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ターシャテューダーの広いガーデンに憧れて、田舎の地に一人で小さな家を建てました。 犬た…

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ターシャテューダーの広いガーデンに憧れて、田舎の地に一人で小さな家を建てました。 犬たちが天国へ行って、今は2年前に転がり込んできた夫と、猫のマコと、狭く暮らしています。夫婦で犬のぬいぐるみ屋をやっています。

マガジン

  • ペットロスガーデン(エッセイ)

    ペットロス歴10年、庭の植物や野鳥と暮らす、日々の考察です。 書きためたエッセイを投稿しました。15話完結+2話のお話です。順に読んでいただけたら嬉しいです😊

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ほんものに変わる時(エッセイ)

昨日、断捨離をしていて、あるものを見つけた。 断捨離はもう何回もしているので、前回残すと判断したものを、時間を置いてもう一回判別しているような感じだが、大きいゴミ袋一つ分になった。 「捨てる」のビニールに入れられるものは衣料品が多い。どうしても残したい服なんて、そんなにない。例え失っても、また必要な時には手に入れられそうな気がする。 反対に、いつも悩んで捨てられないものは決まっていて、大抵は今はいない犬のもの。 服もおもちゃも、散歩用のカートも、時間をかけてずいぶん手放

    • スズメバチのお母さん

      ごめんね、ごめんなさい。 あなたの大切な巣を取ってしまいました。 ここ一ヶ月ほど、作っては取られ、作っては取られ。 何度もがっかりしたことでしょう。 あなたはこの春、余程私の庭を気に入ってくれたのか、作りかけの巣を取っても取っても、またそこから3メートル以内に軒下を見つけて、せっせと子どもを育てるための巣を作り続けていました。 今日取ったのは、4度目の巣でした。 女王蜂は春、冬眠明けの体で、ふらふらしながらたった1人で巣を作ると読みました。 その巣から生まれた子供たちをみ

      • 春うらら

        今日は、花粉が少ないとYahoo天気にでていたので、久しぶりに洗濯物を外に干した。 空が青い。 リビングのカーテンを開け放つ。 正面にあるカツラの樹が芽吹くといい目隠しになるので、葉がある間はカーテンを開けたままにする。 すぐ横にある満開のジューンベリーの花にクマバチが集まり、ブンブンと羽を鳴らしながら蜜を集めている。 その度に、花びらがはらはらと落ちる。 カツラの樹にペアのヤマガラもやって来た。 庭に樹を沢山植えてよかったなと思う。 優しく風が吹いて、生まれたばかりの緑

        • 庭の木陰から

          収穫が終わって、あとは落葉を待つだけのブドウの葉に、茶色の立派な芋虫を見つけた。 スズメガの一種、コズズメの幼虫らしい。 一番前に付いているお手々で葉を支えて、むしゃむしゃと食べ続けている。 顎が疲れるのか、時々休憩をはさむ。 このコスズメ、食事のお行儀が良く、1枚の葉をすっかり食べ終わるまでは、次の葉に手を出さない。 今も、残り少ない葉を、身体を折り曲げながらせっせと食べている。 葉が残りわずかになると、隠れるものがなくなって、敵から丸見えだろうに、どうして1枚を食べきる

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        ほんものに変わる時(エッセイ)

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        • ペットロスガーデン(エッセイ)
          18本

        記事

          春の庭に誘われて

          春の庭は、命が大忙しだ。 ハチが飛び回り、鳥がさえずり、心地よい音は幾重にも重なり、やがて音楽になる。 朝つぼみだった花が、午後には咲いていたりする。 時間の流れ方が違う。 あっという間に満開になって散って、次の花に移り変わる。 春の雨上がりの植物は、5倍速くらいの早回しで成長しているみたいだ。 一年に一度しか咲かない花を、見逃さないようにするのに毎日忙しい。 ぼんやり家にこもっていたりしたら、会えるのはまた来年。 あっという間に去っていってしまうのは、何も桜だけじゃ

