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働き方改革と生産性向上に関して理解したこと|ICTと社会

働き方改革と生産性向上をめぐる私のモヤモヤ感を解消するために、3冊の本を読んだ。その結果、かなりの部分がクリアになったので、最後に整理してみたい。

① 企業の従業員の立場としては、ICTやDXなどをどんどん活用した働き方改革により、これまで以上に労働時間を削減しつつ、かつ業績は伸ばしていくという取り組みを継続していかねばならない。

② 企業経営者は、生産性向上が従業員の頑張りに頼るだけでは実現できないことを理解し、組織や事業の最適化、あるいは価値に見合った対価を得る価格戦略などを含め、スピーディな経営意思決定を行うことにより、従業員の満足度を高め、やる気満々の社員を増やしていかねばならない。

③ 日本全体のマクロ視点での生産性向上という点では、アトキンソン説によるならば、多すぎる中小企業に対する保護政策の再検討が必要である。保護することで、かえって中小企業の競争力を低下させていないか。最低賃金の段階的引き上げなどにより、中小企業の経営改善や統合・再編を促していく必要がある。

私は社員の立場で働き方改革に取り組みながらも、それが日本全体の生産性向上にどうつながるのかが分からずモヤモヤしていたのだが、②③のとおりそれは経営的問題、あるいは日本の産業構造に起因する面が大きいことは、論点は異なっても3冊とも指摘しており、かなりスッキリした。もちろん働き方改革に継続的に取り組んでいくことは必要だが、生産性が低いイコール労働者の働き方の問題的な論調は、いまや短絡的すぎるということだろう。

まあ、社内への報告みたいな収益を産まない仕事に4割もの時間を割くのはやめないといけないが。

アトキンソン説による、ドイツに比べて日本のほうが小規模事業者数が多いといった主張は、自分でも少し調べたが裏付けは得られなかった。ただ、ドイツ経済の強さは中小企業に支えられているとの記事は、ネット上にも多く見られるようだ。中小企業の強さが、国全体の勢いに影響しているという説は信用して良いかもしれない。

だが、むしろ企業のミドル層を経験してきた私の感覚から言えば、ルディー和子さんが言う、日本の社員のエンゲージメント率の低さに関する指摘が、本質的かつ深刻なように思える

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私は新規事業の立ち上げを何度か経験したが、新規ビジネスのローンチはトラブルとの戦いだ。9時-5時で帰れることなんてあり得ず、残業100時間越えはザラで、みんな必死だった。だが、それゆえに立ち上げたときの達成感は何物にも代え難いし、大変だが充実感があるし、そしてその経験は後にかけがえのない財産となる。きっとスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツもそんな時期があったんじゃないか。

それは「ブラック企業」だろうか?

何でも「ブラック」だと言って、十把一絡げに労働時間を短縮させ、何もチャレンジしなくなることのほうが、日本の危機のような気がする

私のライン長時代にもいたが、最近は管理職になりたくない、責任を負いたくないという人も増えている。そういう生き方もあっていいし、否定するつもりは無いが、ただそんな人ばかりになったら、間違いなくその企業は衰退するし、そんな企業ばかりになったら、それこそ日本は危ういだろう。

5時で帰って余暇を楽しみたい人、あるいは様々な事情で残業できない人には無理強いすべきではない。だが、がむしゃらにやって稼ぎたい、新しいことにチャレンジしたい、そんな野心や闘争心を持つ若者には、その自由とチャンスがある。組織リーダーがそういう多様さを認め、アグレッシブな人財を積極的に登用・抜擢していくような企業が、働き方改革と生産性向上とを両立させ、これからの時代にも生き残っていくのではないかと思ったのだが、どうだろうか。

結局、ICTにはあまり関係ない記事になってしまいました。ごめんなさい・・・。

【働き方改革と生産性向上関連終わり】

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記事は以上です。お読みいただきありがとうございました。

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