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SIGMA fp 1ヶ月使用レビュー 前編

※これは単なる言い訳です


かくかくしかじか

実は12月にNikon Z30を購入していた。
理由は種々あるけれど、すでに手元にはX-Pro3があり、レンズは自分のなかで暫定の正解に近いNokton35mm/1.2をつけ、ほぼ常に襷掛けで持ち歩き、ファインダーを覗きながら撮る写真はこのカメラが現状理想的で全て事足りている。けれども仕事中やそれ以外でも、もう少しだけでも手軽に写真を撮り歩きたい時に背面液晶で見ながら撮れて、なんなら液晶を見ずにでも撮れるカメラを探していた。
過去にGRⅢを使っていたこともあるけれど換算28mmという画角に手こずり、買っちゃ売りを2回もしていた。手軽さコンパクトさ故のグリップ感の低さも、それは機動力とトレードオフなのだけれどどうにか自分の身体をカメラに合わせきれない感じがしていた。それにGRはいつでも手に入れられる状況でもないので今回は見送りにした。

そうなった時に、ある程度安価で/現行機種で/中古品も在庫がそこそこあり/グリップ感と機動力がいい塩梅で、となるとNikon Z30とLumix G100で迷っていた。どちらも家電量販店で触り、色々とレビューも漁り、最終的には操作感と物としてのビルドクオリティの良さ、特にダイアルやボタン配置が体に合っていたZ30に決めた。それに、Nikon機はレフ機時代のD7000とD750を短期間使っていて、その時も写真としての正しさみたいなものを教えてくれた教訓もあって若干の親しみがあった。当時はレフ機の重さに身体が耐えきれずに持ち歩けなくなり手放してしまった。また、Nikonのメニュー画面の分かりにくさやAFの操作感など細々とした不安もどうあれ、Z30を購入ししばらくパシャパシャと写真を撮っていたが、一つの疑問というか迷いというか、突如生まれる。

※要は言い訳です


正しさ

よく言うように、Nikonで撮られる写真は、「正しさ」の一つだと思う。線は細く端正で、色は少し薄めだけれどどこかを突出させて色をつけるようなところはない。薄味とも言えるけれど、逆にいえば自分の好みの味にしやすいとも言うかもしれない。撮って出しのJpegスタンダートも、ガチャガチャと弄らなくても「綺麗な写真だ…」と思う写真が多い。「正しさ」の一つの答えかもしれない。
あまりに、富士フイルムとNikonとで出てくる写真の方向性というか、目指しているものというか、どちらが良い悪いではなく、当たり前のことではあるのだけれどかなりギャップを感じたのだった。同時に「写真って何だろう、正しい色味・写りって、そもそも写真ってなんだろう」と思うことになった。

Z30 作例


富士フイルムと比べて

どちらが正しい写真なのかと言われるとNikonだと思いつつ、自分にとっての自分の撮りたい写真が撮れるのは富士フイルムという裏付けがだんだんと降り積もり、いや?自分にとっての撮りたい写真とは?と思うようになっていた。
正しい色や大げさでない端正さや描写を持って写真を撮りたい気持ちよりも、自分の感情を乗せることのできるような(気がする)色味、尖りすぎない・行きすぎない解像度、自分やそれ以外の至らなさを残させて、甘えさせてくれる許容範囲の広い人間味、のような。独特とも言えるような捻じった後の色も、捻れているのが自分と重なるのか?だから、撮りたい写真が撮れている(ような気がする)のか?など、色々考えていた。

何より、これらの思考はこうやってNikonのカメラで写真を撮らないと、試さないとわからないものだったと思う。実感としては写真を撮るという道具としての完成度、操作性は明らかにNikonのほうが上位で、背面液晶がバリアングルということは自由度の高さにおいて優位だった。(ここに関しては自分がするスナップや撮影にはそこまで利点がなく、固定液晶で困らないということもわかったところでもある。)商品撮影や純粋な記録撮影にはNikonが適しているのだろうなと思った。

※こちらも言い訳です


どちらが自分にとって、使い続けたいと思えるカメラなのか

という津々浦々の使ってみて、Z30はいい道具だということは本当によく分かり、仕事で求められるような完成度の高い正しい写真が撮れるという反面に、自分らしいというには烏滸がましいが、撮れる写真はなんとなく自分らしい写真ではないなという実感がだんだんと積み重なってしまい、ぼんやりとした不満とも言えぬ不安のような気持ちの変化に悶々としていたら、年末のとある日に突然の稲妻が走る。


かねてより敬愛して記事を読ませていただいている記憶カメラさんが新しいカメラを購入していた。「SIGMA fp」だった。発売した当時から存在は知っていたし興味はあったのだけれど、カメラのカの字も知らないその時の自分にはあまりに手を出しにくく玄人向けのカメラじゃないかと思ったことを覚えている。だがそれはあくまで過去の話で、今ならなんとか持ち出して、使い方を覚えて、もしかしたら撮りたい写真が撮れるのかも…?と小さい稲妻が走った。加えて、フルフレームカメラでは最軽量クラスの重量とサイズ感で持ち歩きはしやすいだろうし、Lマウントのレンズはピンからキリまで揃いつつあることも知っていた。SIGMAのIシリーズラインのレンズには富士フイルムでお馴染みの絞りリングも付いていて、前後ダイアルで操作は問題なくできるだろうし、背面液晶のみの撮影で事足りることも事もZ30の経験から大丈夫だろうということは肌で感じていて、防塵防滴などの堅牢性、本体拡張性の高さ等々、ビジュアルも好みであることも背中を押し切り、実物を触って買うかどうかの確認をする前に某カメラショップで店舗受け取りの予約をし、1時間後には受け取っていたのだった。

※壮大な言い訳です



これは…これか…?

SIGMA fp 作例



次回、本編です。


※以上、SIGMA fpを買うための言い訳でした



夏はアイス、秋は焼き芋、冬はおでん、春はさくらもちを食べます