見出し画像

日本の基幹ロケットH3発射間近

ついに2023年2月15日に、日本の基幹ロケットH3が鹿児島の種子島から打ちあがります。(タイトル画像はJAXA出所)

間近に迫ったこともあり、今までのこのH系統をおさらいしておきます。

今回のプロジェクトマネージャの2015年に従来との違いについて語っている記事があるので紹介しておきます。


今回は、ロケットも新型の液体燃料を採用し、実に22年ぶりのメジャーバージョンアップです。
ソフトウェアだったらより複雑な機能が上乗せされることの多いこの表現ですが、やや事情は異なります。

まず、素朴な疑問の解決から。

元々「H」シリーズとして採番されていますが、これは有名な話で燃料に使う「水素のH」からとっています。
具体的には、液体水素と液体酸素の混合ですが、この成分比率も変わっており、これはエンジン自体が大きく異なるからです。

上記記事よりその変遷の図を引用しておきます。

出所:上記インタビュー記事内図

要は、燃料タンク内の液体水素と液体酸素をエンジンの燃焼室に送るターボポンプにそれを動かすための燃焼室(燃料を創るための燃料装置ですね)を、H3ではとっぱらってシンプルにした、ということです。
関連ですが、一部3Dプリンタによる成形も導入し、部品点数も約2割削減しました。

エンジンはロケットの心臓であり、その設計を変えたのは大きいです。
従って、同じ系譜でありながら従来から大きく見直したことを示すため、Ⅱ→Ⅲでなく、3という数字表記を採用しました。

で、これらの設計思想の背景にあるのは、
・安全性(シンプル化による)
・生産効率性

にあり、これが今回の一番大きなH3の狙いです。

プロジェクトマネージャの岡田氏はよく、今回は「技術開発」でなく「事業開発」である、という言葉を使います。

つまり、「より使ってもらえるロケットを目指した」ということです。

国家主導とはいえ、海外や民間企業からの積み荷(ペイロード)も運びます。つまり、事業という面での評価も問われているわけです。

もっとその背景を言えば、やはりNASAが21世紀以降になってロケット打ち上げを民間参入にも門戸を開放し、SpaceXをはじめとした相当コスパが高いロケットが誕生しました。

あまり今の断面図で数値比較してもした方がありませんが、一応参考値を。

H3は従来(H2A)の半額の「50億円」とされています。
一方で、ライバルと言わないまでも意識しているのがSpaceXのファルコン9は、下記記事によると「70億円」と推測されています。

お、と思うかもしれませんが、ファルコン9の売りはコアとなるエンジン部が再利用可能であることで、複数回打ち上げて運用するライフサイクルで見るとコストが抑えられます。

実は、JAXAも第一段の再利用を目指して基礎研究を欧州の機関と研究を進めています。

既に産業との連関が強まった宇宙開発の分野ですが、夢と現実のバランスをとりつつ安定飛行してほしいです。

何よりも、まずはH3カウントダウン、無事に打ちあがることを心より願っています!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?