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【閲覧注意】感想文!学校の先生には見せられないバージョン!

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表面的なこころの動きは、 もう述べなくてもいいかな。 そんなおとなの、おとなのための感想文。 物語の手が撫でた、 こころのいちばん奥を ここで開いてみます。
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記事一覧

吉村萬壱『臣女』を読んで

吉村萬壱『臣女』を読んで

感想文、学校の先生には見せられないバージョン③

              こい瀬 伊音

 この物語は、第22回島清恋愛文学賞受賞作。
 そして、夫婦の純愛小説。
 受け取り方は人によって色々なんだろうと思うけれど、わたしはシンプルに現代の「愛」と「介護」の物語、と感じました。
 お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、このままじゃ帯どおりです。現代の、がついただけです。

 夫が妻を一人き

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感想文『藻屑蟹』赤松利市

感想文『藻屑蟹』赤松利市

学校の先生には見せられないバージョン②

             こい瀬 伊音

 言葉が、浮かばない。
 ただ、自分のなかから音が聞こえる。

 古い機械のモーターが、苦しげにうなりをあげる。
 だんだんと回転数をあげていく。
 すり減って焼き切れるまで、
 ぱちんと弾けとんでしまうまで、
 これはつづくんじゃないか。

 あれから、
 美しさのなかに、汚れは溶かされ隠されている。
 例えば今

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村上春樹の短編「木野」を読んで

村上春樹の短編「木野」を読んで

『女のいない男たち』より
学校の先生には見せられないバージョン①

              こい瀬 伊音

 ハルキハルキってみんないうけど。
 わたしにはとんと、よさがわからなかった。
 なんでだろう?みんなにはわかるのに、わたしにはわからない。読解力が、人並外れて足りないわけではないだろう。そうするとあとひとつ、残されている答えは。
 みんなの中に当然にある感覚器が、わたしに備わっていない

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