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60-70年代のミリタリーブーム

こんばんは。
今回は60年代後半から70年代前半のミリタリーブームについて。
今回、取り上げてる作品が1970年と1971年なのはご愛嬌。

それではスタート!

ミリタリー系のアイテムが作品で頻繁に登場

60年代後半から70年代前半の作品を観ていると、登場人物がミリタリー系の衣装を着ていることが多いです。

69年あたりは混沌とした時代で同時にいくつものミリタリー関連のムーブメントが起きています。
今回、4つのムーブメントを見ていきましょう。

①ベトナム戦争(ヒッピー、米軍の放出品)

60年代後半から70年代前半は映画を観ていても、どこかベトナム戦争の色香を感じることがしばしばあります。

1966年にベトナム戦争が激化し、アメリカ兵の軍隊調のミリタリールックが流行ったという記述もありますし(「ファッションと風俗の70年」/婦人画報社/1975年)

ヒッピー風の服装の人物も登場することが多いです。

ヒッピーはベトナム戦争の反対という目的も大きかったので、あえて軍服を着て反戦の意思表示をしました。

(チンピラ以外にも軍服を着たヒッピーファッションの若者は日本に当時いたと思います。腹巻きやサラシはしていないでしょうが 笑。)

ベトナム戦争でカーゴパンツが評価を高めたり、M-65も文字通り、1965年、ベトナム戦争中に生まれたりしました。

また、70年代にはベトナム戦争の反戦意識からアーミールック(下写真の左)といわれる軍の戦闘服風の服装の流行も生み出しました。

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出典: http://www.style-arena.jp/ja/trend/43

ベトナム戦争がファッションに与えた影響は大きいですね。

ミリタリーアイテムの入手方法は、米軍の放出品が日本にも流れてきたので、それを買っていたのだと思います。

色々書きましたが、ベトナム戦争の激化が日本人がミリタリーアイテムを普段着に取り入れるきっかけになったんですね。

②チンピラの軍服

以前にもカーゴパンツの記事で書きましたが、この時期の映画に出てくるチンピラがコスプレ風の変わったかっこうをしているのをしばしば見かけます。

(ユーティリティは「有益性、実益、万能な」という意味。↓の巨漢の俳優・岡田光弘は、実は69年にも同じ衣装でドラマに登場している)

↓トンキン湾ヨットクラブのデザイン


↑ うーん、アーミールックと言えばアーミールックですけどね。
ファッションというより、先ほど紹介したヒッピーファッションのチンピラも含めて、目立ちたい気持ちや不良ファッションを表現しているのではないかと私は推測しています。

トレンドを取り入れている意識も多少あるのかもしれないですが。
もちろん、チンピラが普段着の中にミリタリーアイテムを自然に取り入れている場合もあります。

今後も映画を観ていけば、「これがアーミールックね!」のようにわかりやすいセリフ付きでアーミールックな衣装が出てくるんじゃないかなと希望的観測をしています 笑。

③グループサウンズのミリタリールック

以前の記事でも取り上げたグループサウンズ
イギリスのバンド、ビートルズやローリング・ストーンなどから影響を受けた60年代後半のバンド。

アイドル的な人気を誇り、衣装はピタッとしたミリタリールックでした。

ミリタリーと言っても、無骨で男らしい雰囲気ではないです。

60年代後半、イギリスのミリタリーと(ベトナム戦争時の)アメリカのミリタリーがほぼ同時に入ってきたんですね。

④サファリルック

これも以前に触れましたが、60年代から70年代に流行したサファリルック。見た目的には探検家風のかっこう。
↓のようなサファリジャケットにフレアパンツを合わせるのが流行ったそう。

もちろん今でも存在します。

60年代後半、ホントに色々なことが起きた時代なので、作品を観ていて、チンピラの不良ファッションなのか、サファリルックなのか、アーミールックを意識したのかわかりにくくて困ります。

↓はサファリルックを意識したものではないかなと思います。アーミールックと迷うところですが。
【訂正】サファリルック風と思いましたが、色々見て迷いが出てきたので保留にさせてください。すみません。次回、この件について詳しく書きます。

(ポケットが4つあってウエストにベルト風のデザイン、フレアパンツ)


まとめ

最後に、ここまでの内容をまとめます。

【60-70年代のミリタリーファッションのまとめ】

✔︎1960年代後半から70年代前半、ベトナム戦争の存在感は大きく、M-65ジャケットの誕生、ヒッピー、アーミールックなど、アメリカのミリタリールックが日本で流行した
✔︎ 60年代後半にグループサウンズによって、イギリスのミリタリールックも流行した
✔︎ 60年代から70年代、イヴ・サンローランがひとつのきっかけとなり、探検家風のサファリルックが流行った
✔︎一方、60-70年代の映画において、チンピラが(不良ファッションと思われるが)軍服を着ている姿が散見される

もっと簡単にまとめると

60-70年代に4つのきっかけによってミリタリーブームがあった
❶ベトナム戦争、その関連❷GSのミリタリールック❸サファリルック❹チンピラの不良ファッション

↑によって、映画でもミリタリーファッションが多く見られるわけですね。

ベトナム戦争がこの時期ののミリタリーファッションの根っこにあると思います。

今回は以上です。

明日は台風の影響で何が起きるかわからないので、今日更新しました。怖すぎますが、無事に乗り切れるといいですね。
ではまた次の更新で。

【参考文献】

✔︎王道には理由がある。ベトナム戦争初期にデビューし、長きに渡り活躍したフィールドジャケットとは!? | Lightning | FUNQ [ ファンク ]
https://funq.jp/lightning/article/475469/

✔︎究極の実用品。野戦用フィールドジャケットの魅力。 | knowbrand magazine
https://www.2ndstreet.jp/knowbrand/feature/military-wear-vol02/

✔︎人気のカーキ、オリーブ | トレンド | 東京のストリートファッション最新情報 | スタイルアリーナ
http://www.style-arena.jp/ja/trend/43

✔︎# 272: ミリタリー・ルック - ただの蚤助「けやぐの広場」~「けやぐ」とは友だち、仲間、親友という意味あいの津軽ことばです
https://blog.goo.ne.jp/keyagu575/e/75ff3db465b04bbb5ed35d0b48854b21

✔︎「メンズ・ファッション用語大事典」(吉村誠一著/2010年/誠文堂新交社/P184)

【今回取り上げた映画やドラマ】

喜劇 花嫁戦争」(1971)はVHSしか出ておらず、視聴困難。

「プレイガール」(1969-1974)

「不良番長 口から出まかせ」(1970)


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