強いと思う。「よく行かせてくれたね」と聞くと「心配だし行ってほしくないけど、子供の意思は尊重しないとね。子供の人生は子供のものだからね。」と言っていた。

どんなに近い関係でも、生きる軸や正しさの基準が自分とは異なることを忘れてはならない。

大体の反対発言は”相手を思って言ってる”との言葉で正当化される。
反対意見、違う考えを伝えても良い。むしろ伝えることで新たな発見もある。
だが人道に反する以外、相手のやりたいことの背中を押すのが”尊重”だと思う。

恋人、親、子供は深い関係でも違う軸で生きている他人であるのだから。

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