2-教える技術19

【研究を教える】(3) 決まった教科書がない

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。ちはる塾おとなの研究コースからのスピンオフ企画として、「研究を教える」というテーマで連載しています。

前回は、研究を教えることの難しさとして、研究のテーマや問い、また研究の方法は指導者から与えられずに自分で見つけなければならないということを言いました。指導者は、教えようとする人に、これまでに何を知っているか、どんな活動をしてきたのかということを聞いてガイドすることが有効です。

今回は、研究を教えることの難しさの2つ目として、決まった教科書がないことを取り上げます。通常、何かを勉強しようと思えば、そのテーマや学問分野についての教科書を見つけることができます。たとえば、発達心理学や教育工学についての教科書です。そして、その教科書にしたがって勉強していけば、その領域の知識を一通り身につけることができます。

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一方で、研究しようとするトピックを決めたあと、それについての教科書は当然のことながら、ありません。教科書ができているのであれば、それは一定の知見が積み重ねられているということです。ですから、今まで誰も取り上げたことのない研究トピックであるとすれば、その教科書はないのです。

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