日本勢の再チャレンジ。半導体競争は次世代技術へ
半導体は、今のコンピュータ社会における兵站とも言えます。つまり、それがないと、スマホ・自動車・家電製品などほぼ生活が成り立ちません。
そんな半導体製造ですが、次世代の半導体開発で新しい工場が決まったニュースが流れました。
半導体はもはや民間だけでなく国家レベルでの地政学とも関連の深い産業競争になってきました。
ちょっと科学ではない要素もありますが、これからさらに複層的な動きが起こりそうなので、簡単に今の状況を振り返ってみたいと思います。
まず、日本は元々半導体製造の市場を席捲していました。
21世紀以降しか知らない方には信じられないかもしれませんが、2つだけ当時の盛況を紹介したサイトを載せておきます。
ピーク時は世界市場過半数を占めていた、時代もありました。
1つ目の記事タイトル画像(ディスコ?)だけ見ると、バブルと誤解されそうですが、これは日本企業の正当な成果が評価されたものだと思います。
少なくとも半導体は品質・価格という実体のあるハードが評価されるわけですので。
本題とそれますが、よく過去の栄光で揶揄的に使われるのが平成元年と最終年の時価総額ランキングです。見たことがある方も多いと思いますが念のため1つだけ紹介。
この原因追及をしたいわけではないですが、半導体でいえば次の技術動向とデジタル改革の波に成功体験が邪魔をして乗り遅れた、というところが総論として無難な表現かと思います。
それが2022年においては、日本勢の市場シェア10%程度で、その代わりに台湾や米国メーカが台頭しています。
なお、半導体製造と括って表現していますが、昔は一気通貫のいわゆる垂直統合型が主流でしたが、近年は設計と受託製造を分ける水平分業とその類の会社が巨大になっています。そのあたりのプレイヤー状況は下記の解説記事が参考になります。
今回のラビダス(Rapisdus)は、上記で言うファウンドリーで、設計は元々IBMのライセンス供与を受けます。
それで冒頭記事にある「2nmプロセス」というのは回路の幅を指します。スペルが似ているので誤解されがちですが「ミリメートル」でなく「ナノメートル」です。
ナノは10億分の1を指す単位で、髪の毛の太さの10万分の1といえばその細さがかんじられるでしょうか?
いずれにせよ、この幅が短いほど高密度、高集積、つまり小型で高性能な半導体が実現できると思ってください。
今の半導体の主流は「7nm」で、高度なもので「5nm」という温度感です。
プレイヤーで見ると、ファウンドリーである台湾のTSMCが圧倒的なシェアと時価総額(投稿時点でなんと60兆円!)を誇っていますが、ここがこれから量産化を目指そうとしているのが「4nm」です。
つまり、「2nm」とはその先にある次世代半導体を一気に目指そうとしているわけです。
他にも半導体にはそれを構成する「素材」とAI処理に特化した「AI半導体」なども次世代として括られますが、今年は産業・政治が入り乱れてのバトルロワイヤルになりそうです。