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ちはるのファーストコンタクト(2019年)

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2019年に書かれた(書かれる)「ちはるのファーストコンタクト」のすべての記事が読めます。300本以上あります。月額購読するよりも割安になっています。
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2019年11月の記事一覧

【経験と感じ】ワークとは何か。そのデザイン

土曜日は最近の出来事の経験とその感じを書いています。 前回は、エクステンション講座で宿題やロールプレイは鬼門かもしれないということを書きました。エクステンション講座に来る人の多くは、いわゆる座学をイメージしてきているからです。 私の授業や研修では、マイクロフォーマットという形式を使っていますので、必ず4人のグループによる議論や実習やグループワークが入っています。 マイクロフォーマットについてはこの論文をお読みください。 多喜 翠・堂坂更夜香・向後千春 (2016) マ

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【本】苅谷剛彦・石澤麻子『教え学ぶ技術 』:個別指導チュートリアルの実際

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は、苅谷剛彦・石澤麻子『教え学ぶ技術 』(ちくま新書, 2019)を取り上げます。 ■要約チュートリアルは、週に1回1時間、学生1人か2、3人を相手にして教員が個別指導するものである。その方法によって、問いの立て方・展開の仕方をどのように指導するかを実際の対話で示している。

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【研究】「逆向き設計」で研究の思考実験をしてみると良い研究計画が書ける

水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。 前回公開した「論文を書くときは”逆向き設計”で書いていくといい」という記事は、かなり読まれ、たくさんのいいねがつきました。これは次のような順番で論文を書いていくというものです。 (1) 結論を書く。たとえば、Pという条件のもとでXはYに影響を及ぼす。 (2) 序論を書く。Xという概念、Yという概念はどういうものなのかを説明し、なぜその概念が重要とされ、これまで研究されてきたのかを書く。 (3) 方法を書く。XとYとい

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【研究を教える】(3) 決まった教科書がない

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。ちはる塾おとなの研究コースからのスピンオフ企画として、「研究を教える」というテーマで連載しています。 前回は、研究を教えることの難しさとして、研究のテーマや問い、また研究の方法は指導者から与えられずに自分で見つけなければならないということを言いました。指導者は、教えようとする人に、これまでに何を知っているか、どんな活動をしてきたのかということを聞いてガイドすることが有効です。 今回は、研究を教えることの難しさの2つ

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【アドラー実践】09 小学校時代の記憶はその人のライフスタイルを投影している

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校での「アドラー心理学実践講座(全8回)」が終了しました。現在は、この内容を振り返りながら連載しています。 前回は、アドラー派のカウンセリングと心理療法の特徴について述べました。その特徴は人生の最も早い時期の記憶である「早期回想 (Early recollections) 」を材料として分析するということです。 不思議なことに、早期回想としてクライエントに出してもらったエピソードはう

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【Q&A】大学院入試に落ちたとき

日曜日は皆様からの質問やテーマをいただいて「お題拝借」で書いています。質問やメッセージは「マシュマロ」からお送りください。匿名で送ることができます。 今回は、質問が1つ届いております。 [Q] 社会人で大学院に受験を失敗したときに、その後どのような振る舞いをすればいいかわかりません。再度受験するのはありなのでしょうか?その際になにを修正すればいいか分からず困っています。大学院入試で落ちたときに再度チャレンジした方がいいかどうかを決めるためには、まず落ちた要因を自分なりに振

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【本】フレッド・S・ケラー『教育者の成長 ―フレッド・ケラー自叙伝』:個別化教授システム (PSI) の誕生

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は、フレッド・S・ケラー『教育者の成長 ―フレッド・ケラー自叙伝』(二瓶社, 2019)を取り上げます。 ■要約個別化教授システム(PSI, Personalized System of Instruction)を考案し、実践したフレッド・ケラーの自叙伝です。誰にでも勧めるという本ではありませんけれども、ケラーが大学教育の方法に悩み、工夫し、最終的にPSIを実践するところまでをこの本で読めることはある種感動的な体験です。 ■ポイ

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【研究】論文を書くときは「逆向き設計」で書いていくといい

水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。 インストラクショナルデザインに「逆向き設計 (Backward design) 」という方法があります。授業や研修を設計するときに、まずそのゴールから設定して、そこからさかのぼって教える内容や教え方の詳細を設計していくという手法です。通常は最後にゴールが来ますので、逆にゴールからさかのぼっていくということで「逆向き」の名前がついています。 この逆向き設計を論文を書くときに適用するといい論文が書けます。いい論文とは、書いて

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【研究を教える】(2) テーマは与えられず、自分で見つける難しさ

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。ちはる塾おとなの研究コースからのスピンオフ企画として、「研究を教える」というテーマで連載しています。 前回は、高校までの勉強と大学の勉強との違いは、大学の勉強には研究するということが含まれていることであると言いました。この研究するということを教えるのが難しいのです。この難しさを研究と普通の勉強との違いから考えていきましょう。 1つ目の違いは、研究のテーマや問い、また研究の方法は指導者から与えられずに自分で見つけると

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【アドラー実践】08 アドラー派心理療法は早期回想を技法として使う

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いています。 もうあと1回で中野の講座は終了なのにもかかわらず、この連載はやっと序論が終わるところです。でも気にせず進めていきましょう。 前回は、アドラーが提起した3つの重要な心理学的な概念を説明しました。それは、劣等感とその補償 (Inferio

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【経験と感じ】エクステンション講座に宿題は鬼門なのかな。

土曜日は最近の出来事の経験とその感じを書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校での「アドラー心理学実践講座」全8回も7回目が終わりました。2020年度は充電の年にするために開講しませんので、ちょっと寂しい気持ちもします。 この講座は実践を銘打っているので、授業もワークが中心となっています。自分のことを話してもらったり、絵を描いてもらったり、あれこれしながら授業が進んでいきます。その中で、ちょっとした宿題を出した回がありました。宿題とはいっても、やってこなけ

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【本】クリスティーン・ポラス『「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』:無礼の悪影響と礼節の大切さ

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は、クリスティーン・ポラス『「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(東洋経済新報社, 2019)を取り上げます。 ■要約他人に無礼な態度を取ると自分が大きな損をするとわかっている人は多いけれども、逆に、礼儀正しく節度ある態度で周囲に接すると自分にも良いことがあることをわかっている人は少ない。そして礼節は努力次第で高められる。しかし、人との接し方についてのガイドラインもなく、トレーニング講座もないという会社は多い。 ■ポイント無

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【研究】ラブレターと論文は締切ギリギリまで書いてはいけない。

水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。 さすがに投稿しようとする論文だとそういうことはないだろうけど、研究会の原稿くらいだと締切のギリギリまで書いて、ろくに見直しもせずにポンと提出してしまうことがある。それはやめたほうがいい。致命的なミスはないとしても、細かいミスや誤変換が残ったままだ。

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【研究を教える】(1) 研究を教えることの難しさ

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。ちはる塾おとなの研究コースからのスピンオフ企画として、「研究を教える」というテーマで連載します。 高校までの勉強と大学との大きな違いは、大学には「研究する」ということが含まれていることでしょう。実際、多くの大学では卒業論文を卒業のために必須としています。卒業論文というのは何かを「研究して」書くものです。卒業論文を書くために、ゼミという少人数制のクラスに入り、2年間ほどをかけて研究を進めていきます。 さらに大学院に行

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