こじまり

35歳の事務職OLです。

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最近の記事

恥ずかしい過去の恋話 第二話 (完結)

本を借りる口実で、先輩の家に通っていたんだと思う。気づかないフリをしていたけど、ずっと前から先輩が好きだった。先輩はわたしのことをどう思っていたかは知らないが、今思うとちょうどいい存在だったんだと思う。自分に好意を寄せている会社の後輩が頻繁に家に来るなんて、相手にするのにちょうどいいじゃないか。特に拒絶する理由もなかっただろうから、すんなりと受け入れた、ただそれだけのこと。 2011年3月11日14時46分18秒頃、わたしは取引先の会社に上司と訪問している最中だった。顧客との

    • 恥ずかしい過去の恋話 第一話

      23〜24歳の頃の恋愛はもう思い出したくない。めちゃくちゃだった。誤ってふと思い出してしまった時には、首を横にブンブン動かして記憶を振り払っている。当時勤めていた会社から、先輩もわたしもちょうど歩いて10分程の距離のところに住んでいた。自宅から先輩の家が近かったこともあり、会社帰りに先輩の家へ寄っては、デザインの本や先輩おすすめの本(難めの哲学的な本が多かった)をよく借りたりしていた。超近所にある居心地のよい図書館のようだった。本棚に収まりきらず部屋の至る所に本が積み上げられ

      • 今夜だけ好きな人

        仕事関係の飲み会に誘われて行くと、顔も雰囲気もタイプな人がいた。何気なく薬指を見るとシルバーの指輪がきちんとはまっている。心の中で軽くため息をつく。目が合うと笑顔で名刺を差し出してきた。協力会社の人だったが、この人とは初対面だった。色黒で少し太めなフレームの黒縁眼鏡が似合っている。ニカッと笑うと白い歯がちらりと見えてセクシー。背も高くて声も低くていい感じ。好き。立ち飲み屋ということで、狭いスペースに小さなテーブルがいくつかあり、ごちゃごちゃと小皿やお酒が並ぶ。各自、居心地のい

        • 幸せを退屈だと思っていたあの頃

          大学生まで実家暮らしだった。わたしは一人っ子なので、幼い頃から着る物も食べる物もすべて独り占めができた。家族はみんなわたしに注目し、可愛がってくれた。高校生になると実家に居づらいと思うことが増えた。父と母の関係があまりよくなかったというのもある。毎日、夫婦の冷え切った気まずい空気の中にいるのもなかなか辛かった。就職したらすぐに家を出ようと当時のわたしは意気込んでいた。祖父と祖母は隣の駅に住んでいたので、ちょくちょく顔を出さなければならなかった。自分に姉妹でもいれば、交代で顔を

        恥ずかしい過去の恋話 第二話 (完結)

          チャットレディ体験談

          テレクラは、男性が店舗に出掛けて、利用料金を支払って、電話のある個室に入り、お目当ての女性と電話が繋がるまで待つというシステムの出会い系サービスです。男性側の料金等、詳細は知らなかったのですが、わたしは8年前(当時26歳)に電話を受ける側のアルバイトをしていました。所謂、サクラってやつです。 当時のわたしは一時、仕事をしていなかったので、この際いい機会だと思って気になる仕事を片っ端からやってみようということで、面接に行きました。新宿の雑居ビルの中に事務所がありました。金髪で両

          チャットレディ体験談

          いきなりマリッジ

          AmebaTVのいきなりマリッジという番組にすごくハマっている。初めて出会った男女がその日に結婚式を挙げ、そこから30日間、仮の夫婦として結婚生活を共にしていく。同じ家に住み、日々の生活を送る。そして、30日後、お互い本当に結婚するか決断するという番組。出会ったばかりの男女は、1ヶ月で結婚できるのだろうか。非常に興味深い。番組のジャンルとしては、こういうのは恋愛リアリティー番組というらしい。へぇ。最近、こういう番組を目にする機会が多くなった気がする。わたしは、実は結構こういう

          いきなりマリッジ

          改札前で悶々としている男女

          終電間際の改札前で、こんな男女を目にすることがある。まだ帰りたくないとは決して口に出さないが必死に目で訴える女。無言でただひたすら男を見つめ続ける。ジリジリと強い視線。なぜかうっすら涙目。アイメイクが崩れて、上目遣いが怖い。 男はこの状況にすっかり飽きてしまっていて、女の視線をなんとか交わすように天を仰いで嘆息する。もしくは、駅の柱などの模様をじっと見つめて耐え続けている。側からみるとなんなんだこの戦いは?!と思う。周りを見渡すと、そこにも、あそこにも、同じような男女が次々と

          改札前で悶々としている男女

          先日の117日記。

          117日記とは、1日の中で「いいな」と思ったヒトやモノコトについて綴るシンプルな日記です。 先日の金曜日の117日記。本社のカラオケ同好会のメンバーで新宿のまねきねこに行った。カラオケ同好会への参加は今回が初めてだった。普段は常駐先の会社で働いているので、本社のメンバーとは面識がなく、初対面。総勢6名でカラオケ。今回は2名ほど軽音部の人がゲストとして混ざっていた。到着すると受付を済ませて、各々ドリンクを用意した。フリータイム制にしたので、ドリンクバーだった。最初に歌う人がす

          先日の117日記。

          きょうの117日記

          117日記とは、1日の中で「いいな」と思ったヒトやモノコトについて綴るシンプルな日記です。 今日の117は、今朝の通勤途中のこと。 わたしの通勤ルートには歩道橋があって、その手前に時々チラシ配りのお兄さんやお姉さんがいる。今日は20代後半くらいのお兄さんがお弁当屋さんのチラシを配っていた。 今朝は気温も高く、ムシムシしていて少し歩いただけで体力を消耗する。日差しの当たる場所でずっと立っているのも相当辛いだろう。 わたしは「暑い中または寒い中、頑張っている人」に弱い。でも、あ

          きょうの117日記

          父のこと

          わたしが大学三年生の時、父はある日突然家を出て行った。突然と言っても事前に母との間で話し合いはあったのだろうが、わたしにとっては”突然”だった。 父とは仲が良かったわけでも悪かったわけでもない。幼い頃、一緒に遊んでくれたことは今でもよく覚えている。わたしは一人っ子なので、当時の父はわたしと一緒に遊んでくれる友達のような存在だった。小学生の頃は家で一緒にテレビゲームをした。当時流行っていたドンキーコングやマリオカートを毎晩食後にやっていた。父はゲームがとても好きだった。気がつく

          父のこと