コハル

2022年 短編小説投稿予定✏️ 2021年 1/1~12/31 366日の記念日小説…

コハル

2022年 短編小説投稿予定✏️ 2021年 1/1~12/31 366日の記念日小説【今日のものがたり】✏️ 2020年 短編小説2本✏️ 2019年 野球小説5本✏️ 【プロ野球オフシーズン企画 12球団スペシャルリレーエッセイ】✏️ ⚾マガジンあります⚾

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  • プロ野球オフシーズン企画 12球団スペシャルリレーエッセイ

    日本のプロ野球は春に開幕し、秋に閉幕します。 冬になると野球の試合がなくなり、プロ野球ファンにとっては心にぽっかり穴が開いたような寂しい日々が続きます。 そんな身も心も特に寒く感じる冬の1ヵ月間、プロ野球選手がファンの皆様の身も心も温めようと立ち上がりました。 それがこちらの“全12球団スペシャルリレーエッセイ”です。 バットとグラブをペンに持ち替えて、全12球団の選手がリレーエッセイに挑みます。 毎日日替わりで選手たちが語ります。どうぞお楽しみに! 終わりにこれだけは記しておきます。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・名称等とはいっさい関係ありません。

最近の記事

【短編小説】桜に祈りを

 小さな丘の上で桜が咲いている。  私はその近くの会社で働いていて、開けた窓から時おり花びらが舞い込んでくる。ふわりと、春の香りを漂わせて。  このところ毎日のように桜の歌をテレビやラジオ、会社で流している有線放送で耳にする。桜の曲は好きだ。 (あ……)  ティッシュで鼻をかむ。不意にゆるんだ涙腺をごまかすために。そうなる理由はわかっている。あの日の記憶がよみがえるからだ。  私がまだ小学生だった春の日のことを――。  晴れてるからいいよね、と私は学校帰りに桜の木

    • 2月1日はプロ野球界のお正月です⚾ 1年前に書いたものになりますが、“球春到来”のものがたり、あります😊✨ https://note.com/koharu_note/n/n261538970716

      • 新しいお話は春頃に……と言っておきながらショートストーリーをupいたしました。新年あけて小説を読んでいたら、書きたいなぁという気持ちがわいてきたのでした😊 今後もゆったりペースで書いていきます📝

        • 雨の日も好きになれたらいいのに【ショートストーリー】#001

          「あけましておめでとうございます」  会社で新年の挨拶をする。室内の空気もどこか新春といった雰囲気を纏っているし(それは門松が置いてあるからかもしれないが)、カレンダーも表紙をめくった一枚目で紙もぴんぴん真新しい。  10日前はまだ去年だった、というとなにやらおかしな日本語にも聞こえるが事実は事実である。書類に西暦や年号を書くとき一瞬止まってカレンダーを確認して、そうだそうだ、年が明けたのだと苦笑しながら今年の日付を記入する。  そういうどことなくふわふわした感じが1月

        【短編小説】桜に祈りを

        • 2月1日はプロ野球界のお正月です⚾ 1年前に書いたものになりますが、“球春到来”のものがたり、あります😊✨ https://note.com/koharu_note/n/n261538970716

        • 新しいお話は春頃に……と言っておきながらショートストーリーをupいたしました。新年あけて小説を読んでいたら、書きたいなぁという気持ちがわいてきたのでした😊 今後もゆったりペースで書いていきます📝

        • 雨の日も好きになれたらいいのに【ショートストーリー】#001

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        • プロ野球オフシーズン企画 12球団スペシャルリレーエッセイ
          30本

        記事

          今日のものがたりを終えて

           2021年1月1日から始めた『今日のものがたり』は本日12月31日をもって一区切りとなります。  366日すべてが何かしらの記念日だと知って、いつかそれにまつわる物語が書けたらなぁと思っていました。やるぞ、という背中を押してくれたのは去年の春、革命が起きたと思うくらいの衝撃的な出会いがきっかけでした。  始まってすぐは現実の日付と、ものがたりの日にちが合っていましたが次第に遅れるようになり……何とか秋に追いつき、大晦日まで完走することができました。 『今日のものがた