          春の庭に誘われて

          マコの涙と、赤い糸。(エッセイ)

          今月、マコが生まれてから一年になる。 と言っても、マコは外で生まれた猫だから、正確な誕生日はわからないのだけれど。 去年の今頃、マコはまだこの世に降り立っていなかった。 そう思うと、今目の前にいることが、とても不思議だ。 今はもういない、私の愛した犬たち。 みんなが今いる場所から、マコはここにやってきたのだ。 母猫に置いていかれた後、母猫が本当に戻ってこないか様子を見ながら、慎重に保護してくれた人にマコは助けられ、人の手からミルクをもらって育てられた。 やっと離乳食にな

          マコの涙と、赤い糸。(エッセイ)

          ときめきを買うということ(エッセイ)

          私は手作りのぬいぐるみ屋をしているのだが、近々出す新作の値段を、ずっと決めかねていた。 物に値段を付けるというのは、本当に難しい。 手作りともなると、まるで自分の価値に値段を付けるかのような、自分を信じる気持ちを試されているかのような作業でもある。 手触りや感触にこだわったぬいぐるみは、国内工場で作られた良質な材料を使っている。縫うのにも、中身を詰めるのにも手間と時間がかかる為、ぬいぐるみ市場の中では値段が高いほうだ。 その為、どんどん売れるわけではない。 それでも、そ

          ときめきを買うということ(エッセイ)

          お正月の猫とかパズルとか、夫とか(エッセイ)

          今年のお正月は、家族で1000ピースのパズルをやろうということになっていた。もちろん、マコも一緒に。 パズルをしながら行った気になれるようにと、銀山温泉の雪景色のパズルを年末に取り寄せておいた。ついでに言うと入浴剤も。 マコも一緒に、というのは、以前500ピースのパズルをしていた時に、小さかったマコが乱入してきて、パズルを落としたり、手に取ったり、せっかくできた所を壊したりして、大いに盛り上がったので、今回もきっと参加してくれると思ったからだ。 こたつの上で30日から開

          お正月の猫とかパズルとか、夫とか(エッセイ)

          今年の大きな出来事は、noteを始めたことと、マコを迎えたことでした。 書いたものを読んでいただけたこと、皆さまの素晴らしい文章を読めたこと。 本当に嬉しい出来事でした。 私のいる世界はとても狭いのですが、心の中でだけ、少し景色が広がりました。 本当にありがとうございました。

          今年の大きな出来事は、noteを始めたことと、マコを迎えたことでした。 書いたものを読んでいただけたこと、皆さまの素晴らしい文章を読めたこと。 本当に嬉しい出来事でした。 私のいる世界はとても狭いのですが、心の中でだけ、少し景色が広がりました。 本当にありがとうございました。

          寒空の下、子猫への大きなプレゼントを抱えて(エッセイ)

          首輪に続き、今度はマコのトイレが小さくなった。 子猫から5キロの成猫まで使えると書いてあったのだが、どうみてもマコが入るといっぱいだ。 耳がついた、かわいい形のこのトイレはもう卒業かな、と新しいトイレを買いに行くことにした。 7か月のマコはすくすくと育ち、平均よりも大きな猫さんになった。 キャットフードのコマーシャルみたいにごはんを沢山食べ、大きなウンチをして、沢山走ってよく眠る。 食べて寝ると、こんなにも細胞が大きくなっていくんだな。 今までは大人の保護犬ばかりを飼って

          寒空の下、子猫への大きなプレゼントを抱えて(エッセイ)

          姑とブランコに乗る(エッセイ)

          姑が私たちの街にやって来た。 会うのは2年前、結婚の挨拶に行って以来だ。 私たちは感染症流行のさなかに結婚したので、思うように移動ができず、実母と姑が会うのも今回が初めてだった。 姑はかねてから、「お母さんのところにご挨拶に行かなくては」と案じてくれていたのだが、タイミングがつかめないまま、このまま流れてしまいそうになっていた。 しかし、姑の記事を書いた後、私が夫に「来てもらおうよ」と声をかけたことで、早々に実現した。 よいタイミングだったのかもしれない。 姑のことや実母

