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詩「背中」


「背中」

            こい瀬 伊音


削って削って削りでた木は舟になって
川に浮かんでいくのです

削って削って飛び散る銀を
指で広げていくのです

削られ削られとがった先でいっぽんの線を引く
細く細く息をして
舟を忘れて

見上げていた目でふりかえれば
裾模様と
海に浮かぶ大船団

千里走れる脚
幾山川越えていく杖
あの光るところへ
頂へ


2021.09.26

書くことが、
たとえば命を削っているみたいで。

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