          今日のものがたりを終えて

          12月31日 しあわせの大晦日【今日のものがたり】

           大晦日。戸村ベーカリーも年末年始の休業期間に入っており、店内は静まりかえっている。……いや、クラシックギターの心地よい音色が聞こえてきた。 「里子さん、この曲……」  エプロン姿の里子さんが小さな箱を持ちながら奥から現れた。 「アネモスの『冬の日の帰り道』」 「やーやっぱり染み入るねー。実は、僕のなかで殿堂入りしているんだ、冬の日の帰り道は」 「殿堂入りって……でも、そうね、私も殿堂入りしているのかも。あの頃の思い出の曲だから」  あの頃がいつのことかわかる僕は、里

          12月31日 しあわせの大晦日【今日のものがたり】

          12月30日 地下鉄の風【今日のものがたり】

           地下鉄の階段をふたりでおりていた。 「風が吹いても博くんの髪って乱れないんだね。いいな」  優しく微笑む彼女の髪はけっこう乱れていて、でも、それすらも愛おしく思えた。それから数年後、とある理由で伸ばしていた髪を私はばっさり切った。そうすることで踏ん切りをつけたかったのかもしれない。実際は床に落ちた髪を見て、むなしさだけが心に残った。  それでも日々は容赦なくすぎていき、取り残された気持ちから少しでも離れたくて僕は、地下鉄に乗って映画館へ足を運ぶようになった。駅を降りて

          12月30日 地下鉄の風【今日のものがたり】

          12月29日 福を招くのは【今日のものがたり】

           出会いというものは突然だ。  この一年、私は両親の経営するパン屋さんを手伝ったことが縁で素敵な人たちと出会うことができた。  魔法使いのアーリンさん。  吸血鬼のドリスコルさん。  その二人は今、目の前にいる。 「ア、アーリン様ッ」 「だから、“様”はやめてよ」 「いえ。命の恩人ですから“様”をつけさせて下さい」 「いや」 「そんなぁ」  このやりとりをもう何度も聞いている。だからこれが、アーリンさんにとって本当は嫌なことではなくて、心では嬉しいと思っていること。そ

          12月29日 福を招くのは【今日のものがたり】

          12月28日 元気になったら映画もラジオも【今日のものがたり】

           あの日以来、私の好きな食べ物がいちごジャムのパンになったのは間違いない。でもそれは、清永と一緒に食べるいちごジャムのパンと言ったほうが正しいかもしれない。  だって今、好きなはずのいちごジャムのパンを食べていても、なんだかどこか寂しいから。 『本当にごめん』  朝、清永からメッセージが届いた。熱が出て、映画を一緒に見に行けないという連絡だった。 『私は大丈夫だから、お大事ね。ラジオ聴いて元気になりますように』  本当はすごく残念で100%大丈夫ではなかったけど、清永

          12月28日 元気になったら映画もラジオも【今日のものがたり】

          12月27日 粉寒天をいただいたので【今日のものがたり】

           今年最後のお菓子同好会の集いである。  さきほどまで、先日のクリスマスにそれぞれが食べたクリスマスケーキについての報告をしあっていたところだ。議事録者は俺湯本 蒼士。パソコンに内容を打ち込みながら、みんなが撮ってきたケーキ写真をチラチラ見ている。めちゃくちゃおいしそうだ。  来季こそは同好会から部活動へ昇格して、もっともっと活発に活動していきたいなぁ。 「みんなにこれあげる」  神坂がクリスマス柄の袋から何かを取り出す。どうやら、ひとつ一つ個包装になっているようだ。

