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「売り込み臭い」リリースは即刻ゴミ箱へ!

マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。

1.メディアアプローチ方法のカン違い

ここ数年で、公共機関や大企業だけでなく、中小やベンチャー企業の間にもプレスリリースの手法が急速に広まってきました。それに伴って、報道の現場が困る場面も増えていると聞きました。

リリースを乱発する企業のアプローチ、その多くが「売り込み臭」の強いものばかりで、ネタにならないばかりか、その対応に記者が余分な時間を取られているのだそうです。これは経営者や広報担当者が広告とPRの違いを理解せず、メディアの視点に寄り添えていないことからくる間違いです。

「売り込み臭」には二つあって、ひとつは、リリースの文言がチラシの広告コピーそのものであるようなケース。極端な場合は、商品のチラシやパンフレットをそのまんま送ってくる会社もあるといいます。

広告では当たり前に使われる「今だけお得な○○%オフ」とか「店長のオススメ、おいしさ太鼓判!」とか「フェミニンでコンサバな季節先取りアウター」とか、刺激的だけど抽象的なコピーがリリースに並んでいると、記者はチラッと見てムッとして、すぐにゴミ箱に直行です。

「広告したいなら金払って広告枠を買ってくれよ!」というわけです。

2.記事と広告の違いを理解していない

マスメディアの記事は広告ではありません。プレスリリースに広告のコピーを流用しては絶対にNGなのです。必ずプレスリリース専用の文章を考えてください。

「この商品・サービスは具体的にこのような点が他社より○○%優れていて、これが広がることによって、社会に対してこんな影響を与えることになる。将来的に暮らしがこう変わる」、といった、社会に有益な情報を、なるべく「事実として」「客観的に」「具体的に」お知らせするのがプレスリリースです。

もうひとつの「売り込み臭」は、営業まがいの電話攻勢です。メディアにプレスリリースをFAXしたのち、「○○についてリリースをお送りしました。読んでいただけましたか?」と確認する電話。電話の相手が何度か取材してくれた顔見知りの記者の場合、ここらへんまでは許されます。「何かご不明な点や追加資料が必要であればご連絡ください」ってくらいの念押しも、まあ許容範囲でしょう。(それでも私はしませんけどね。)

でも中には、記者が質問もしてないのに、勝手に商品の説明を延々としたり、「この商品は△△で当社のイチオシなんです。ぜひとも記事で紹介してください」って必死にアピールしてくる人がいるそうです。営業熱心なのは良いのですが、記者にとっては、こうした時間泥棒的な電話がいちばん迷惑なんですよね。記事の間違いを指摘するクレーム電話と同じぐらいめんどくさい。

「面白いと思えば勝手に書くからほっといてくれ」と言いたいのを我慢して売り込み話を聞き流し、電話を切った後、ため息とともに手元にあったプレスリリースをゴミ箱に放り込みます。

その後、この会社の名前が入ったリリースはすべて黙殺されるでしょう。

3.宣伝に利用していると感じさせたらアウト

記者に営業トークをしてはいけません。記者は売り込みが嫌いなんです。売り込まれたら「あんたの商売のために記事を書いているわけじゃない」と反発するものなんです。自分が企業の宣伝のために「利用されている」と感じたらそこでアウト

もし「押しの一手」で一度は記事が出ても、記者とのコミュニケーションができたわけではないので絶対に長続きしません。注意してくださいね。

これまでに何度もお伝えしていますが、広報・PRは「無料でできる広告」ではありません。なぜこの情報を世間の人たちが広く知っているべきなのか?という視点をもちながら、記者に主導権を与えて、判断をゆだねましょう。

まあ、本当にメディアを味方につけるのがうまい経営者や広報担当者は、売り込みと感じさせないソフトかつ強引なアプローチの仕方や、(売り込みだとわかっていても)「あの人が言うなら取材しなくちゃ」と思わせるほど、記者の人心掌握術を心得ているものなんですけどね。

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