見出し画像

最強生物クマムシの起源が明らかに

史上最強の生物、と問われると、格闘漫画好きの方は範馬勇次郎(はんまゆうじろう)と答えるでしょう。(初耳の方は無視で)

動物に詳しい人なら、カバやサイなどを挙げる人がいるかもしれませんね。詳細は過去記事に委ねます。

ただ、戦う強さでなく「生き残る強さ」なら「クマムシ」が一位でしょう。

こちらも過去の投稿を載せておきます。

下記にその要点を書き下しておきます。
・体長0.5mmで8本足の無脊椎動物
・150度以上、-270度未満、7.5万気圧でも生存可能
・宇宙空間(真空。放射線被ばく状態)でも生存可能
・9年間水がない環境で生き延びる
・20年間凍結されても復活する

熊の冬眠のように代謝を抑える機能を持っており、そのDNA解析から強さの秘密が見えてきたという話をしました。

そしてその謎に包まれた起源について、科学専門誌Scienceのこちらの記事で取り上げられています。

実は1960年に、白亜紀(8千万年前)に琥珀へ閉じ込められたクマムシの化石を発見しました。まさに同じシナリオで恐竜のDNAを入手したジュラシックパークを彷彿とさせます。

2つ見つかり、そのうちの1つは丸まってしわくちゃで分析自体が困難であるため保存されたままでした。

それが、現代になって開発されたレーザ型顕微鏡をつかって解析に成功しました。この最新顕微鏡は微細なレーザ光線をあてることで、3次元構造を詳細に可視化することができます。下記がその解析画像です。

上記記事内の図

以前からクマムシには別の形状も見つかっており、既に白亜紀には多様性を獲得していたことが分かりました。

さらに、DNA解析から系統をたどると、約5億年前にはその多様性を獲得していたことが分かりました。

生物には、少なくとも過去5回ほど大滅絶の時代がありました。こちらからそのイベントを古い順に並べておきます。

【1回目】 約4億4400万年前(オルドビス紀末) 海に住む三葉虫、腕足動物(貝に似た生物)などの多くが絶滅
【2回目】 約3億7400万年前(デボン紀後期) 陸上に進出を始めていた植物や動物、海に住む甲冑魚(硬い外骨格を持つ魚)などの古代魚が絶滅
【3回目】 約2億5100万年前(ペルム紀末)  全生物の9割以上の真核生物が絶滅するという史上最大の絶滅
【4回目】 約1億9960万年前(三畳紀末)  海中のアンモナイト、陸上の大型爬虫類などが絶滅
【5回目】 約6600万年前(白亜紀末)小惑星が地球に落下し、その影響を受けて恐竜など多くの生物が絶滅

https://studyu.jp/feature/theme/extinction-event/

つまり、クマムシはこの5回の絶滅イベントをすべて潜り抜けてきたということです。

ただ、昔のクマムシは今より大きかったことも分かっており、おそらくは既に多様だったクマムシの幾種かは絶滅し、現世のクマムシだけが自然淘汰されたのでしょう。

あとは、最後の謎、そもそもなぜクマムシがそんな超能力を獲得することが出来たのか?

消去法でいえば、おそらく太古の時代に宇宙線を浴びてDNAが突然変異したのでしょう。あとは、宇宙から飛来説でしょうか。(念押しですが宇宙空間でも生存可能)

琥珀に包まれた神秘的なクマムシの研究は今でも続けられています。いつかその謎が解明されることを心から願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?