          姑とブランコに乗る(エッセイ)

          誰もがマイノリティ(エッセイ)

          数日前、とあるサークルを抜けた。 同じ病気の仲間が集まる団体だった。 私は小学1年生の頃から、脱毛症という病気になり、5年生の時、転校をきっかけにウィッグを使うようになった。 初めは部分的な円形脱毛症だったのだが、少しずつ進行し、30歳を前に、まつ毛や眉毛を含む全身の毛がなくなった。 それからは少し不便になり、メイクをしないと人前には出られなくなった。 この病気の特徴の一つは、ウィッグ選びとメイクの腕がそれなりにあれば、普通の人に紛れてほとんど気付かれなくなるということだ

          誰もがマイノリティ(エッセイ)

          生きてるほうが大事(エッセイ)

          マコが、2万円の鍋を割った。 2年前に北欧雑貨のお店で買った、ヴィンテージの土鍋だった。 マコは掃除機が嫌いで、かけている間、いつも部屋中を逃げ回っている。 今日も掃除機が、リビングから一続きのキッチンに差し掛かろうとした時の事だった。 リビングとキッチンの区切りに置いた、飾り棚の上に置いていた鍋にぶつかりながら、マコが掃除機から逃げてきた。 スローモーションで鍋が落ちていくのを見た。 その間、「あっ落ちた。もうだめだ割れる。もう仕方ないありがとう、鍋。」 一瞬でここまで整

          生きてるほうが大事(エッセイ)

          たてがみを手に入れた子猫の話(エッセイ)

          初めて猫を飼ったのだが、顔がライオンに似ているな、とは思っていた。 同じネコ科であるから、似ていてもおかしくはない。 しかしここ数日の間に、マコに起きた変化を見ていると、猫はやっぱりライオンの仲間であることを確信した。 6か月になったマコは、身体も標準より大きく、順調に成長したので、去勢手術を受けることにした。 手術は順調に終わり、当日は帰って来てからもふらふらだったので少し心配したが、ごはんも食べて安心した。 しかし、困ったことがあった。 傷口を舐めないように、病院から

          たてがみを手に入れた子猫の話(エッセイ)

          ひとつでも愛された思い出があれば(エッセイ)

          以前書いた「実母に傷つけられた心を、姑が癒やした話」に、思いのほか沢山のスキをいただいて、それだけお母さんとの関係に思いを巡らせている方が多いということなのかな、とも思った。 でも、あれから私の感情は少しだけ複雑に揺れ動き、「お母さんのこと、こんな風に書いちゃった」とか、「違うんです、お母さんにもいいところはあるんです」「もっと、お母さんが大好きです、みたいな文を書く私だったらよかったのに」とか、心の中はぐちゃぐちゃだった。 ぐちゃぐちゃを紐解くと、きっと私は母が好きでたま

          ひとつでも愛された思い出があれば(エッセイ)

          夫が原因で、猫が死闘を繰り広げた話(エッセイ)

          庭から、複数の猫の大きな声が聞こえた。 喧嘩だ。 ドタドタと取っ組み合うような音も聞こえる。太く、低く、大きく唸る声。窓の外では今、オス猫二匹の死闘が繰り広げられているのだ。 ここには10年以上住んでいるけれど、庭で猫の喧嘩なんて、初めてのことだ。 けっこう長く感じたけれど、5分くらいだったのだろうか。あの感じだと、両者怪我を負っているかもしれない。 すっかり静かになった頃、玄関から庭に出て、現場を確認してみることにした。あの騒ぎでは、血痕の一つも残されているかもしれない。

          夫が原因で、猫が死闘を繰り広げた話(エッセイ)