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【SDGs こども 本だな 5】 安全な水とトイレを世界中に

SDGs17の目標にまつわる絵本・児童書を並べていく「SDGsこども本だな」。今回のprat5は、目標6「安全な水とトイレを世界中に」に関連した本をご紹介いたします。 
蛇口をひねれば綺麗な水がいつも出てきて、そこにあるのがあたりまえのようにトイレを使う我々日本人にとって、水の大切さ、トイレの必要性を、子どもたちにも伝えることはなかなか難しいことかもしれません。
水の大切さを伝える前に、まずは、そもそも水がどのように地球にもたらせているのか水本来の事を伝え、その上で、水の大切さ、トイレの必要性を伝えることができる2冊を選びました。


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みずたまのたび
作/アンヌ・クロザ
訳/こだましおり
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地球をめぐるみずたまの冒険のお話です。
猫の残した一粒のみずたまが蒸発して雲になり、雨になって川に流れ、やがて海につき、また蒸発して、雨になって、みずたまに戻り…と、
みずたまが、色々な形に姿を変えながら、時には様々な生き物と出会いながら、旅をします。自然界の水のサイクルを一粒のみずたまを通して教えてくれます。
ふとした生活の中にある一滴から始まるみずたまの旅は、日常にある水が、雄大な自然へと繋がっている事を感じさせてくれます。
それは、ふだん身近にある生活水が地球規模で自然に繋がり、自分が流した水が自然への入り口にもなっている事を伝えているようにも思えます。水のサイクルを知る事で、ふだん流す水をなるべく汚さないように意識を付ける事が出来る1冊ではないでしょうか。

そんな旅するみずたまの目線は、詩的な言葉で表現されているので、水の循環を説明する科学的な内容とはいえ、子どもにもスッと入ってきやすい1冊です。
また、作者はグラフィックデザインを学んだスイスの作家ということからも窺いしれるように、絵の構図や色彩が洗練されていて、そこに詩的な言葉も相まって、全体を通してモダンな雰囲気を感じさせます。

子どもたちには、安全で衛生的な水の必要性を教える前に、まずは水がどこからどうやってくるのか、水そのものを知ってもらい、日々の生活において、自然のなかにおいて、水の大切さを感じてもらえる1冊になればと思います。


トイレをつくる 未来をつくる
写真・文/会田 法行
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2002年に独立し生まれたばかりの東ティモール共和国には、長い間トイレがありませんでした。そんな東ティモールでトイレを作る活動を追った写真絵本です。

東ティモールの自然豊かな風景、子どもたちの日常など、素敵な写真と共に、村人たちが森の中のあちらこちらで穴を掘ったりと、トイレを作る姿が切り撮られています。
それまでトイレが無かった東ティモール農村では、森や川、屋外で排泄をしていました。そんな不衛生な環境が原因で、子どもたちの多くが下痢やコレラ、赤痢などの病気にかかり、命を落とす子どもも少なくありませんでした。
トイレがあることで下痢が減り、子どもたちの健康が保たれ、元気に学校に通うこともできる。村人たちは、病気から子どもたちを守り、子どもたちがしっかり勉強をし未来を築いて欲しいと願い、トイレを作ります。
衛生環境を整えれば、子どもたちの未来が明るく開け、やがて国の未来が築かれ発展していく。トイレ事情と国の発展が関わっていることが説かれた1冊で、作品タイトルの「未来をつくる」に込められた意味がわかります。

日本では、トイレがあるのがあたり前です。しかもその衛星さ、便利さは世界一ではないかと言われるくらいです。
子どもに限らず、大人でさえ何も考えずにあたり前のように毎日トイレを使っています。もしトイレが無かったら、、なんて想像もし難い日本の子どもたちに、トイレが無いことが原因で、学校に行けなくなる、命を失う子ども達がいることを知り、その大切さを改めて伝えることが出来る1冊です。
衛星的な環境が子どもの未来に、やがては国の発展にも繋がるなど、大人にも考えさせられる1冊です。

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