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派手さはないけど重要な小惑星防衛計画がカウントダウン

2021年末に小惑星からのサンプルリターンを実現した「はやぶさ2」。ついに1滴の水を見つけたそうです。

既に生命の基本要素アミノ酸は大量に見つかっているので、これで最低限の生物を創造するレシピがそろったといえるかもしれません。

ところで、そもそもの「はやぶさ(1・2両方)」のミッションに、地味ですが重要なミッションがあったことを覚えている人は少ないと思います。

過去にもそれについて少しだけ触れました。

つまり、生命探査・太陽系起源探査、そして「小惑星解析による衝突回避分析」です。

2022年にもNHKで特集された記事を引用しておきますが、今でも3万近くの大規模被害を及ぼす大型(直径140メートル超)の小惑星候補が見つかっています。

そして、2017年に東京で行われた国際的な「地球防衛会議」で、小惑星衝突を回避するために下記の3つの方針が話し合われました。

1.「衝突方式」=人工物を小惑星にぶつけることで、破壊したり軌道を変えたりする。
2.「けん引方式」=小惑星の近くに探査機を送り込み、小惑星との間に働く引力を利用して少しずつ小惑星を引っ張ることで地球と衝突する軌道からそらす。
3.「塗料方式」=小惑星に特殊な塗料を吹き付け、太陽熱の吸収率を変えることで軌道を変化させる。

出所:上記サイト

結果として1が採用され、計画名を”DART”(Double Asteroid Redirection Test:二重小惑星方向転換試験)と呼ばれます
2021年11月に、スペースXのファルコン9で小惑星衝突用の探査機が打ち上げられました。大体500kgの重量です。
すでに探査機は目的の小惑星に到達し、歴史上初の実証実験が、9月末に行われる予定です。
※タイトル画像クレジット: NASA/Johns Hopkins Applied Physics Lab

今回実験対象に選ばれたのは、地球から約1000万キロ離れた場所にある二重小惑星です。
具体的には、幅390メートルの「ディディモス」と、その衛星である幅160メートルの「ディモルフォス」で、衝突させるのは後者です。

肝心の成功基準ですが、元々の衛星周期(月に例えると地球を回る時間)が約12時間で、それが73秒(予測では10分程度)以上早まると成功とみなすそうです。

従って、数日か数週間の経過観察によってその成果が判断されます。

宇宙空間なのでどれくらいの衝撃なのかが想像しにくいですが、時速2.1万kmという我々の日常生活では超がつく高速でぶつかります。

日本時間で2022年9月27日朝8時ごろになりそうで、その模様はNASA TVでほぼリアルタイム配信されるそうです。(距離が遠いので数秒は外れます)

なぜ配信できるの?と疑問に思うかもしれませんが、観察用の小型探査機「LICIACube」がDARTには搭載されており、これを事前に切り離して衝突の瞬間や、その後の様子をお茶の間にも届けてくれるそうです。

花火と違って即座に楽しめるものではありませんが、人類にとっては大事な実験なので、その顛末は見守っていきたいと思います。

なお、最新情報は下記のDART公式HPで適時公開されますので、待ちきれない方はそちらでも確認してみてください。

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