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お客さまにブチギレることができてこそ、一人前の女将なんじゃないかと思ったりしています

今日はタイトルに少々品がなくて申し訳ありません。

夫の店で女将になって8年。ときどき、一人前の女将とはなんぞやと自問することがあります。

いまだに理想とする女将の姿は自分の中で定まっていないのですが、ひとつだけあるとすれば、お客さまにブチギレられる人なんじゃないかなぁと。


何言ってんの?って感じですよね。

私がこう思うのには、夫の母でもある亡き先代女将の、とあるエピソードが関係しているのです。



女将の剣幕に迷惑おじさんもたじろいだ

私がまだ夫と知り合う前ですから、かれこれ10年以上むかしの話になります。

そのお客様は、地域でも有名な迷惑おじさんでした。

歳は60をゆうに超えていて、いつも作業着のような格好をしているものの、昼間からいろんなところで目撃されていたため仕事をしていたのかは不明です。

飲み歩くのは好きなようで、夜になると周辺の飲食店に毎晩のように顔を出していました。


ただ単に大人しく飲んでいてくれればなにも害はないのですが、この方、とにかく声が大きいんです。

この方が路上でなにか喋ると、店内で店番をしていても「あ、あの人だ」とわかるぐらい、とにかく声量が大きい。

そして話に品がなく、年下の男性には偉そうにするし、若い女性には仲良くなろうとしつこく絡んでいく。

そしてその声がまた、大きい。


本当かどうかはわかりませんが、あるお店では、自分は反社会的組織に属している、というようなことも口にしていたそう。たまったものじゃありません。

うちの夫も当然ながら、その方を大の苦手にしていたそうです。


しかしサービス業である以上、なかなかはっきり来ないでくださいとは言いにくいもの。

思ってはいても、なかなかそんな役を買って出たいとは誰しも思いません。


「いっそのことなにか問題を起こしてくれたらいいのに。そうしたら警察を呼んで、堂々と出禁にできる」。

こんなことを口にするオーナーさんもいたといいます。


そんなある日、例の方がうちに来店しました。

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