シンギュラリティな話(その3):収穫加速法則
前回は、「宇宙の」シンギュラリティ、特に裸の特異点とその系譜について触れました。
今回は、世界中で話題になっているテクノロジカルシンギュラリティ(技術的特異点。長いので本投稿では以後シンギュラリティと記載)についてふれてみます。
以前ふれたとおり、広めたのはレイ・カーツワイルです。
実はこの方が考えるきっかけになったったのは、最近亡くなったIntel創業者ゴードン・ムーアです。
記事内でもある「ムーアの法則」とは、半導体処理速度が定期的(同じ年数)で倍々になる経験則です。
今後も従うかは怪しいですが、投稿時点においてはまだ従っているといえそうです。
「怪しい」と書きましたが、1つ明確なリスク(限界)があります。
半導体処理能力を高める要素に、集積度、つまり回路間の距離を近くする必要があります。
このままだと物理で言うミクロ世界で無視できない量子力学の影響がおこってしまいます。(そこでは現状の物理法則は通じず、漏電のように電子という素粒子が漏れたりします)
ただし、並列処理・3D・新素材など新しい技術革新も生まれており、それがまさにこの法則を支えているともいえるでしょう。
カーツワイルは、この経験則はより汎用的なケースでも起こっているのではないかと考え、それを「収穫加速の法則」と名付けました。
自著内では、技術以前の生命の進化から辿っており、人間の歴史におけるパラダイムシフト(考え方の枠組みが大きく変わったタイミング。例えば紙・電気・インターネットの発明など)がおこる回数が、ムーアの法則のように幾何級数的に起こっていると指摘します。
カーツワイルは、これを受けいれて(経験則なので証明は出来ません)シンギュラリティを自著で以下のように定義づけます。
これだけでも恐ろしげな表現ですが、シンギュラリティ(特異点)に到達した状況をこう書きます。
ここまで読むとオカルト本と誤解する方もいるかもしれませんし、初読ではページをたたもうかなと思いました。
が、後続では、その裏付けとなる技術的予測がある程度科学的に記述されており、何よりもカーツワイルは実績のある科学者・技術者でもあります。
次回は、その内容についてもう少し深堀して紹介したいと思いますが、ぜひ興味を持った方は、引用した参考書籍を手に取ってみてください。
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