おすすめできるリワーク、できないリワーク
私はいくつかの記事で「リワーク」に関する記事を書いてきました。
しかしながら、現在「リワーク」とネットで検索すると、多くの「リワーク」が出てきます。
そこで、今日はどの「リワーク」を使うのがよいのかについて、書いていこうと思います。※あくまでも私見です。
1.いくつかのリワークがある
まず、ひとことにリワークといっても、いろいろなリワークがあり、以下の4つに大別されます。
①医療機関が実施するリワーク
②障害者職業センターが実施するリワーク
③職場が行うリワーク
④福祉施設が行うリワーク
①医療機関が実施するリワーク
会社を休んでいる方で復職をしようと考えている方のためのリワークです。目的は、精神科での治療および予防です。特色は、医療機関だけで実施できる「診断と治療」であり、復職後の再発予防策まで講じるという内容になります。医療機関に勤める医療の専門職がスタッフとしてかかわるため、適切な診断と治療を受けることが期待できます。
主に、集団精神療法(集団を扱って治療を行う)という技法を用いて、心理的なアプローチを行います。他者とのかかわりの中で生じる自分がしんどくなる特徴をつかみ、そこに切り込んでいき、再発予防を行うという手法ですを使うところが多いようです。
②障害者職業センターが実施するリワーク
こちらは、各都道府県にある障害者職業センターが実施しています。医療機関のリワークと同じで、会社を休んでいる方で復職をしようと考えている方のためのリワークです。ただし、公務員の方は利用できません。
特色は、職場との連携を非常に濃厚に実施しているというところです。利用される方と職場関係者との面談を必ず実施し、センターが双方のサポートを実施します。利用期間が決まっており、PC作業や作業能力評価などの作業プログラムがメインで行われるところが多いようです。
③職場が行うリワーク
こちらは、上記の①②とは趣旨が大きく異なります。
まず、実施しているのは、職場、もしくは職場が提携しているEAP(従業者支援プログラム)です。目的は、復職できるかどうかを見定めることです。
(①②の施設での目的は休職している方が復職を目指すためにリハビリを行うことでした)
復職を目指すという意味だけでとらえれば、①も②も③も同じようなところではないかと思うかもしれません。しかし、③の職場が行うリワークというのは、主治医から復職可の診断書をもらったうえで、職場が「本当に復職できるのか?」を見定めるために実施するのです。
つまりは、①や②を利用して復職できると判断されたのちに、③を実施するという方もいるわけです。
これは「リワーク」という言葉の定義が非常にあいまいがゆえに生じている問題だと思いますが、みなさまには③は①②とは別のものであることを知っておいていただければと思います。
④福祉施設が行うリワーク
福祉施設のリワークとは、NPO法人や株式会社が実施している「リワーク」のことを指します。ここでいうリワークは就労移行支援事業という障害を持つ方が仕事に就くために使う支援制度を利用した「リワーク」です。
たとえば、精神的な病気を抱えていて、はじめて仕事に就くことを目指している。しかし、時間的、内容的な配慮が必要で、障害者雇用を目指したい。そういった方が支援者の力を借りながら仕事を目指すために使う施設が、就労移行支援施設であり、そのことを「リワーク」と読んでいるのです。
つまりは、休職者と何ら関係がないわけです。
これも、「リワーク」という言葉の定義が非常にあいまいがゆえに生じている問題のひとつです。
また、一部で、①②が行っているような休職者の方のための復職支援を、④福祉施設のリワークが実施していることもあるようです。ネットで調べると上位に出てくる広告がそれにあたるでしょう(医療機関は広告を出せません)。
2.どのリワークを選べばよいのか
ここでは、休職されていて復職を目指されている方が、どのリワークを選べばよいかという視点で書いていきます。あくまでも私見ではありますが、世の中にリワークが氾濫しているので、あえて書いていきますね。
なお、今まで書いてきたように「③職場で行うリワーク」は目的が異なるので除外します。
失敗が少ないのは、①医療機関のリワーク、②障害者職業センターのリワークを選ぶことです。
③が営業やPRに長けていますが、玉石混合です。たしかに非常によい内容で実施しているところも一部あるようですが、正直、玉石混合です。
②の障害者職業センターが実施するリワークは、非常に長年の実績があり、利用される方、職場の双方に介入してくださるので、職場復帰時に円滑に話を進めることができるものと思います。
①の医療機関が実施するリワークについては、日本うつ病リワーク協会のホームページから(リンク)施設を選んでみてください。医療機関という安心はありますが、ぜひ一度、施設の見学に行かれることを強くおすすめします。施設によって、雰囲気はかなり違うと思われます。また非常に数は少ないですが、認定施設(リンク)であれば、協会の審査を通っているために裏付けのあるしっかりとしたプログラムを受けることが期待できます。
今日は、「リワーク」について書いてきました。
みなさまの回復に、少しでもこの記事がお役に立てば幸いです。
参考:https://www.utsu-rework.org/rework/index.html