見出し画像

メディカル英語<視診・触診>Objective#7(手関節)

今回の可動域確認フレーズは手関節です。
厳密には回内や回外は近位の橈尺関節(肘関節付近)の動きですが、手首の動きに見えるので、ここに含めています。


手関節

掌屈

bend your wrist to the palmar side.
flex your wrist.
Curl your hand towards your forearm.

解剖学の専門用語では、掌屈はwrist flexionです。なので、本当は2つ目のフレーズが一番シンプルでわかりやすいかもしれませんが、flex自体は「曲げる」という意味なので、解剖学を知らない人はどちらに曲げるのがwrist flexionなのかわからない場合があります。
もしwrist flexionがどの動きのことを示しているのかわからない患者さんであれば、最初にwrist flexionはこういう動きだよと紹介しておくのがいいと思います。
curlは丸めるとか、巻くという意味があるので、手首を前腕に向かって丸めてくださいと伝えれば、掌屈をしてもらえます。
伸展方向や横方向への動きは「丸める」「巻く」という動きと一致しないので、3つ目のフレーズを聞いて手首を伸展する人はいません。

背屈

Bend your wrist towards the back of your hand.
Extend your wrist.
Bend your wrist backward.
Move your wrist backward.

手首の背屈の解剖学用語はwrist extensionです。ただし、掌屈と同様にextensionと言っても伝わらないことがあるので、その時には先に用語の説明をするか、実際にやってみせることが有効です。
Bendは屈曲のことを指すのですが、解剖学的な屈曲ではなく、「曲げる」という行為すべての屈曲のことを指すので、体幹の可動域の確認のときにも紹介したようにbend backwardで「後ろに曲げる」という意味になり、背屈を意味することができます。
少し長く感じるかもしれませんが、一番シンプルでわかりやすいのは1つ目のフレーズですので、ぜひ覚えて使ってみてください。

尺屈

Bend your wrist towards the pinky side.
Move your wrist sideways, towards your pinky finger.
Bend your wrist to the side, away from your thumb.

Pinkyは小指のことを指します。それ以外の言い方としてlittle fingerもあります。なので、pinkyの部分をlittleにしても大丈夫です。ちなみにthumbは親指です。よくカタカナにしたときにサムとよばれているものです。その他の指の名前はこちらの記事で紹介しています。「<基礎知識>上肢部位編
ちなみに尺屈の解剖学用語はulnar devationですが、一般の人は殆ど知らないと思います。

橈屈

Bend your wrist towards the thumb.
Move your wrist sideways, towards your thumb.
Bend your wrist to the side, towards your thumb.

尺屈と反対にすればいいだけなので、小指の部分を親指にしてください。
ただ、尺屈の最後のフレーズは「親指から離れるように」と書いていますが、個人的には撓屈をするのに「小指からはなれるように」とは言わない気がします。うまく言えませんが、親指は誰でも知っている"基準になるもの"なので、「親指に向かって」なのか「親指から離れるように」なのかで表す気がします。
また、もし先に尺屈をやっているのであれば、尺屈を指示したあとに、do the other way.とかthe other way too.もしくはmove it to the opposite direction.などと指示すれば、尺屈と"反対のうごき"をしてくれます。それはつまり、撓屈になります。

回内

Palm down.
Rotate your forearm so your palm is facing the floor.
Turn your palm to the floor.
Twist your forearm so that your thumb is pointing down.
Reach your arm in front. Then rotate your forearm inward until your palm is facing outside, if you can.

一番シンプルなのは最初のフレーズで、直訳すると「手のひら下」ですが、要は手のひらが下に向くように手首を動かしてくださいという意味です。
2つめと3つめは同じことを違う単語を使って言っています。2つ目は前腕を回旋して、手のひらが床を向くようにしてください」という言い方で、3つ目は「手のひらを床に向かって回してください」と言っています。ここまでは全て、手のひらが下を向いた状態まで持っていくように指示しています。
橈尺関節だけの可動域ではだいたいそれぐらいが普通の可動域ですが、肩の内旋と組み合わせればもっと動きます。
それが、4つ目と5つ目のフレーズです。4つ目は「前腕を回旋して、親指が下を向いているようにしてください」という意味で、5つ目は「腕を前にのばしてください。そして、できれば手のひらが外を向くまで前腕を内側に回旋させてください」という意味です。
ちなみに、解剖学的肢位anatomical positionにいる人に前腕を回内してもらったら手のひらは後ろを向くはずなので、その肢位にいる人にはrotate your forearm so your palm is facing backward"というようにfloorの部分をどちらに向いているかという方向で表す方法もあります。

回外

Palm up.
Rotate your forearm so your palm is facing up.
Turn your palm up.
Twist your forearm so that your thumb is pointing out.
Rotate your forearm outward as far as you can.

こちらも一番シンプルなのは最初のフレーズです。
回内を指示するフレーズと違うのは方向だけなので、フレーズ自体はほぼ一緒です。
撓屈のところでも紹介しましたが、すでに回内を指示してやってもらったあとの回外の指示だったり、またはその逆のとき、the other way.とかその他前に紹介したフレーズを使うとスムーズです。また、回内回外の場合は、体位変換編でも紹介したflip. もしくはflip it over.などという指示も使えます。

指の屈曲、伸展

Bend your index finger.
Extend/straighten your pinky.
Bend only your thumb.
Thumb up.
Extend/straighten this finger.
Can you bend only this joint?
Can you straighten only this joint?