          12月27日 粉寒天をいただいたので【今日のものがたり】

          12月26日 プロ野球選手として【今日のものがたり】

           球団と来季の契約を無事終えて、僕は実家に帰省した。 「お兄ちゃん、なんかゴツくなったね」  久しぶりに会った妹の紗凪の第一声がそれだった。ケガをしない強い身体になりたくてトレーニングをし続けたこの一年。結果、離脱するようなケガはせず、プロになって初めて一年間休みなくプレーできた。 「まだまだだけどな」 「え、もっとマッチョになるの?」 「マッチョって……まぁ、力はもっとつけたいと思ってる」 「……プロ野球選手って大変なんだね」 「どんな職業だって大変だよ」 「かもしれ

          12月26日 プロ野球選手として【今日のものがたり】

          12月25日 メリークリスマス【今日のものがたり】

          「北山さん、こちらのツリーも片づけますか? 今日がまさにクリスマスですけど」 「そうなんだよね。ただ、明日からオフィスは閉まるし、そのまま年明けて出勤してクリスマスツリーがあったらちょっと違和感を感じるよね……」 今日は僕の働いている会社の仕事納めの日だ。ということでオフィス内を上司の北山さんと掃除している。ここに務めているのはふたりだけなので、ものもそんなに増えてはいないし、ほぼ毎日掃除機もかけているので正直きれいだ。  でも、年末=大掃除みたいなイメージは僕にもあるので

          12月25日 メリークリスマス【今日のものがたり】

          12月24日 クリスマスプレゼント【今日のものがたり】

           職員玄関のそばにふわりと降り立つものがある。それは、そりをひくトナカイと…… 「サンタクロースさん、今年もお疲れ様でした! 今回は結構時間かかりましたね」  そう、12月24日クリスマス・イヴの夜に子どもたちへプレゼントを贈り届けるサンタクロースさんだ。役目を終えるとそれぞれ決まった場所へ行くことになっている。僕がいる学校もその場所のひとつで、年に1回サンタクロースさんとトナカイさんに会えるのがひそかな楽しみでもある。  ただ、今年は満月じゃないから僕――実は人体模型

          12月24日 クリスマスプレゼント【今日のものがたり】

          12月23日 東京タワーのおみやげを【今日のものがたり】

          「いつもご利用ありがとうございます。お二人に、よかったらどうぞ」  僕の勤務先である山穂図書室。ここは廃校になった学校の図書室を改装して、村民の誰もが通える憩いの場として開いている図書室だ。僕が“憩いの場”と呼ばれるところで働いてもいいものなのか、この仕事を受けておきながら未だにどこか戸惑いというか申し訳ない気持ちがある。 「わー! ありがとうございます! てるてる先生の東京おみやげ!」 「あ、ありがとうございます……」  それでも、白倉兄妹──灯里さんと灯馬くんのよう

          12月23日 東京タワーのおみやげを【今日のものがたり】

          12月22日 第九とスープとゆず湯にあこがれ【今日のものがたり】

           とある小学校からこんばんは。 「草木も眠る丑三つ時──もしかしたら僕、この言葉が好きなのかもしれません」  誰に告白しているのかと言いますとトイレの花子さんにしています。花子姉さんは僕のなんてことない話も聞いてくれる優しい姉さんなのです。 「なんてことないっていう自覚はあるのね」  そうたまに、いや、ちょくちょく僕の心まで読んで返してきてくれるのです。  だからこの草木も眠る丑三つ時が僕はお気に入りの時間だったりします。しかもこの時季は“第九”がBGMになるので、こ

          12月22日 第九とスープとゆず湯にあこがれ【今日のものがたり】

          12月21日 きっかけは遠距離恋愛【今日のものがたり】

           俺は、情報番組の占いコーナーを毎日チェックしている。今日の星座占いでラッキープレイスがデパートだと言われたのでやってきている。そうしたら、二度見、いや、三度見してしまう貼り紙を見つけてしまった。 『占い師として働きたいあなたへ』  俺が占いに興味をもったきっかけは遠距離恋愛をしてからだ。恋人と一緒にいない時間が増えて、僕は考える時間も増えていった。考えることは仕事のこと、趣味のこと、恋人との未来のこと──。  俺は占いを100%信じているわけじゃない。でも、100%信

          12月21日 きっかけは遠距離恋愛【今日のものがたり】