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「構造医学」について

構造医学とは熊本の吉田勧持さんという方が生み出した医学体系です。地球の重力に着目し、重力に応じているか否かということを一つの基準として疾病の診断や治療に役立てようという考え方です。業界でもそれほどメジャーではありませんが、かれこれ40年位の歴史があります。

私が構造医学を初めて知ったのは、この業界に入ってすぐの15年ほど前です。私が初めて勤めた整骨院グループに構造医学を勉強されている先生が何人かいらっしゃいました。
当時はその内容など分かりませんでしたが、構造医学を勉強されている先生は皆さん好感が持てる(やや偏屈ではありましたが、患者さんを良くしたいと本気で考えている)方々ばかりだったので、これは良いのではなかろうかと思い勉強を始めました。

勉強を始めて思ったことは、「これがこうだからこうなる」という理路が整然としているということです。それは吉田先生が何故何故何故という問いを立て続けた結果であるわけですが、非常に論理的です。
もちろん人の身体や治療が全て理屈で割り切れるわけではありませんが、プロフェッショナルとして治療を行っていく以上、疾病の本態、発生機序を理解し、それを論理的に説明できることは最低限必要なことであり、その上で治療の再現性を高めていかなければならないと思います。
こういったことはどんな仕事でも当然のことであり、人の身体に直接影響を及ぼすこの仕事は尚更しっかりしなければならないと思うのですが、残念ながらこの業界には「この症状にはこれが良いって聞くし」とか「この前やったらちょっと反応が良かったから」といった考えで治療をする人が非常に多いです。それではいかんなと思うのです。構造医学にはそういった曖昧さはありません。本質的に必要な処置しかしません。

私は構造医学診療をされる先生の下で2年ほど働きました。その間、色々とご指導を受けたことはありますが、それ以外は独学で勉強してきました。非常に難しく物理学や化学などの知識や理解も必要でまだまだ先は長いです。学会にも所属していませんし、お免状を受けているわけでもないので、普段構造医学の名を出すことはありません。ただ臨床において人を診るとき、構造医学の考えが私の基本になっていることは間違いありません。診断に迷うことはありますが、人が生きていく上で何が必要で何が不要かという基準が自分の中にあれば慌てることは無くなりますし、自ずと治療の道すじが見えてきます。

世の中に治療法は星の数ほどありますが、結局治すのは患者さんの身体自身です。身体に本来備わっている自然治癒力が発現し平癒に向かうのです。私はその自然治癒力が発現しやすい環境を作るにはどうしたら良いかを考えます。魔法のような治療はありません。コツコツと日々積み重ねるしかないのです。治療家はただの道先案内人です。それが構造医学を15年間勉強し、臨床を続けてきた私の考える治療です。

過剰な治療を求める方、強い刺激に慣れた方には物足りなく感じられるかもしれませんが、問題の解消に向けた道すじは確実につけます。何処に行っても良くならない、本当に良くなりたいという方は是非いらして頂ければと思います。

ただ自身の身体や症状への向き合い方は人それぞれです。根治を目指すだけが治療ではないと思っています。筋肉や骨格の問題に対して幅広く対応し、患者さんそれぞれの思いや生活に寄り添った最適な治療ができる、そんな治療家でありたいと思っています。

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