セッション定番曲その115:Teach Me Tonight
ジャズセッション定番曲。女性ボーカリストに人気があります。歌詞の内容的には「男性が歌うと気持ち悪い曲」のひとつではありますが・・・
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:ABCから教えてよ
We'll start with the ABC of it
Then we'll roll down to the XYZ of it
それ(恋愛)のABCから始めるの
そして最後はXYZまで行くのよ
沖田浩之の「E気持ち」を思い出しちゃう年代の方もいるかもしれません。それもABCでは終わらずにXYZまで行っちゃう、と。具体的にはどこまで行くんでしょう?
ポイント2:教師なのに・・・
One thing isn't very clear, my love
Should the teacher stand so near, my love?
Graduation's almost here, my love
Yeah, yeah teach me tonight
はっきりしておきたいんだけど・・・
あなたは教師なのにそんなに生徒のそばにいていいの?
もうすぐ私は「卒業」なのよ
今夜(あれこれ)教えてよ
どう考えても女子生徒が男性教師を誘惑していて、教師もその気になってしまっている、という話です。「卒業」の意味も深いですね。昔から早熟な女子生徒の話は映画やドラマの題材になっていますね。生徒が現役の学生のうちにうっかり手を出すと、教師も大変なことになってしまいそうですが、そういう危うい状況も含めて興奮するのでしょうね・・・
ポイント3:男性が歌うと気持ち悪い曲
日本の演歌などでは女性の気持ちを男性歌手が歌った曲もありますが、ジャズ曲の場合はよほど上手く歌わないとちょっと気持ち悪いかもしれません。
Just Squeeze Me
Shiny Stockings
Girl Talk
If I Were A Bell
Lover Man
なども歌詞の内容や物語を考えると「男性が歌うと気持ち悪い曲」ではあります。
どう工夫するか・・・
・女性の気持ちになって表現して歌う
・男性のままで「女性の気持ちを歌う曲」として表現して歌う
・いまや恋愛に既存の性別は関係ないぜ
色々とアプローチはありそうですね。
ポイント4:夜空は黒板
それまで生々しい会話が歌詞だったのに、Bパートだけいきなりポエムっぽい内容になります。
Well the sky's a blackboard high above you
And if a shooting star goes by
I'll use that star to write I love you
A thousand times across the sky
夜空はまるでとても高いところにある黒板みたい
もし流れ星を見つけたら
それを使って「愛してる」って書くわ
空いっぱいに何千回でも
「黒板」という単語が学校の教室を連想させて、洒落ていますね。
ただのバカ女じゃなくて、気の利いた表現が出来る若い女性だということが分かります。
歌詞を素直に読むと「女子生徒と男性教師」の話に聞こえますが、実際には女性はもう学生ではなく大人になりかかっている年齢で、男性に向かって「恋の教師(ティーチャー)になってよ」と口説いているのかもしれません。
ポイント5:韻を踏んでいる箇所
沢山あります。それを意識して発音/発声することでリズミカルになって歌にメリハリが付きます。発音は難しくないものばかりなので、練習しましょう。
Did you say I've got a lot to learn
Well, don't think I'm trying not to learn
Since this is the perfect spot to learn
We'll start with the A B C of it
Then we'll roll down to the X Y Z of it
Help me solve the mystery of it
One thing isn't very clear, my love
Should the teacher stand so near, my love?
Graduation's almost here, my love
韻を踏んでいるというよりも同じ単語を繰り返しているということですが。
Well the sky's a blackboard high above you
And if a shooting star goes by
I'll use that star to write I love you
A thousand times across the sky
「by」と「sky」で韻を踏んでいますね。
ジャズボーカルでは流麗なスキャットも素敵ですが、まずこういう基本的な要素を理解して、しっかり歌うことが大事ですね。
ポイント6:男性ボーカル
いきなり前述を覆すみたいですが、素敵に歌いこなしている例を
Nat King Cole
相変わらずの優しい声で、少しだけ色気を加えて歌っています。
James Taylor
「物語」を歌っている感じですね。
Al Jarreau
自己主張の強い歌が多い人ですが、ここではしっとり歌っています。
ポイント7:女性ボーカル
様々な年齢層の女性歌手が歌っていますが、ウブな感じをどう表現するかですね。Blossom Dearieとかはいつもこんな感じなのでヤバいです。
Natalie Cole
可愛い声で、若々しい感じ。
Nicole Henry
かなり艶っぽい感じで、これはオトナの恋愛ゲームかな。
Blossom Dearie
このぶりっ子っぽい感じが似合っていますね。
Ella Fitzgerald
1975年のライブ録音。
題材としては面白いけど、歌詞の内容の表現としてはどうかなぁ?
Etta James
逞しい女性が迫っている感じで、ちょっと怖いっす。
ポイント8:インスト
歌抜きの演奏もかなりあります。テーマのメロディ自体が素敵ですから。
Red Garland Trio
Ray Brown Trio
Erroll Garner
◾️歌詞
Did you say I've got a lot to learn
Well, don't think I'm trying not to learn
Since this is the perfect spot to learn
Teach me tonight
We'll start with the A B C of it
Then we'll roll down to the X Y Z of it
Help me solve the mystery of it
Oh, come on and teach me tonight
Well the sky's a blackboard high above you
And if a shooting star goes by
I'll use that star to write I love you
A thousand times across the sky
One thing isn't very clear, my love
Should the teacher stand so near, my love?
Graduation's almost here, my love
Yeah, yeah teach me tonight