見出し画像

レントゲンで未来の太陽電池を健康診断

宇宙ファンには今はSLIMという月着陸船の挙動が気になっているのではないでしょうか?

まず、無事到着したことは誇るべき快挙です。

後半にも書いてますが、着陸は成功したものの、太陽電池パネルが機能しておらず、目下その機能をオフ状態にして再起を図っています。

ただ、データ自体は何とか発電なしで収集して地球に送信できたようなので、最低限の成果は収められそうです。
念のため、今回着陸地点は前人未到なので、わずかでも価値はあります☺

で、今回なぜ太陽電池がうまく作動しなかったのかは、まだ憶測の域は出ていませんが、想定外の姿勢だったと考えられています。
それが今後自転によって想定内の姿勢になれば、復活する可能性はあるとのことで、じっくりと待ちましょう。

今回はこの太陽電池についての新発見について。

宇宙空間で使えるエネルギーの大半は太陽電池(一部原子力や電気の力を採用)で、この性能が宇宙開発に大きく影響を与えるのは言うまでもないです。

性能を図る大きなカギは太陽から注がれる光エネルギーを電子が吸収し、電気エネルギーに変換する効率性です。

一般的に出回っているものは、シリコン素材でできており大体変換効率は10〰15%と言われています。

ただ、まだ価格が高いのと、ある程度厚みが必要で曲げたりすることはできません。特に宇宙に打ち上げるのであればコンパクトに収納できるのは大きなメリットです。

という背景で、今、シリコン以上の変換効率を誇り、しかも曲げられる新しい太陽電池素材が以前より注目を集めています。

その素材に関するブレークスルーがあったので紹介します。

その素材とは「ペロブスカイト」という結晶素材です。

日本の研究紹介で分かりやすいものがあったので載せておきます。

上記サイト内の図

結晶とは言え、なかなか複雑な構造物です。

この素材は、変換効率は初めは高いのですが、紫外線を浴びることで性能が大幅に劣化するという問題を抱えていました。

悩ましいのは、内部で何が起こっているのかがよくわかっていなかったわけです。

そこで今回の研究グループは、レントゲンでおなじみの「X線」を照射することで、紫外線にさらされたときの動きを詳細に観察することができるようになりました。

もう少し突っ込むと、その時のペロブスカイト内でのヨウ素(紫外線に反応)の動きで生じる空孔(空のスペース)が劣化の原因で、その形成過程がX線検査で分かったようです。

ということは、その過程を防ぐ方法さえ見つかれば、紫外線にも強く曲げられる(そして軽い!)夢の太陽電池に近づくわけです。

この素材だったら今回のSLIMの問題が防げたかは原因次第ですが、いずれにせよ今後の宇宙開発を一歩進めてくれることは間違いないでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?