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「かみのけ」にまつわる宇宙のはなし

「かみのけ」は頭上だけでなく宇宙にも存在します。

「かみのけ座銀河団」という銀河が集まった構造で、宇宙の歴史を語る上で重要な役割を担っています。

ちなみに、我々が所属する天の川銀河以外に、宇宙は天文学的(最低1000億)な数があり、それらが密集している場所を「銀河団」といいます。
ようは、宇宙も寂しい空洞だけでなくムラがあるということですね。

名前の由来は、エジプト神話です。王妃の髪が美しいので神に献上したが、その前になにものかに盗難されてしまいます。
その場で従者が機転を利かして、神が気に入ってお空に召上げた、と強引に納得させて大団円、となったのがこの星座です。なかなかおしゃれで個人的に気に入っています。

Wiki「かみのけ座」(真ん中上部の髪の毛)

神話の面白さだけでなく、この銀河団は学術的にも注目されています。

1930年代になると、ハッブルが観測で宇宙が膨張していることを検証し、具体的な測定が行われます。

その一人で天文学者のツヴィッキーが、かみのけ座銀河団を丹念に調査したところ、興味深いことが分かりました。過去に少しこの方紹介したことがあるので載せておきます。

当時としては時代を先取りしていた超新星研究のパイオニアだったりします。ただ、口が悪いことでも有名で(決まり文句は「ろくでなしめ」)あまり当時は継承されなかったよう・・・。

で、このツヴィッキーの調査で奇妙な不整合に気づきます。

銀河団の明るさ(光量)と運動速度から、それぞれ独自に質量が算出できることが分かっていました。(詳細は割愛)

結果は、運動から求めた質量が明るさのそれよりも約160倍であった、という驚くべき結果です。誤差とするには大きすぎる。

彼の仮説は、まだ我々が見つけていない(質量をもった)物質があるのではないか?ということで、「ダークマター(暗黒物質)」と名付けます。

この言葉は過去何度もふれているので、1つだけ過去の関連記事を載せておきます。

つまり、ツヴィッキーの研究から(厳密にはあまり当時は継承されず1970年代に再燃)ダークマターの研究が現在も続けられているわけです。

そして現代、再び「かみのけ座銀河団」がクローズアップされた記事を紹介します。

ようは、
この銀河団にダークマターによるフィラメントの全体構造を発見した、
という話です。

上記記事の図を貼っておきます。

上記記事の図

従来もこういった図の局所的なものは撮像されていましたが、近い距離(3.2億年)でここまで広範囲なものは初めてです。ダークマター解明への重要な証拠材料となりますね。

この偉業は、日本のすばる望遠鏡が実現しました。

すばる望遠鏡では、宇宙創成の鍵ともされる別の物質(天体)の調査も行っています。

ちなみに、由来となった美しい「かみのけ」を献上しようとした神は、美の女神アフロディーテです。

「宇宙創成」という、美しいほど深遠な謎にまさにふさわしい登場人物ではないでしょうか。

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