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学生服リユースショップさくらや研究【創業ヒストリー編その3】

 1万人以上にインタビューしてきたフリーのテレビディレクターが今年開設したYouTubeチャンネルで3万回以上の再生回数となっている「さくらや」の馬場社長。そんな馬場さんの創業ヒストリーの第三話です。

(↑テレビディレクターのYouTubeチャンネルでの馬場さんへのインタビュー。インタビューは2:55くらいから始まります。)

徐々に軌道に乗る

 店舗をオープンして数か月経った頃、一人のお母さんがチラシを持って「さくらや」に来店して言った言葉

「こんなお店が欲しかったのよ」

 それまで、「怪しい」「こんな仕事やっていけない」などと言われ続け、それでも自分を信じてやってきたことが報われたと馬場さんが感じた一言でした。

 さらにその人は、周りの人たちにも口コミでさくらやを宣伝してくれたのです。それを機に、お店は徐々に地域で知られるようになり、客数と売り上げも伸びていきました。

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 2012年には、独創的なビジネスプランを表彰する、香川県のかがわ産業支援財団が主催する「かがわビジネスモデル・チャレンジコンペ最優秀賞」に応募しました。審査員は男性ばかりで、学生服のリユースというビジネスを理解してもらえるか心配でしたが、さくらやのチラシ作成でお世話になった会社の社長に協力してもらい、毎日仕事終わりにプレゼンの練習をして臨んだそうです。

 ところが、コンペ本番のプレゼンでは、馬場さんは緊張でカミカミ・・・
「お母さんの家計応援さくらや」と言うべきところ、「おかあたんの!???」と言ってしまい、「終わった・・・」と思った馬場さんでしたが、最後に

このしくみを全国に広げます」

と言い切りました。

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 その結果、馬場さんは見事、最優秀賞を受賞し、賞金300万円を手にしました。その頃にはまだ生活も苦しかった馬場さんでしたが、賞金を使ってしたことは、ビジネスの未来に向けた投資でした。

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 賞金を商品の在庫・販売管理システムの開発・導入費に充てたのです。商品の取扱量が増加するにつれて在庫管理が難しくなっていたので、パソコンで管理するシステムは省力化に大いに貢献したそうです。

さくらやのビジネスモデルとこだわり

 「さくらや」で取り扱うのは制服のほか、学校指定の鞄・ランドセル、上履き、ネクタイ、帽子、体操服、柔道着、自転車用のヘルメットなど多岐にわたります。買い取る制服は、新品同様のAから、少々傷が目立つDまで、程度により5段階に分け、買い取り価格もそれに応じて決めているそうです。

 買い取った学生服や体操服をクリーニングや洗濯に出し、体操服はネームの刺繍をほどいてから販売するのですが、洗濯は障がい者就労支援施設に、刺繍をほどく作業は一つ200円の作業代で地域のおばあちゃんたちにお願いしています。これはさくらやのこだわりで、地域の誰もが役割を持てる、そんなコミュニティを作っていきたいと馬場さんは言います。

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 そうして販売できる状態にして、例えば新品なら2万4千円のブレザーを、千円~3千円程度で販売しています。

働くお母さんの幸せを考えた営業スタイル

 「さくらや」の営業時間は繁忙期を除いて週4日、10時~15時です。スタッフであるお母さんたちの「働き方改革」につながるように設定しているのだそうです。

 お客さんからすると、「不便だな」と感じるかもしれませんが、社会が受け入れれば、子育てしながら働きやすくなると馬場さんは言います。同じような時間帯で営業している香川のさぬきうどん店(しかもうどん玉がなくなったら閉店!)に慣れている馬場さんにとっては、昼間の数時間という営業時間は自然なのだそうです。

 そして、スタッフの子どもに緊急で何かがあった時には、スタッフの誰が抜けても対応できるように、情報共有も大切にしています。また、子どもの学校行事には親として参加すること、子どもから掛かってくる電話には出ることも徹底するのが「さくらや」の働き方のスタイルになっています。来店するお客さんにも満足してもらうためには、働くお母さん(スタッフ)が幸せでなければならないと馬場さんは考えているのです。

続く

(↑さくらやの「だいたいのこと」は、この本で分かります。)

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