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H3の再打ち上げ日が決定

H3ロケットの再打ち上げ日が固まりました。前回の積み荷であった「だいち3号」も前回同様搭載されることが決まったようです。

先だって、今回停止信号を送ったアラートの原因説明も行われました。下記にその資料が公開されています。

出所:上記サイト内の報告書抜粋
出所:上記サイト内の報告書抜粋

どうも、エンジンコントロールユニットにつながる電気系統での一時的な電圧低下だったようですが、そのトラブルの解消に目途が立って判断に踏み切った模様です。

個人的には、その電圧低下のテクニカルな原因があればもう少し安心出来るのですが、公開情報を見る限りは分かりませんでした。

ここは総合的な判断なのだろう、とぐっと我慢をして一民間人としては応援するしかないのでしょう。

今から再打ち上げが待ちきれないので、今回は今回のリニューアルの主役にあたるLE-9エンジンについて、公開情報をもとに理解を深めてみたいと思います。(タイトル画像はJAXA公式サイト H3 LE-9説明図)

細部の前に、目的を再確認します。今回のH3ロケット開発は「産業競争力の向上」が狙いです。(過去記事参照)

既に米国では、下記投稿で紹介した通り、実に8割が民間のSpaceXに依存していますが、それもコスパに尽きます。(NETFLIXの宇宙ドキュメンタリ(Return To Space)を見る限り、民間に任せる心理的抵抗は当然あったようですが)

それで、技術的な話に入ります。

今回の鍵は「LE-9」エンジンで、2段階方式から「エキスパンダブリードサイクル」と噛みそうな方式を採用しています。

以下に、JAXA公式での解説サイトを引用しておきます。

細かく言えば、第一段エンジンに当たります。

ポイントは、通常推進薬として使われる「液体水素」に伴う熱を、ターボポンプ駆動にも転用した、ところにあります。

従来は、ターボポンプのためのタービンがありましたが、それがなくなった分すっきりとして部品点数が減ります。

あとは、上記記事にもふれたとおり、複雑な形状部品を作る手段として初めて3Dプリンタを投入してこれもシンプル化しています。

あと、地味ですが個人的に貢献度合いが大きいのが、今回初めて採用された「電動バルブ」の存在です。

例えば、自動車だとアクセルをいつでも自由に踏み込み方で調整できますが、超おおざっぱにいうと、昔のロケットの場合0か100%の世界です。

それを今回配管に電動型のバルブを導入することで、出力を絞ることが出来、それによって燃焼試験の効率化にも寄与しています。

コンピュータシミュレーションは当然ですが、やはり実機による耐久性など挙動チェックは重要です。

そういった我々には見えない10年以上にも渡る研究・実験の成果が、今度こそ実ってほしいです。

ただ、たとえ次回うまくいかなかったとしても、その次もその次もずっと応援し続けます!

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