象印100周年の傑作!!進化し続ける高級炊飯器・炎舞炊きを分析
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
先日、日本のテレビ番組「カンブリア宮殿」を観ていたところ、象印マホービンの高級炊飯器市場でトップシェアを誇る「炎舞炊き」シリーズが取り上げられていました。
「炎舞炊き」。私の推し配信者・絶望ライン工氏も昨年「炎舞炊き」を導入していて"もう前の炊飯器に戻れない”と絶賛していたので、ずっと気になっていた商品でした。
年間出荷額およそ1000億円の国内炊飯器市場で業界トップの座を維持している「炎舞炊き」を含む炊飯器部門は、象印マホービンの売上高の4割を占めています。
今回はそんな「炎舞炊き」について分析していきたいと思います!
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
象印マホービン「炎舞炊き」
「炎舞炊き」開発から現在まで
2018年、象印100周年の節目に発売された「炎舞炊き」は当時各メーカーが重視していた「内釜」ではなく、かまどの炎のゆらぎに着目し、熱源のヒーターを一新。炊飯方法の概念を変え、既存の圧力IH炊飯ジャーを超える炊きあがりのおいしさで話題になりました。
"象印、百年目の最高傑作”と謳われた「炎舞炊き」は研究スタッフが手作業で何度もヒーターのモデルを作り直し、秒単位での炊飯プログラムの開発などを試行錯誤、炊き上がったご飯を「科学的データ」と「人間による感覚」で判定。なんと半年で約3トンのお米を試し炊きという壮絶なトライ&テイストを行ったそう。
「炎舞炊き」(NW-LA型)は2020年にリニューアルし、底IHヒーターを3つから6つに倍増。その後もおいしさを追い求めて大火力で炊ける技術を開発した結果、無洗米や冷凍ごはんもおいしく炊くことができ、火力の選択肢が広がって自分好みのごはんに炊き分ける機能も拡充開発しました。
2023年6月には象印炎舞炊き最高峰の最新モデルNW-FB型を発売し、現行モデルはNW-FB、NW-PV、NW-USの3シリーズがあります。
最高峰の最新モデルNW-FB型
最新モデルのNW-FB型の特徴は6つの底IHヒーターで縦横の激しく複雑な対流を生み出す「3DローテーションIH構造(特許取得)」を引き続き搭載。釜内の温度を正確に検知する蒸気センサーの精度向上によって、更なる大火力での炊飯を実現しています。
また「鉄(くろがね仕込み)豪炎かまど釜」は、IH と相性が良く蓄熱性と発熱効率が高い鉄素材を、熱伝導率の高いアルミとIH の発熱を効率活かし、耐久性に優れたステンレスに組み込んだ内釜となっています。
その他にも「雑穀米炊き分け3コース」や「お気に入り登録」機能を搭載、操作方法や取扱説明書を確認できる2次元コードも液晶に表示されるそうです。使い勝手も進化し、デザインもスタイリッシュなのも特徴です。
購入者層分析
炎舞炊き購入者のデモグラ構成比をみると20代後半~40代前半と50代前半の割合が多くなっています。
他のブランドと比較すると性別は男性の方がやや多いです。
年代別比較を見てみると認知率・好感率は30代以上から徐々に高く出ていますが、購入経験は20代後半と30代後半〜40代前半が高く出ています。次回購入率は40代が最も高いです。
7Journeyを見てみると認知率は低めですが、内訳として非選好率は低いです。まだ購入したことがない潜在顧客層が高めです。
ブランドイメージでは、"期待感・ワクワク”"先進・テクノロジー”"家庭的・安堵感”が上位に来ています。「炎舞炊き」は象印100周年の節目に発売された商品であり、おいしいごはんを炊くという製品の"本質"を追求して作られた商品ということがイメージに繋がっているのかもしれません。
どんな人が購入している?
炎舞炊き購入者のサイコグラフィックを見てみると、個人価値観は"時間にシビア”"倹約家”"健康志向”な方が多いようです。
社会価値観では"おりこうさん”"自分より家族優先”"ワーカホリック”と自分よりも社会問題や家族、仕事を大切にする方が多く出ています。
消費行動は"ブランド消費”"リターン期待型消費”"ハラオチ型消費”の方が多く、ブランド名や使った金額以上のプラス要素を期待する、納得のいく情報を得てから購入する傾向があるようです。
サイコグラフィックでは“倹約家”と出ていますが、消費行動は"ブランド消費”が高く出ているのは一見互換性がないように感じますが、何故このような結果になったのでしょうか?
