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短文学集

25
筋も思想も体系も、全部気にせず楽しむことを短文学と称して日々の感傷を綴る。
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#夢

霧向こうの紅

霧向こうの紅

 夢の中の私は少年で、同じ年頃の子供らの群れにいた。やたらと重たい色をした校舎の壁が酷く私を圧迫し、無邪気な他の子らの声は膜の向こうで鳴っているように遠い。教室は曖昧な私の意識を反映したように、隅の方でぐにゃりぐにゃりと、ところどころ歪んでいた。
 私はただ帰りたくて。まだそれが出来ないと知っているから、イヤホンを両耳に刺した。あの甲高く光沢のある金属質の笑い声や、木製の床を椅子が引っ掻く音。避け

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宵の劇薬

宵の劇薬

 頬に冷たさを感じて、確かめる指先が湿った。いつの間にか寝てしまっていた、そして、目が覚めてしまった。
 夢を、見ていた。開いた目に、瞼の裏と同じ暗闇が映る。少し前まで、この目に映っていたはずの光景は、もうどこを探しても見当たらない。狭いワンルームに圧縮された闇に締め付けられるような、そんな微かな痺れが、脳から手足の先へと伝っていく。
 今頃になってもまだ、あんな夢を見てしまう。そしてその夢を、あ

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