2-教える技術19

【研究を教える】(2) テーマは与えられず、自分で見つける難しさ

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。ちはる塾おとなの研究コースからのスピンオフ企画として、「研究を教える」というテーマで連載しています。

前回は、高校までの勉強と大学の勉強との違いは、大学の勉強には研究するということが含まれていることであると言いました。この研究するということを教えるのが難しいのです。この難しさを研究と普通の勉強との違いから考えていきましょう。

1つ目の違いは、研究のテーマや問い、また研究の方法は指導者から与えられずに自分で見つけるというところにあります。

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普通の勉強であれば、学ぶ内容はテキストのような形で明確になっています。また、その内容を習得したかどうかを測るためのテストも提供されていますし、そのテストの解き方も提供されています。高校までであれば、テストで試される内容の範囲、いわゆる「試験範囲」が明示されていますので、学生は安心してその範囲を勉強することができます。

しかし、研究ではこのような範囲は決まっていません。それどころか何をテーマにしてもいいのです。問いも自分で決めますし、方法もまた自分であみだしていくのです。この自由さそのものが研究を教えることを困難にしています。何かを習得するということをそういう形で始めることがそれまでになかったからです。

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