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宇宙の小さな小さなハミングを聴く

宇宙の起源は多くの方が一度は思い描いたことがあると思います。

そんな起源を科学的に調査する計画が日本を中心に進行中、という興味深い記事が公開されています。(タイトル画像も記事内図から。CREDIT
CREDIT: ISAS/JAXA)

上記記事をもう少し手前から砕いて紹介します。

今の宇宙がビッグバンから始まった、という話はよく聞いたことがあると思います。

たとえるなら熱々の原始スープで、原子の中心にある陽子を取り巻く電子も当時は好き勝手飛び回っていました。

ただし・・・ふくらますと冷えます。(これは日常でもわかりますね)

宇宙も例外でなく、ある時期で陽子が電子を捕まえる時期があります。

これを「宇宙の再結合(recombination)」といわれますが、日本では「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれます。個人的におしゃれで気に入ってます☺

おしゃれなだけでなく、この「晴れ上がり」という表現にはもう1つ重要な意味合いが含まれているのがミソです。

「晴れ上がる」と、遠くを見渡せます。

宇宙でも同じことが起こりました。

電子が陽子に捕縛されることで、「光子」が解き放たれます。(つまりそれまでは電子にぶつかって思うように進めなかったわけです)

光が遠くに届く、ということは、我々人類がそれ(光も電磁波の一種)を「観測」が出来る可能性が生じます。

その宇宙初期の名残を「宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)」と呼びます。

どの方向からも均等に降り注ぐように見えることから、「背景」という用語が使われており、それが宇宙の膨張を裏付ける1つの証拠とされています。

が、現在の宇宙には「大規模構造」と呼ばれるややいびつな分布になっていることも観測の結果わかっています。

出所:上記Wiki内の図「宇宙が泡のような構造になっている様子」

この宇宙の揺らぎを生んだものは一体何か?

その解明に期待が寄せられているのが、JAXA含む日本の研究者たちが中心となって進めている「LiteBIRD (Lite (Light) satellite for the studies of B-mode polarization and Inflation from cosmic background Radiation Detection)」計画です。

揺らぎを説明する仮説として、ビッグバンの直前に加速膨張が起こった、という有力な理論があります。インフレーション理論と呼び、過去にも紹介しました。

上記記事の後半にもふれてますが、この機器を使うと、宇宙が晴れ上がるより前の実像を推計することができます。

光子にとって邪魔だった「電子」というグレートウォールがあったのに、どのように宇宙初期を覗くのか?

インフレーション理論を受け入れると、その加速膨張によって時空のさざ波、いわゆる「重力波」が生じます。

そしてこのさざ波が、わずかながらCMBに特殊な渦巻きのようなパターン(Bパターンと呼称)を形成することが理論的にわかっています。

LiteBIRDは、まさにこの渦巻きパターンを観測することで、インフレーションの証拠をつかもうとしています。

詳細に興味のある方は、下記のサイトをお勧めします。

現時点でLiteBIRDの出発は、2028年の予定です。

ぜひとも、この輝く小鳥のさえずりに耳を澄まして宇宙創世期のダイナミズムを楽しみましょう☺

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