小島良介

作家みたいなもんです

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最近の記事

零落

12/10  知り合いの画廊に行ってきた。おもしろかったし刺激になった。絵は特に描いてないし今後も描く予定はないけれど、描くのも見るのもわりと好きだ。小学生の頃は絵ばかり描いていた。ドラゴンボールの絵とか何故か浮浪者の絵とか。今でも描けるけど、あの時とレベルは変わらない。絵には限界を感じる。そこが音楽と違うところだ。音楽はいくらやっても「まだまだ」という感じで、いくらでも伸び代があるように思う。ドラムとかギターとか理論とか、学べば学ぶほど深い海のように沈み色んな要素が出てき

    • 左利きの犬

      2023/12/08  毎日何かを考えたり、文章を書いたりしている。僕は基本的に「暇だ」と思うことがない。ずっと何かを考えたり想像したりしている。休みの日とか何も予定がない日でも、寝ながら何か考えたりスマホにポチポチ文章を書くだけでわりと楽しい。書くことや考えること無限にある。どれだけ書いても満たされることはない。だから毎日書く。書かないと身体が重くなり、頭が働かなくなってくる。頭の中だけで考えているとわけがわからなくなってくる。だから書くことによって考えを明確にし、初めて

      • 冬の匂い

           ブログ用に書いていた文章が溜まってきたので、3日分くらいまとめて載せます。気が向いた時にメモ帳に書くんだけど、なんかそのまま放置してしまう。読み返して手直しするのもめんどくなので、誤字とかたくさんあると思う。小説でも推敲の作業が何よりも大変で腰が重かった。小説を完成させたのは一本だけだけど、実はその後に二つくらい下書きは書いている。でもまとめるのがめんどうでそのまま放置状態。いつか完成させる日が来るのか否か。それとは別に新しく書きたいとも思うけど、自分の中で何かが溜まり

        • 呼吸

           人生って大変だ、大変だ、大変だー。  最近はぼちぼち月半分以上は働いているけれども、それでも生活は潤ってるわけじゃない。格安でメシ付きのルームシェアをさせてもらっているのに、だ。一般的な方々は土日以外毎日働いて、一生懸命やっているのだろう。それでも日々の固定などはガッツリ引かれ、残ったのは微々たるものだったり。さらに嫁や子供がいるとなれば、月2万円のお小遣いだけでやりくり。飲み会なんて行けるはずもなく、基本スーパーの発泡酒。それでも毎日の晩酌だけが楽しみで、二日酔いにもな

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        • バンザイ
          11本

        記事

          青春ごっこ

          2023/11/26  note用に記事を3つ書くも、なんだかなあって思って更新しないでいる。こうやって何もしないまま終わっていくのかな。そんなのは嫌だ。「ありとあらゆる種類の言葉を知って何もしなくなるなんてそんなバカな過ちはしないのさ」と小沢健二も歌っていた。時々このフレーズを思い出し、何もやれてない自分を悔やんだりする。恥ずかしくてできないこと、めんどくさいくて腰が重いこと、なんか眠くてだらだら寝てしまったり、もういい歳なんだからとすかしてみたり、そんなことばかりだ。こ

          青春ごっこ

          自伝的小説 『バンザイ』 最終章 永久的リメンバー娘

            11  アラームが鳴る。  目を覚まし、しばらく放置してからそれを止める。時刻は七時半。ウトウトしているとまた携帯が震える。すぐさまそれを止め、またウトウトする。そんなことを繰り返し、七時五十分まで粘り、ようやく重い身体を起こす。  風呂場の洗面所に行き、電動歯ブラシを濡らし、歯磨き粉を付け口に突っ込む。鏡で寝癖と顔をチェックする。そのまましばらく磨き、終わったら口を濯ぎ、今度は電気シェーバーで髭を剃っていく。顎下あたりが剃り辛いので、何度もなぞり綺麗にする。それが終

          自伝的小説 『バンザイ』 最終章 永久的リメンバー娘

          自伝的小説 『バンザイ』 第十章 悲しみの果て

            10  何も考えることができなかった。  親が買ってくる飯を口に運び、あとは布団の上で眠るか寝転がるだけ。誰からの連絡も返さない。テレビを見てもネットを見ても何も感じない。風呂には入ることができなくなり、身体を擦ると消しゴムのカスのような垢がたくさん出てきた。  何をしていたのか覚えのない時間が三ヶ月過ぎた。その間一度も風呂に入らなかった。消しゴムのカスはピンポン玉サイズの塊になっていた。  バンドやタマのことを思い出しては胸が締め付けられ、しかし、どれだけ考えて

          自伝的小説 『バンザイ』 第十章 悲しみの果て

          自伝的小説 『バンザイ』 第九章 ぼくたちの失敗

            9  誕生日はタマと過ごした。いつものように横浜でデートをし、ホテルに行った。そういうことをする気にもならなかったけど、なんとなく流れで一度した。そのあとはずっと横になっていた。 「元気ないですね」 「そんなことないよ」 「だって、今にも死んじゃいそうな顔してる」 「そう?」 「うちと一緒にいても楽しくないですか?」 「……そんなことないって」 「じゃあ、はい。ギューってしてあげます」  タマは僕に手を伸ばし、そのまま抱きしめた。 「うちはどこにもいき

