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苦手なお客さまを店から閉め出そうと企ててしまった、過去の過ち

今だから思い切って言ってしまうんですが、実は夫が継いだ店で女将として働いていたとき、もう何年も前のことなんですけど、すごく苦手なお客さんがいました。

その人は当時たしか28歳で、職業は理系の教員。ここではTさんとしておきます。

短髪 & 眼鏡のいかにも真面目な先生ですって感じの外見で、100人が見たら、まぁー90人ぐらいは?好印象だと答えるような男性です。

そうそうこんな感じ。ややイケメンすぎるけど。

礼儀正しく、私も当初はTさんに対して良い印象を持っていました。

でも残念ながら、その後話せば話すほど、私はTさんに苦手意識を持ってしまったんですよね。


口が悪く、顔を見るのも憂鬱だった

まず、すごく愚痴っぽいところが苦手でした。

とくに職場の愚痴。

年配の先生がー、同僚がー、と口を開けば職場のだれかの愚痴か悪口を言っていて、終始気分が悪かったです。

あとは女性の悪口。

それも、メイクや服装などなぜか見た目に関することが多かった。

女性にモテなくて恨み節を言ってるのかなーなんて思ったけど、それにしても聞けば聞くほど不快極まりない話題でした。

自分の生徒を小馬鹿にする発言にもドン引きでした。「あいつらバカだから〜」ってしょっちゅう言っていて、信じられなかった。

教員という仕事がストレスフルなのは同情するけど、言っていいことと悪いことがあるでしょうよ。

かと思えば、自分が座るいつものカウンター席の、隣に座ってきた中高年男性から話しかけられると、人が変わったようにペコペコし出すのにも、申し訳ないんですが引いてしまいました。

私の前ではさんざん口汚い言葉で愚痴をこぼしてたくせに、おっちゃんたちの前ではやたらと「僕、教員なんで(キリッ)」感を出す光景、正直あまり気持ちが良いものではなかったですね。


まあでも別に、こういうタイプのお客さんってたくさんいるんです。

うちは中高年の男性客が多く、もっともっと差別的で、セクハラ的で、こちらを心底イラっとさせるお客さんは全然いました。

でもよほどのことじゃないと、別にいちいちキライになんてならないです。

キライになるのも精神力を使いますから、私さえ我慢すれば済むレベルのものは、心を無にしてスルーです。

今ってコンプラとかポリコレとかで息苦しいから、うちの店でだけは政治的に正しくない発言ができる場であってもいいんじゃない?みたいな余裕もそこそこありました。

でも、Tさんとの会話だけはなぜか苦痛で仕方なかった。

おそらくそれは、1回の来店で約2時間、週に多いときで4〜5回と、接触時間が異様に長かったことが関係しているのだろうと思います。

あとは生理的な問題かな?

ガラッと玄関が開いてTさんの顔が見えると、こっから2時間かぁ、と憂鬱な気持ちになったものです。



「苦手」はそのまま「有害」に変わった

まぁ人間ですから、理由はどうあれ嫌いな人はいます。皆さんもいますよね?いないとは言わせません。

いくら理屈を並べられても、苦手なものは苦手じゃないですか。それはもう仕方がない。

ただ私がまずかったのは、自分にとって不愉快であることが、いつの間にか店にとって害があることのように思えてきたことです。

そしてこのお客さんを排除しようと、一瞬でも企んでしまったことです。

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