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【建築学生へ!】設計弱者の私が 1位 を取った8つの手順 1:建築の機能(プログラム)の本質

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こんにちは、高橋向生です。

前回の「0:設計の手順 その伝えかた」につづく内容です。

ハッキリ言っちゃうと今回の話が一番重要です。


目次 全7章

・本質とはなにか
・なぜ本質を見極めるのか
・どうやって本質を見極めるのか
・見極めて、なにがあるのか
・それが次の問題提起にどうつながるのか
・気をつけてほしいこと
・まとめ

本質とはなにか

いきなりそんなことを言われても、なにそれって感じですよね。
ここでいう本質とは「本来あるべき姿」を定義づけることです。
はじめに本質を見極めておくと、のちのコンセプトやエスキースをしたときの、信念となり、考える軸となります。

例えるなら建築の基礎のような、それがなかったら建築が成り立たない、でもあまり注目されない存在。それが本質です。

なぜ本質を見極めるのか

さきほどかいた通り、本質の見極めは設計やエスキスの信念や軸となります。
そして、相手に共感してもらう第一歩にもなります。

かりに、最初に問題提起からはいってしまうと共感よりもさきに、疑問がうかんでしまいます。僕がかんがえた小学校を例に紹介します。

✖ 問題提起をいきなり行った場合
 最近の小学生はゲームやネットに集中し、直接的関わりによる学びや興味の拡がりが薄まっています。

「いや、それが小学校とどう関係しているの?」と突っ込まれたり、疑問視される方が多いと思います。
このように、いきなり問題提起されても、共感できなかったり、理解されないことが多いです。
そうならないために「本質の見極め」です。

本質を見極めて、最初に伝えることで、聞き手に共感してもらい、話に引き込みます。


どうやって本質を見極めるか

本質を見極めるためには、膨大な調査が必要です。
調べる項目は以下の9つになります。

・機能(プログラム)自体の歴史
・利用者の生態
・現代社会が求めているもの
・機能(プログラム)に求められる社会的欲求
・機能(プログラム)に適した気候風土
・機能(プログラム)の文化と精神性
・機能(プログラム)と産業、経済との関わり
・類似施設の調査と分析
・課題出題者の隠れた意図

めっちゃあるので、正直骨が折れます。
なので早い段階で、調査をすすめて、必要な情報だけを集めなきゃいけないです。
細かい例えを「1.5 本質の見極め方」にかいておくので、そちらもどうぞ。

見極めて、何があるのか

本質の見極めは、相手に否定されない強力な武器になります。
なんとなく考えていたことも、しっかりと文献調査をすることで、自分の考えに自信を持つことができます。

そうやって、自信をもって最初に本質をいうことで、相手は共感をしめしてくれます。

一例として、僕が設計課題を行ったときに考えた本質を紹介します。

ゲストハウス「安く提供するため、都市に機能を依存した宿泊施設」
美術館「人々が感性を磨き、生涯残る感動を得る施設」
小学校「低学年で社会のルールや基礎を学び、高学年から自分の興味を見つけるなどの、多様な学びを得る施設」

見たらわかる通り、わりと普通のことをいってます。
そんなんでいいんです。そんな普通のことを自信を持って相手に伝える。
普通のことなんで、相手は共感をしめしてくれます。

そうやって、相手に話を聞いてもらえる道を切り開くことが大切です。

設計概念(コンセプト)はよく否定されたり、批判されたりすると思います。
ですが、本質はあたりまえのことを、普通にいって相手に伝えるだけなので、簡単に否定されることはないと思います。


次の問題提起にどうつながるのか

さきほどかいた文章で、問題提起からはいって失敗したものがありました。
その反省をいかして、こんどは本質から説明してみます。

〇 本質から入った場合
 低学年で社会のルールや基礎を学び、高学年から自分の興味を見つけるなどの、多様な学びを得る施設が小学校です。
 しかし、現代の子供たちはゲームやネットに集中し、直接的関わりによる学びや、興味の拡がりが薄まっています。

おそらく、さきほどの問題提起からはいった文章よりも共感しやすくなったと思います。
(全員がそう感じなかったかもしれませんが……。)

相手がきく姿勢になるよう本質を伝え、問題提起につなげる。
そうやって次の話へつづいていくように設計を考え、伝える手順ができていきます。

気をつけてほしいこと

本質を見極めるときに気を付けてほしいことがいくつかあります。
それは

・かっこつけた言葉や、変な言葉をたくさん使わない
本質などの本来あるべき姿を考え、伝えるためにはわかることばでかかないとダメです。それでは相手がきく姿勢になりませんし、設計の軸がブレてわからなくなります。
・自分の言葉でかく
本質を見抜くために調査を行います。そのときに本に書いてあった一文をそのまま使ったり、だれかの話を借りてかかないでください。
あくまで本質は、作者の知識の集大成です。
なので、作者自身だから言える言葉で、作者の言葉で考えてください。
それによって、自分の信念として強く自信を持って話すことができます。

この2点に注意して考えることで、相手に共感してもらえます。
しかし、本質で共感してくれなかったら、あとの話も共感してくれないことが多いです。
最初につまづいた状態で話してもなかなか伝わりません。
必ず、相手が分かる言葉で話しましょう。

まとめ

最後にまとめますと、

・本質とは「本来あるべき姿」を見極めること
・本質は自分の強い信念となり、相手に共感してもらう一歩となる。
・本質の内容はわりと普通なこと。普通を相手に伝える。
・本質を伝えて、本質とズレた問題提起へ繋げる。
・本質を伝えるときは、かっこつけずに、自分の言葉で話す。

以上になります。

次は「2 本質からズレた社会問題」についてお話します。

その前に、おまけとして「1.5 本質の見極め方」も、どうぞ。

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