          自伝的小説 『バンザイ』 第九章 ぼくたちの失敗

          自伝的小説 『バンザイ』 第八章 罪と罰

            8 「こうやって普通にデートするの久しぶりだよね」 「そうですね。御茶ノ水の時以来ですかね?」  横浜の赤レンガ倉庫に来ていた。僕の左腕はタマの右腕と組まれている。 「なんか、すげー恥ずかしいんですけど」 「うちもですよ。お酒飲んでないとやってられないです」  ショッピングモールを歩いて回る、ごくごく普通のデート。お互い空いている手には酎ハイの缶を持っていた。 「彼女できるの、結構久しぶりなんだよね」  僕がそう言うと、タマは不思議そうな顔をした。 「

          自伝的小説 『バンザイ』 第八章 罪と罰

          自伝的小説 『バンザイ』 第七章 空も飛べるはず

            7  東京都八王子。二十三区外にある名の知れた街。何度かライブをしに来たことはあるが、駅の外れまで歩くのは初めてだった。僕らは四人は全員ソワソワと落ち着きなく、駅からの道のりを歩いた。お兄ちゃんが加入してからは初めてのレコーディングだ。 「あー、やばい緊張してきちゃったよ」  ホシくんが不安そうな顔で震えている。 「大丈夫だよ。今日は説明と見学だけらしいし、文化祭も明日からだし」  大荷物を持った僕が答える。 「レコーディング久々だなあ。前回はコジマが入っ

          自伝的小説 『バンザイ』 第七章 空も飛べるはず

          自伝的小説 『バンザイ』 第六章 深夜高速

            6  大学の屋上にいる。理由はこうだ。  僕とタマは度々会う機会に恵まれた。場所はいつもライブハウスだった。定期的に開かれる轟音祭で対バンしたり、ライブを観に来てくれたり、観に行ったり。不思議と僕らは、どこかのタイミングで二人きりになった。そしてお互いにいつも酔っぱらっていた。恥ずかしくてシラフではまともに話せなかった。  酒の力を借りれば、ドラマチックなセリフだって平気で言えてしまう。タマと一緒にいる時は現実感が薄れて、ほとんど周りが見えなくなった。全てが

          自伝的小説 『バンザイ』 第六章 深夜高速

          自伝的小説 『バンザイ』 第五章 everything is my guitar

            5    少し時間が過ぎた。  季節はもう冬になっていた。  僕はいつものように音を出し、働き、飯を食い、そして眠っていた。    変わった点はただ一つ。あの子と連絡を取り合うようになっていたこと。下北沢でのライブ日、酔っ払いついでに連絡先を交換し、そこからずっとやり取りをしている。  初めて彼女から来たメールは、「月が綺麗ですね」という言葉から始まっていた。深い意味はないかもしれないけど、なんだが彼女らしくてとてもいいなと思った。  彼女の文章は、ライブのM

          自伝的小説 『バンザイ』 第五章 everything is my guitar

          自伝的小説 『バンザイ』 第四章 天井裏から愛を込めて

            4   赤信号を待つ。目の前には横断歩道を渡る、複数のサラリーマン。ヘッドライトの光が足元を照らす。  敷かれたレールからは決してはみ出さず、無理も無茶もせず、現状維持、腹八分目、省エネルギー、毎日同じことを繰り返し、貯金をし、年金を払い、老後の準備をし、ゆっくりと、のほほんと、まったりと、焦らずに生きていく。  僕には理解できないこと。  信号が青に切り替わる。ラーメン屋の行列を横目に、時速六十キロ近いスピードで風を切る。大通りに面した駅の向かい、出来たばかりの

          自伝的小説 『バンザイ』 第四章 天井裏から愛を込めて

          自伝的小説 『バンザイ』 第三章 ドアをノックするのは誰だ?

            3  真夜中。外を走る。息を吐き、そして吸い込む。首筋には汗。イヤホンからはロックが流れる。最近はこのバンドばかり聴いている。ドラムが頭おかしいくらい上手いスリーピースバンド。自分の呼吸音すら聴こえなくなる。BPMに合わせて、順番に足を蹴り上げる。しばらくすると、赤信号にぶつかる。呼吸を整え、ストレッチで身体をほぐす。音楽と向き合い、自分と向き合う時間。  走ると自分の弱さが浮き彫りになる。負けじと足を前に出す。一日十キロ走ることは、そんなに大変じゃない。しかし

          自伝的小説 『バンザイ』 第三章 ドアをノックするのは誰だ?

          自伝的小説 『バンザイ』 第二章 リンダリンダ

            2  今月のライブは二本決まっている。下北沢は一昨日終えたばかり。そして今日は蒲田だ。昔からよく出させてもらっていて、今でもお世話になっている、蒲田トップスという名のライブハウス。  高校生の頃、初めてコピーバンドで出演したのが始まりだった。初めてのライブで僕はクボタたちと出会った。まだクボタとホシくんは、もう1人のメンバーを連れたスリーピースバンドだった。僕らは高校の友達や地元の友達が混ざった即席バンド。  その日の僕らは緊張しすぎていて、演奏はもうめちゃくちゃだ

          自伝的小説 『バンザイ』 第二章 リンダリンダ

          自伝的小説 『バンザイ』 第一章 東京少年

            まえがき  この物語を書くにあたって決めたことがある。  それは、『何が何でも書き切る』ということ。  それも、二十代のうちにだ。  僕は現在二十九才で、あと数ヶ月で三十才になる。  三十才になってしまったら、色んなことがやりにくくなるかもしれない。つまらない大人になってしまうかもしれない。初期衝動のようなものを出せなくなってしまうかもしれない。ドントトラストオーバーサーティ、なんて言葉も存在する。「三十才以上は信じねえ!」なんて言われたら、ひとたまりもない。  だ

          自伝的小説 『バンザイ』 第一章 東京少年