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アインシュタインの十字架から暗黒物質の正体がつかめる!?

以前にこんな投稿をしました。

単に美しい天文現象をみれてよかった、と思っていたら思わぬ発展を示す記事を見つけました。(タイトル画像も本文内の画像より。Credit: ESA/NASA)

ようは、
アインシュタインの十字架を解析すると、暗黒物質の正体がつかめるかもしれない、
という話です。

いきなり暗黒物質(ダークマター)が登場して、はじめは自分も混乱しました。

まず、暗黒物質については過去にも何度か投稿したので基礎情報はそちらに委ねます。

一言でいえば、今の実測で銀河が安定するために必要な重力から導かれる未知の物質(=重力またはエネルギーを持つ)のことです。

その有力候補は、まだ見つかってない素粒子で、さらには下記の2種類に大別されます。(若干ソースによっては違う分類方法もあります。今回は上記の元記事の書き方に従ってます)
WIMP:Weakly interacting massive particles
アクシオン:暗黒物質だけでなくCP対称性問題にとっても必要と考えられている素粒子

標準模型については、現時点で存在が見つかっているほぼすべての素粒子を分類することに成功しています。

CP(Charge conjugationとParityの頭文字)対称性問題は、標準モデルを確立する過程で提案された1つの仮説で、そこに登場するのがアクシオンです。(主旨ではないので今回は流します。。。)

各国がアクシオンと仮定した観測実験をくりひろげており、2023年での日本の取り組み例を1つ紹介しておきます。

鉄の同位体との反応結果から間接的に検出できる仕組みのようです。
そして、本文にもあるように、2030年代の打上げ予定の大型X線天文衛星「Athena」にも搭載されるため、もしアクシオンだとすれば脚光を浴びることになるかもしれません。


それで本題です。

もし暗黒物質の正体がアクシオンであったとすると、今回話題に上がったアインシュタインの十字架(含む重力レンズの像)の見え方が違ってくる、もっといえば波のようにふるまう、というのが今回のポイントです。

そしてとある研究者が両方のパターンでこのアインシュタインリングを解析した結果、どうもアクシオンの可能性が高い、という結果を得たそうです。

暗黒物質は、途中の過去投稿でも触れたとおり、あること自体が確定したわけでもなく、「あるとしないと説明がつかない」物質です。

まだ一部では暗黒物質は存在しない(例えば前提となる測定方法に疑義)という説もありますが、今回のように思わぬところから犯人捜しが一歩進むのは、よりミステリ感が出て読者としては楽しめます。

今後も思わぬ角度から暗黒物質の手がかりがつかめるかもしれません。

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