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12月24日 クリスマスプレゼント【今日のものがたり】


 職員玄関のそばにふわりと降り立つものがある。それは、そりをひくトナカイと……

「サンタクロースさん、今年もお疲れ様でした! 今回は結構時間かかりましたね」

 そう、12月24日クリスマス・イヴの夜に子どもたちへプレゼントを贈り届けるサンタクロースさんだ。役目を終えるとそれぞれ決まった場所へ行くことになっている。僕がいる学校もその場所のひとつで、年に1回サンタクロースさんとトナカイさんに会えるのがひそかな楽しみでもある。

 ただ、今年は満月じゃないから僕――実は人体模型だ――や、この学校にいる夜に動けるものナイトメアたちが盛大にお疲れ様会を開いてあげられないのが申し訳ない。それでも、できる限りのもてなしで朝までのひとときを過ごしていただこうと準備だけはしてある。

「今年はひとつ1つのプレゼントが大きかったり精密品だったりで、慎重に運んで届けたんだ」
「文明は日々進歩していますからね……」
「サ、サンタクロースさんっ、お初にお目にかかりますッ。わたくし、保健室のたもつちゃんというものですっ」

 サンタクロースさんのお出迎えはこれまでは僕1人なことが多かったのだけど、今年は新入りがなぜかついてきた。そう、ほけんだより・・・・・・に描かれているイラストのたもつが。

「はじめまして、たもつちゃんさん。わたくしはサンタクロースです」
「素敵なお声でいらっしゃいますねッ」
「そうかい? ありがとうね」
「……人体模型さん、サンタクロースさんって本当にいらっしゃるんですね」

 たもつの目がキラキラしている。サンタクロースさんに会えたことがそんなに嬉しいのか。……なんだ、かわいらしいところがあるんじゃないか。僕も初めてサンタクロースさんに会えたときはすごくテンションあがったもんな。

「音楽室にてモーツァルトさんとベートーヴェンさんがお待ちです」

 たもつ……いや、たもつちゃん・・・はきちんとサンタクロースさんをご案内している。……ちょっと生意気なやつだと思っていたけど、これからは仲良くやっていけそうな気がする。

 ……もしかして……願いとは少し違ってはいたけど、この思いがサンタクロースさんから僕へのプレゼントなのかもしれない。

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