素粒子物理の重大ニュース2023
2023年は科学分野で様々な発見がありました。
そのなかでも、個人的には素粒子物理学の新しい動きがホットでした。
素粒子物理のニュースをまとめた記事があったので補足交えて紹介します。
1.太陽女神の到来:
1992年に発見された「オーマイゴッド粒子」と呼ばれる超高エネルギーの宇宙線がありましたが、2023年にはそれに次ぐ240エクサ電子ボルト(EeV)のエネルギーを持つ新しい粒子「アマテラス」が発見されました。
この粒子は、ユタ州のテレスコープアレイプロジェクトで検出されましたが、その起源は謎に包まれています。
日本人研究者が発見したので日本の古代神天照大神からとっています。過去の紹介記事を貼っておきます。
2.幽霊(ゴースト)粒子の探求:
ニュートリノは、核反応や高エネルギー反応で生成される「幽霊粒子」として知られています。
2023年、天文学者たちは、私たちの銀河系が大量のニュートリノを生成していることを南極で発見しました。これはニュートリノ天文学における新たな進展を意味します。日本もこの分野はフロントランナーの一人です。関連記事を載せておきます。
3.パルサーからの最高エネルギーのガンマ線:
パルサーは、規則的に電波を発する奇妙な星で、星の残骸である中性子星から形成されます。
2023年、天文学者たちは、約1000光年離れたベラ座の方向にあるパルサーから、これまでに検出された中で最も強いガンマ線を観測しました。
詳細も載せておきますが、2同様、光と電波以外の新しい方法での天文学が期待されています。
4.史上最も明るいガンマ線バースト(BOAT):
2022年に観測された「BOAT」と名付けられたガンマ線バーストは、史上最も明るいものでした。2023年、別の研究チームは、このBOATが地球の大気上層に影響を与えたことを発見しました。これは文字通り他人事ではないので、ガンマ線を通じた観測が今後注目されそうです。
5.反重力は存在しない:
反物質とは、電荷だけ物質と逆の関係にあるもので、自然には存在しません。従来、重力も逆に作用するのでは?という説がありましたが(まさにSFです)、それを人工的に生成して重力に対する反応が同じであることが確認されました。過去にも紹介したので記事を引用しておきます。
6.ニュートリノ工場:
巨大なブラックホールは、ニュートリノを含む様々な粒子を生成することが2023年に明らかになりました。これらの粒子は、ブラックホールに吸い込まれるガスから来ています。ブラックホールは未だに謎が多い天体で、来年も新しい動きがありそうです。関連記事を載せておきます。
7.ダークマターの謎:
ダークマターは宇宙の大部分を占める謎の物質で今では未知の素粒子説が有望です。
2023年、科学者たちはダークマターの探索を続け、陽子の質量の約 5 分の 1まで、そして潜在的にはさらに低い質量までの暗黒物質粒子を排除できることを示しました。以降でも登場しますが、ある意味謎であるからこそロマンがあるマスコットキャラクターのような存在です☺
8.光を消費する暗闇:
「ダークフォトン」と呼ばれる新しい理論上の粒子が、ダークマターの謎を解明する手がかりを提供する可能性があります。
こちらは初耳でした。またどこかで調べてみたいと思います。
9.よりダークな物質:
ダークマターは単一でなく、異なる種類のダークマター粒子が相互作用する可能性があります。これは「ダーク原子」と呼ばれ、銀河の星形成率に影響を与える可能性があります。こちらもまだ柔らかい段階ですが、関連記事を載せておきます。
10.バブルトロン:
宇宙の初期には、自然の力が分離し、バブルが形成され、衝突しました。これらのバブルは、私たちが知っているほとんどの粒子の生成に影響を与えかもしれません。それがさながら素粒子衝突器(トロン)と同じ役割を持つためバブルトロンとも比喩されます。宇宙自体がたくさん作られるマルチバースでも泡宇宙とたとえられます。泡は宇宙を象徴する現象です。
11.暴走する太陽:
なかなか過激なテーマで締めます。
これまで考えていたよりも高いエネルギーを生成していることが2023年に発見されました。これもガンマ線も含まれています。
もともと太陽風など危惧されていましたが、地球の環境や今後の宇宙開発に影響を与えるので切実です。
最後に、個人的には素粒子物理学の基礎「素粒子標準模型」がほころびている可能性がさらに高まった(個人的にはほぼ確定)話題も取り上げておきます。
とにかく来年は素粒子物理がもっとあつくなります!