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言葉にしたらちょっと足りなかっただけ
物語を進める事と将棋でとどめを刺す事は私にとって苦痛の叫びである、悲鳴といった方がこの話に纏まりはつくが「苦痛の叫び」この器官なき記号を用いて指先が進まない物語の展開を示してみよう。物語、Story、談、話、噺、起承転結、かぎかっこ――――始終や終始など類語の様で記号的含有の意味は甚だS極とN極の如く間反対に属しているのだ。フェルディナン・ド・ソシュールに拝借をしつつ記号的読解を心掛けている私を
もっとみるRainrainrain
悲しみの雨と涙は血液だと教えてくれた彼女。
梅雨だと切り出し口走ったあの子は窓辺から見える海に少しうんざりしていた。「海は大きいはずなのに小さく見えてしまうの。」
岸辺に落ちてた東の贈り物を僕は颯爽と零さない様にじっと抱え込んでいた。
自分と僕との距離を測ってみたけど、5cmにも満たないのは雨道で湾曲した内部が玉砕したせいだろうか。血の味で滲む口内、サイダーを飲んでヒリヒリとしたが痛覚以上に落ち着
Tip of memory
消毒液で点滴をした。雅楽がストリートに舞い
ラジオで流れ嗄れた声でアナウンサーは興味底無しに一昨日の天気予報は晴れのち曇りだったと画面越しの老犬に向かって発したのだった。肋骨と能は半出生の境地に立たされた窓辺の枠だったらしいと博士は私に秘密事の様に教えてくれたが私は骸骨と生誕の関数値について知りたいだけだった。神隠しと少女は何処か似ているらしいが破片から成り立つ体(てい)と体(てい)から成り立つ部
Late spring
先輩が辞める夢を見た。新調した履きなれない靴に違和感を覚えつつ 春の岬に足を動かしていた。ビル風に怯えつつ 僕以外の人間は何処か呆れた様子を浮かべている。僕だけが取り残されている 孤独を感じていた。 電車は定刻通り発車するが幽霊に触手されたみたいで具合が悪い 目眩がする程の快晴を僕は祝福と呼んだ。福音が遠のく。ビルに反射する 残像 猫に餌をあげる老人 手を伸ばした矢先 陰と陽が交差し目がおかしく
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