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宇宙年齢とダークマターの概念を一挙にひっくり返す理論

宇宙には最大の謎がいくつかあり、まだ見つかっていないダークマター(暗黒物質)については過去も取り上げてきました。直近の投稿を引用。

文中にある「5.既存理論の修正」で、1つ進展がありました。
しかも、この仮説は「宇宙年齢」とも直結しています。

宇宙年齢は、現在の膨張観測から、約138億年と見積もられています。
最近それに真向から対峙し、なんと「267億歳」とする仮説を提唱している研究者がいます。紹介した記事を載せておきます。

この267億年説を唱えたオタワ大学のグプタ(Rajendra Gupta)教授が、さらにその理論を発展させ、ついにダークマターまでも説明がつく、という論文を発表しています。

元の論文は下記です。

既存理論を修正、という流れなので、簡単に経緯から交通整理しておきます。どうしても薄〰くなる点はご容赦。

まず、今の物理法則は不変な「定数」を定義しています。例えば光の速さや重力の強さを表す定数(重力定数)とか、です。

今まで異論がなかったのは、今まではそれでつじつまがあったからです。

それがこの数年、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がより精密に初期の宇宙像を届けてくれたことで事情が変わってきます。
ようは、
「どうも想定以上に幼少期から成熟した銀河や星があるぞ」
ということです。過去記事も載せておきます。

グプタ教授は、これらの観測結果も援用しつつ、
「固定値と思い込んでいた「定数」は実は変動しているのではないか?」
という仮説にたどり着きました。(過去にも、ツヴィッキーとディラックが近いことを提唱)

具体的には、下記の定数が両方とも変化するというものです。
1.光の速さは時空間を経ると減衰→疲れた光説(TLと略称)
2.宇宙定数(宇宙膨張の度合い)が変化→共変動結合定数パラメータで引力(重力)が可変(CCCと略称)

今回の論文ではハイブリッドな疲れた光理論(CCC-TLと呼称)としてます。
差分は、ある観測結果を従来説(ΛCDMと呼称)よりも無理なく説明できた点にあります。つまり1つだけですが証拠を提示できた、ということです。

今の宇宙年齢は、恒星の光量などを基準にしており、それ自体が影響をうけることから補正して237億年歳と再計算しました。これが前回までです。

今回、それにダークマターまで説明つけちゃおうという話です。

そもそもこの物質は、銀河の回転速度を計算したら、理論値よりだいぶ遅い、つまり何か目に見えないモノがまとわりついている、という経緯です。

そして今回、理論的根拠だった「重力定数」が可変である、とすることで、回転速度がある程度説明がつくことを示しています。

つまり、「ダークマターなんて導入しなくてもいいよ」ということです。

いったんここまでにしておきます。念のためですが、まだ異端だった説が1つ証拠を提示したに過ぎないので、この説が世の中で騒がれるのはもう少しほかの研究グループが別の検証をする必要があるかなと思います。(元論文内では近いことを行っているグループもあるようです)

宇宙ミステリーファンの方、この仮説は要チェックです!

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