- 運営しているクリエイター
#現代詩
詩「ある老いた清貧の願い」
老人が友人を富ませ
父は祖父に忖度する
老獪な視界の先で
母は娘は頬をひきつらせる
失われた世代は分断を強いられ
若者が絶望を見て権威の広告塔を撃てば
富める老人が群がり最上級の葬式を出すという
子のポケットは裏返され続け
なけなしの一割をむしりとられる
坂を転げ落ちながら願うのは
バスの後ろまでの点検
子どもが死なず若者の苦しまない日常
傾きの増す船を
もうすぐ降りるその前に
2022.09
#4-① 重ねて重ねて重ねまくる/ 詩「ゆれる」
文体の舵をとれ
練習問題4
問1 語句の反復使用
一段落(300文字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと。
そんなにもゆれてゆれてゆれているのはなにかと聞いているのです、と僕が云うと、足元も、目の前も、あなたの顔もです、と聡子が答える。
ゆれてゆれてゆれているのはあなたのこころではないのですか。混乱のあまり、僕は聡子の言葉を執拗に追って
詩「なないろの表面」
よくばりになるときえる
よくばりになると
だからわたしはてばなして
きえないようにそっとはなれる
よくばってしまうことは
ほしがってみることは
だからわがままでいけないと
そっとはなれ
そっとはなれ
わたしはどこにいるといえる
きえないために
けさないために
正体はひといろ
なないろにかくして