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2022年7月の記事一覧

誠実な音楽の底にあるもの 高田泰治の平均律第2巻

誠実な音楽の底にあるもの 高田泰治の平均律第2巻

東京文化会館小ホールで高田泰治のリサイタルを聴いてきた。

バッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻全曲である。
チェンバリストにとって気軽な気持ちで取り組める曲ではないだろう。
ヴァイオリニストやチェリストにとってのバッハの無伴奏曲と同じ。
何年かに一度、自分の立ち位置を確認するために、聴衆に提示するために取り上げるような曲。
年一回恒例で弾いてる人もいるが…😅

お客さん3割くらい😂
知名度が

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ノット/東響のマーラー5番を聴いて考えた最近のソロカーテンコールの多さ

ノット/東響のマーラー5番を聴いて考えた最近のソロカーテンコールの多さ

今宵の感想

チェリビダッケは言った。

「悪いオーケストラはいない。悪い指揮者がいるだけだ」

「弘法筆を選ばず」ということわざもある。

本当だろうか?と今日のコンサートを聴いて思ってしまった。

ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)
ベルク:七つの初期の歌
マーラー:交響曲第5番

指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:ユリア・クライター
管弦楽:東京交響楽団

前半はよかった。

ただ、隣のおっ

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ブルックナーの何が苦手なのか ロトの「ロマンティック」

ブルックナーの何が苦手なのか ロトの「ロマンティック」

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1874年第1稿)

ピアノ:河村尚子
指揮:フランソワ=グザヴィエ・ロト
管弦楽:ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

3階左バルコニーだったので、河村尚子は完全に見切れ。
オペラシティは2階3階のセンターか、2階3階の舞台そばの右バルコニーがいい。
ソリストが完全に見切れてる席は久しぶり(いや、あったっけ?)
最安席

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私が音楽に望むものと対極のもの マケラ/都響の「悲劇的」

私が音楽に望むものと対極のもの マケラ/都響の「悲劇的」

冒頭30秒で帰りたいと思った。

誇張ではない。

Pブロックで聴いていて、低弦が豪快に鳴り始めたが、マーラーの肝とも言えるその冒頭主題が「スター・ウォーズ」のテーマのようにキラキラして聴こえたからだ。

おまけにマケラは終始ニコニコ。
何が楽しいの?と文句を言いたくなるが、理由がわかった。

彼がなぜスコアをめくりながら指揮するか。

マケラにとってオーケストラの指揮はパソコンゲームなのである。

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