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ヘビー級でも柔軟なファルコン兄さん

イーロン・マスクの宇宙事業SpaceXで、打ち上げが行われました。
まずはこちらの映像をご覧ください。

こちらはPsyche(プシケ)ミッションと呼ばれている小惑星探査を目的とした計画です。

名前の由来は、火星と木星の間の軌道を公転する小惑星「プシケ」で、そこにあると思われている「金属コア」を探索することを主に目指しています。
また、火星の大気や二重小惑星を研究するJanusプロジェクトといった二次任務も含まれています。

そして、これを打ち上げたのがSpaceXの「ファルコンヘビー」と呼ぶ上位機種です。
まだ商用化間もないので実績数(投稿時点で8回)は普及機のファルコン9(200回以上)より劣りますが、その能力はすさまじいものがあります。

ペイロード(積載質量)の比較図を見つけたので引用します。

https://i.gzn.jp/img/2018/02/07/spacex-falcon-heavy-launch/02.jpg

弟のファルコン9の約3倍という積載能力です。力持ちですね。

さぞエンジンも強力なものを・・・とおもっていたら、エンジン自体は弟と同じマーリンエンジンを採用していました。

ファルコン9は、このエンジンを9つ積んでいます。それを27個(3倍)積んでいるのでこの推進能力を獲得できているということです。
もう少しいえば、ファルコンヘビーには3つのブースターがあり、そのうち左右の物理的に分かれた2つはファルコン9そのものです。
子供じみた表現を許していただければ、小さなロボットたちが合体する巨大ロボットですね。

さらっと言いましたが、これだけの数のエンジンを1つのロケットに積んで成功したのは文字通り史上初の偉業です。

過去に旧ソ連も同じ発想でN-1というロケットを製造したのですがうまくいきませんでした。詳細は関連記事に委ねておきます。

27個の隣り合ったエンジンをバランスよく噴射しないと行きたい方向に進めないのは直観的にわかるかと思います。

この方法が確立されると、さらにこのエンジンを拡張するだけで、ヘビーのように性能が向上します。
新型エンジンにはリスクがつきものなので、それが安心できると極めて拡張性の高いロケット開発につながります。

しかも、最大5発が不具合で動かなくても継続できるしなやかさも備えています。システム工学の観点でも優秀ですね〰。

このファルコンヘビーが初めて飛行テストを行ったときの映像は何度見ても感動ものなので共有しておきます。

さらに、SpaceXはさらにその上位機種Starshipを開発中です。積載能力はヘビーのさらに2倍(100t超)です。

となるとエンジンもさらに2倍の数?と思うかもしれませんが、こちらは「ラプター」と呼ばれる新型エンジンを開発しました。

詳細は、過去の関連投稿を載せておきます。

上記にも触れてますが、このエンジンの燃料も従来と異なっており、「メタン」を使います。
これは燃料性能比較だけでなく、最終目的地の火星での調達も視野に入れているからです。

今回はファルコンヘビーの積み荷が火星付近に行きますが、Starshipはロケット自体がそこまで旅行するということですね。

まさにSFと現実が融合する時代に突入しました。まずは今回のヘビーだけど柔軟性のある打ち上げ成功に祝砲を送りたいと思います。

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