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スマートシティとかスーパーシティとか|ICTと社会

コロナ禍で緊急事態宣言中の5月、スーパーシティ法案が国会で可決された。昨年の通常国会で内閣法制局との調整不充分により廃案、秋の臨時国会では提出が見送られ、3度目の正直での成立だったらしい。

スーパーシティとは、戦略特区となる都市を指定し、AIやビッグデータ、ドローンなどの最先端技術を複合的に用いて地域課題を解決する、未来都市実現のための実証実験を行う構想で、内閣府が主導している。法案成立を受け、早ければ年内にも対象都市を選定するそうだ。

似たような言葉でスマートシティというのがある。これは2010年頃から始まっており、特に2011年の東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーを活用したスマートグリッド、スマートコミュニティなどの構想が打ち出され、やはりIoTなどの先端技術を用いた未来都市を実現しようとしていた。こちらは経産省や国交省が所管して進めてきたが、個別技術の実証に留まり、うまくいかなかったため、複合的な取り組みで巻き返しを図ろうとするのがスーパーシティ構想らしい。

スーパーシティ法案の議論においては、個人情報が守られるのか、個人を過度に監視する社会にならないかなど、反対する意見も多かった。そういった心配は当然のことであり、充分議論し、また今後の実施過程においても注視していく必要はあるだろう。

しかし私は、やるべきだと思う。

コロナ問題を契機に、日本のITインフラは、未来都市どころか、世界の先進国水準からもかなり遅れていることが明らかになった。子供たちにはリモート教育も満足に受けさせてあげられず、テレワークも3割程度の会社しか導入できていない。生活を守るのに必要な臨時給付金振り込みのもたつきには、本当にガッカリした。

高い技術リソースを持っているはずなのに、それが社会に全く活かされていない。

この状態を見せられた中で、スーパーシティとか言われても、正直虚しい響きに聞こえてしまう。小学生レベルの子が「東大を目指します」と言っているようなものだ。

高い目標を目指すこと自体は悪いことではない。ただ、まずは中学、高校レベルと、着実にwithコロナ下でも社会活動を持続していける普通の水準を実現し、しっかり成果を上げてもらいたい。

スーパーシティが単なる予算取りの材料ではなく、真に国民生活に役立つプロジェクトであることを示してもらいたいものだ。

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