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物理学と深層学習の融合が進む

日本をはじめ地球共通の課題は「天災への対応」です。

こんな記事が目に留まりました。

ようは、
従来と異なる数値解析手法を編み出して、自然に近い柔軟なシミュレーションを深層学習(Deep Learining)で実現した、
という話です。

言わずもがな、地震・火山などの天災予測に貢献します。

深層学習(ニューラルネットワークの学習を多層にしたもの)は、もはや説明不要なほど定着してきて、今回のように従来の科学技術の領域にまで応用が進んでいます。

一応その特徴を挙げると、従来は人間が手動でチューニングしていた学習用のパラメタを機械自身で学んでいきます。

特に、今回のような物理法則に基づく深層学習は、「PINN: Physics-Informed Neural Network」という名称で以前より注目されています。

やや難しいですが、比較的うまく解説したサイトがあったので紹介します。

出所:上記Blog内の図

我々の日常をつかさどる物理法則は依然として「ニュートン法則」で記述出来ます。
超ミクロや超マクロ(早い・重い)では量子力学や相対性理論の効果を意識する必要がありますが、あくまで非日常です。

そして、ニュートン法則では、力を質量と加速度(速さの変化)の積で定義するため、数学的には「微分」という手続きが必要です。

その微分を含んだ式を、AI(または数値解析)が得意な「最適化問題」に置き換えることが出来る、というのがPINNの主な特長です。

ここは私も追っかけきれてないですが、どうも背景には「万能近似定理」という理論が貢献しているようです。

それを紹介しているサイトを1つだけ引用しておきます。


このように、AIから自然を記述するという観点で、他にも注目されているものはあります。

もう1つだけ紹介すると、「AI Feynman」です。

ようは、
ニューラルネットワークの学習で、問題をよりシンプルに設定しなおすことが出来る、
という話です。

AIがシンプルにする、というのは逆説的で魅力的です。
アルゴリズム(解の手順)の解説までは割愛しますが、ポイントなのは、これはある意味我々人類が科学法則を編み出してきたプロセスにも近いかもしれません。

先ほどふれたニュートン法則の発見物語に、リンゴの話があります。

要は、ニュートンが天体など運動法則について考えているとき、たまたま木から落下したリンゴが落ちるさまをみて万有引力の法則を思いついた、というものです。

それだけでひらめいたとは考えにくく(おそらくは都市伝説でしょう^^;)、天体が動く軌道とリンゴが落ちる原理が共通であることに気づくまでに膨大なデータの蓄積があったであろうと想像します。

ちなみに、AI Feyynmanという名称の由来は、物理学者の中でも人気の高い「リチャード・ファインマン」からとっています。

ファインマンは量子電磁気学の開拓でノーベル物理学賞を受賞してますが、教育者としての評価も極めて高い方です。

特に、複雑なことを分かりやすく簡易な言葉で説明することに長けており、科学に限らず多くのシーンで考えさせられることが多いです。

ファインマンについては色々と書籍も出てますので(一冊にしぼれません☺)、もし興味を持った方は覗いてみてください。

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