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街一番の繁盛店が、オープンから3年後に突然閉店してしまったやむを得ない事情とは

飲食店とは、もはや食事のみを提供する場ではなく、人々の "第3の居場所" でもある、というようなことが、とくに近年さかんに言われるようになりました。

それで先日、こんなツイートを読んだのですね。


同じ場所で商売をしても、人が変われば全く別の店になってしまうーー。


この呟きをみて、あることを思い出しました。


当時うちの地元でいちばんの賑わいを見せていたにも関わらず、お客さまにとっての「いつもの居場所」が “いつも通り” に継続することが困難になり、オープンからたったの3年で閉店してしまったある飲食店の話です。


オープンから3年で突然の閉店

7年ほど前、一組の夫婦が、うちの近所に海鮮をメインとする小洒落た居酒屋をオープンさせました。

外観は割烹料理店のような高級感のある趣で、価格も周囲の店と比べるとやや高めです。

近隣は住宅ローンを抱えるファミリー世帯が多いとあってどうだろうかと思いましたが、確かな味と女将の気さくな振る舞いであっという間に繁盛店に。

17時のオープンと同時にゾロゾロと人が吸い込まれるように入っていき、しばらくすると女将がお客さまを何人も断っているなんて様子を、幾度となく目にしたことがあります。

私も夫と一緒になんどか食べに行ったことがあるのですが、東京の一等地で修行したという若い店主の腕前は、素直にさすがだなと思いました。

物静かで、客と積極的にコミュニケーションを取りに行かない姿勢は料理人あるあるですが、女将の妻が看板となって一人一人の客と密に会話を交わす姿は、私も同業者として学ぶべき点が多かったですし、同時に、真似しようと思っても真似できない人間的魅力に感服せざるを得ない気持ちにもなったものでした。



ところが、あっという間に街いちばんの人気店になってはや3年、店はとつぜん閉店の日を迎えます。

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