屈曲と伸展のフレーズは、以前この記事で紹介してますが、あまり指のことには触れてなかったので、復習のために入れておきました。
1つ目と2つ目のフレーズがそれぞれ屈曲と伸展の一番シンプルな言い方だと思います。指の名前はこちらの「<基礎知識>上肢部位編」を参考にしてください。
この指だけ曲げてくださいと言いたいときは3つ目を使いましょう。
thumb upは、日本でよく言う「グッドサイン👍」のことです。この形は親指を伸展させているので、同じ動きをさせるのにextend your thumbという指示でも文法としては間違ってないですが、親指の動きは複雑で一般の人には親指の伸展がどの動きを指しているのかわからないです。thumb upであれば一発で伝わります。
jointは関節という意味でしたね。手関節はとんでもない数の関節があり、動きが複雑です。そして患者さんはどの関節がなんて名前だったかは覚えていないので、this joint「この関節」と指定して上げると伝わりやすくなります。関節の名前は一部ですがこちらに紹介しています。

握る、拳を握る

make a fist.
make a fist with your thumb inside.
Grip my fingers as tight as you can.
Squeeze my hand as hard as you can.

fistが拳という意味です。なので、make a fistで「拳を作ってください」という意味になり、スムーズな日本語にすると「拳を握ってください」になります。
採血する時やマルファン症候群のテストの時などに、親指を中にしまって拳を握ってもらう時がありますが、そんなときは2つ目のフレーズを使ってください。
3つ目と4つ目は握力をテストしたいときに使えるフレーズです。
3つ目は、「私の指をできる限りきつく握ってください」という指示で、私は自分の人差し指と中指を握ってもらう時によく使っています。
4つ目は、「私の手をできる限り強く握ってください」という指示です。
個人的には手を握ってもらうと、成人男性の握力で本気で私の手が折れそうになるので、指をよく使います。指であれば私も痛くないですし、左右同時にやってもらって、握力の左右差も調べられるのでおすすめです。
指を握ってもらう時には、よくsqeeze my fingers as hard as you can. Break my fingers.「指をできる限り強く握って。私の指を折ってみて」と煽ります笑 

手を開く

Open your hand.
Spread your fingers.

open your handは、拳を握ってもらう行為の反対の行為で、手を目一杯開いてもらいたい時に使います。指も反り返ってるぐらいの開き具合のイメージです。
spread your fingersは、文字通り「指を広げてください」という指示なので、open your handのような指が反り返るイメージはありません。四つん這いの姿勢や腕立ての姿勢で、しっかりと手を広げてほしいときの指示は、spread your fingerの方がいいと思います。なぜなら、指を広げて、しっかりと地面に置いてほしいからです。

指を閉じる

Put your fingers together.
Bring your fingers closer to each other.

Put togetherでくっつけるという意味になります。
なので、put your fingers togetherで「指をくっつけてください」という意味になり、つまりは「指を閉じてください」という意味になります。
もし、バディーテープをする時に、例えば「薬指と小指をくっつけてください」と言いたい時には、put your ring finger and pinky togetherといいましょう。
2つ目のフレーズは必ずしも指をくっつけてというニュアンスは無いのですが、それぞれの指を近づけてくださいと意味で使います。手は開いていてほしいけど、指をそこまで開いてほしくないときは2つ目のフレーズをつかうと、少し指同士を近づけてくれます。

対立

Touch the tip of your index finger with the tip of your thumb, like making a small circle.
Touch the tip of each finger with your thumb.

対立運動は親指の動きで、人差し指から小指までそれぞれの指の先に親指をくっつける動作をいいます。
最初のフレーズは、「人差し指の先を、親指の先で触ってください。小さな丸をつくるみたいに」という意味です。ちなみに、親指と人差指の対立であればok sign(オーケーサイン)でも通じますので、make an OK sign like this「こんな風にokサインを作ってみて」と指示することもできます。
人差し指以外で、特定の指と対立運動をしてほしかったら、index fingerのところをその指の名前にかえてください。
人差し指だけでなく、小指までの各指で対立運動をやってほしいときは、2つ目のフレーズだったら、一つのフレーズで全ての指と対立運動をしてくれると思います。

手関節は、手首はもちろんですが、手自体がとても複雑に動くので、可動域や動きを確認するフレーズが多くなってしまいました。
しかし、おそらくこれで主要な関節の可動域確認フレーズは終わりだと思います。
ここまででも長かった気がしますが、それでも実際の評価のことを考えるとかなり序盤の方ですね笑
これからも、多動の可動域や動作評価、スペシャルテスト、医者への紹介が必要化、患者への説明などまだまだカバーすることはたくさんあるので、ゆっくりとお付き合いいただければと思います。
また、ポッドキャストもやっています。ここで紹介しているフレーズを少しずつですが実際に発音して紹介していますので、気になった方は除いてみてください。youtube, apple podcastなど色々な媒体でやっているので、使いやすいプラットフォームで探してみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?