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深海の帰巣本能:洞窟に導かれる小さな生命たち

生物の「知能」は、人類が最も総合力で高いといってよいと思います。

ただ、対象を無生物に広げると話が変わりつつあります。

OpenAIの最新モデルOpenAI o1が知能指数(IQ)120を記録したと、下記サイトが計測して発表しています。

上記サイト内の図

人間の平均IQは大体100といわれており、120は人間のなかでも上位10%に入る知能レベルに相当します。

IQが知能を総合的に計測できるツールでよいかはともかく、人工知能という人の知能を目指したマシンの歴史において、1つの記録的なマイルストーンかもしれません。(ただ、細かく言えばトレーニングデータによっては劣化する報告もあるので鵜呑みにはできません)

とはいえ、身体的な限界がないマシンであれば、今後スケールアップするのであとは工学上(もっと言えばいかにお金を使ってリソースを使えるか)の問題かなと思います。

ただ、たとえ生物に戻しても、分野を絞れば人間を超える能力を持つものはいくらでもあります。

Science誌で、海底生物が驚くべき能力をもっていることを記事で紹介しています。下記がその研究論文です。

主役は体長わずか 数ミリのアミと呼ばれる甲殻類(エビのようなイメージ)です。日本では釣りの餌で使われる「オキアミ」という名前が知られているかもしれませんね。

この極小のアミが、嗅覚を使って、自分たちの住処である深い海底の洞窟に戻ることができることに気づきます。

アミは、日暮れになると生息地の洞窟を出て外洋に出て餌を探します。そして捕食者を避けるため、夜明け前に洞窟に戻ってじっとしています。過去の研究では、アミは洞窟を離れるときに光を使って方向を定めることが分かっていました。

つまり、まだ真っ黒な海底の状態で、確実に自身の生息地である洞窟を探り当てることが出来るというわけです。人間の裸の能力では不可能ですね。

しかもそれが嗅覚というのが興味深いです。

研究者は、それぞれの洞窟の水には独特の化学的特徴があり、それがおそらくアミの行動を誘導しているのでは、と思い当たります。洞窟独特の「匂い」を与えるものが何なのかは正確にはわからないが、研究者らは、洞窟に生息する海綿動物が放出する化合物が役割を果たしているのではないかという仮説をたてています。

ある意味共存共栄ですね。同時にそれは、気候変動等によって洞窟の生態系が変化するとその匂いが変わることを意味します。

匂いを嗅ぐ、という人類にとっては日常生活に根差した何気ない行為が、アミとその周辺の生物にとっては文字通り死活問題なわけですね。そんな生存競争を潜り抜けたからこそ、超能力を身に着けたのかもしれません。

そもそも嗅覚というメカニズムに関心が引き寄せられてきました。

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