カンバン_21

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.21

課題3:社会貢献したくなるコピー
 ・考えると、間に合わなくなることがある。

2月も終わるころになって、やっと課題3に到着できました。予想より1ヶ月くらい遅れていますかね。この1ヶ月はありがたいことに、仕事が忙しく休む日もなく書き続けていましたが、諸々の結果は来月出るということで少し時間ができました。

次の課題は『社会貢献したくなるコピー』という、また難問です。この解説の確認から始めます。

課題3 社会貢献したくなるコピー
寄付、ボランティア、プロボノ等をはじめるきっかけは、誰かの役に立ちたい、誰かに喜んでもらいたいとの理由が多いようです。そこで、社会貢献をあまり難しくとらえずに、最初の一歩を踏み出せるコピーを募集します。 ※プロボノ:各分野の専門家が、知識や経験を生かして社会貢献する活動のこと。
※SCCしずおかコピー大賞HPより

現代はいろいろなボランティア活動の方法があり、思いや状況も様々ある。だからこそ、気軽に始めるきっかけをコピーで生み出してみよう! ということのようです。

ハードルを下げること。
モチベーションに働きかけること。

このあたりを押さえることができれば、課題をクリアしたコピーになりそうです。

この課題の1番目は、表題のコピー『考えると、間に合わなくなることがある。』。何を考えているのか? 何が間に合わなくなるのか? じぶんゴト化して考えてみる。

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課題に紐づくとすると、『考える』=立ち止まる、ということではないかと思う。思考しているうちに時間が過ぎる。現状のじぶんのままで、立ち止まっている状態を指しているのだろう。この状態が続くことによって、『間に合わなくなる』という状況に陥る。

大なり小なり、間に合わないというのはあるだろう。どのような社会貢献に関わるボランティア活動にも、困っている人の求めに応じて行われるのであれば、困っている間に完結できなければ、意味をなさなくなる。一定の期間に仕掛かり、終了するということが大事なことになる。

だからこそ、立ち止まっていることでのタイムロスは、減らすにこしたことはないと言える。

これらを総括して、そのタイムロス問題を気づかせることを目的に書かれたコピーであることは、まず間違っていないだろう。間違っていないはずなのに、このコピーの読後感は、あまりよくない。

ポジティブさがないコピーは弱い。
このコピーの文章に問題はなく、内容も多くの人に伝わると思う。読むのに優しいコトバ表現。短文。キャッチフレーズとしては問題ない。でも、なぜか、読み込むほど、気持ちが滅入ってくる。それは、このコピーがネガティブな結果(最悪の結果は生き死にの問題まで)を想像させているからだ。

広告の表現であるコピーは、ニュースではないため、悲惨な結果から想像を膨らめる手法を嫌う。なぜなら、積極的な気持ちを誘発しプラスの感情で行動させなければならないのに、マイナスの感情を持たせてしまったら・・・、キャンペーンであれば失敗です。もちろん、コピーとしても魅力が後退し弱くなる。

『間に合わなくなる』という前提は、困ったままを放置したという状況を示し、暗示させ、その逆接として行動を促す『追い込み大作戦』を使っている。追い込むことで押し出されてくるのは強制からくる義務感。求めている自発的な気持ちからかけ離れていってしまうのだ。ファイナリストに留まったのも、このポジティブさの欠如からきていると思われる。

だが、このコピーはコンセプトとしては成立している。
『考えると、間に合わなくなることがある。』という現実のもと、間に合わせる為に、いかに前向きで積極的な気持ちを誘発し行動をさせていくのか⁉︎ それを問うのが今回の課題の目的と言っていい。だから、示す方向は間違っていないのだ。

vol.9に書いた「コピーはアイデアや表現も大切だが、コンセプトにあたる『何を言うか(What to Say)』も大切だと思う。」
これの真逆の例だと思われる。

このコピーは、コトバによる表現の奥深さを示している。コンセプトには辿り着いた。でも、『どう言うか(How to Say)』まで到達できなかった。ネガティブな着地点ならポジティブな着地点に変換する。そのレトリックをぜひ身につけ、駆使してもらえればと思います。


※作品(コピー)の版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
https://shizuokacc.com/award/

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