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高級炊飯器を買う理由は?
炊飯器の1台あたりの平均
総務省統計局の小売物価統計調査によると全国の炊飯器1台値段の平均は32,430円だそうです。「炎舞炊き」はその平均の3倍〜4.5倍の高級炊飯器となりますが、年間出荷額およそ1000億円の国内炊飯器市場で業界トップです。また家電量販店の高級炊飯器の中でも売り上げの半分以上が「炎舞炊き」によるものだそうです。
手作業だからこその値段
家電の工場は機械化が進んでいますが、「炎舞炊き」は工場で一つ一つ丁寧に手作業で組み立てられています。
製造ラインは品質や指導・生産性に精通し、試験により認定された「生産マイスター制度」を導入。コンパクトな本体に、部品や配線を作りこんでいるので、自動化がしにくく、人の手で行う必要あるそうです。
品質検査の工程などにも細心の注意を払っており、価格面で手にしやすいモデルと比較するとかなりコストがかかっている商品で、1日に生産できる数も限られています。
QOLの向上=食事?
「炎舞炊き」と相関性のあるジャンルをみるとブランド牛、ブランド果物・野菜など、高級スーパーと食事に関するものでも高級ラインが上位に来ています。サイコグラフィックの消費行動と合った結果ですが、中でも食べ物にお金をかける方が多いようです。
消費者の声を見ると“値段の高さ”についての言及が多いものの、それを上回る“おいしさ”に関する声が多かったです。
「安いお米を炊いても、米の良さを存分に引き出してくれる」「炊飯器でこんなにご飯の味が変わるとは思わなかった」などの声もあり、値段の高さ以上に商品の良さを実感している方が多いようです。
近年、生活や人生の質について「QOL(Quality Of Life)の向上」が働き方や価値観として注目されていますが、おいしい食事もQOLの向上に繋がるものなのかもしれません。特に日々使う炊飯器だからこそ、高くていいものを買う価値がある、倹約家の方にも選ばれるのではないか?と思いました。
買う前に試せる!?
象印は家電購入を検討している方や必要な時だけ使いたい方を向けにレンタルサービスも行っています。気に入った場合はそのまま追加料金で買取も可能だとか。高価な家電だからこそ試してから買えるのはありがたいサービスですね!
また、「炎舞炊き」に関しては象印マホービン初のごはんレストラン「象印食堂」にて、実際に「炎舞炊き」で炊いたご飯をいただくことができます!
「象印食堂」は大阪・難波の大阪本店と、東京駅からすぐの東京店の2店舗で展開しており、炎舞炊きで炊いたごはんがおかわり自由だそう!また新大阪の駅構内の「象印銀白弁当」でも「炎舞炊き」で炊いたご飯の持ち帰り弁当が購入できます。
まとめ
炎舞炊き購入者の特徴
・20代後半~40代前半と50代前半、やや男性が多い
・時間にシビア・倹約家・健康志向な人が多い
・ブランド消費・リターン期待型消費・ハラオチ型消費な人が多い
今回人気の高級炊飯器「炎舞炊き」について分析しましたが、日本のお米の年間消費量は減少しているそうです。
農林水産省によると、お米の1人当たりの年間消費量は約50kgで、ピークだった1962年の半分以下の水準になっています。
お米の消費量自体は減っていますが、株式会社ナビットのアンケート結果やマイボイスコムのインターネット調査結果のように、お米が好きな人・白米が好きな人は多く、自宅でお米を研いで炊く人も多いことから日本人にとってお米は重要な主食であることがわかります。
炊飯器市場どこが強い?
2023年9月の日経業界分析レポートによると、10万円前後の高価ながらも多機能で高性能な炊飯器の需要が増えているそうです。
三菱電機やパナソニックなどは独自の技術を活かした製品を展開しており、東芝ホームテクノは短時間で炊飯できる製品や炊き方の細かな調整が可能な製品を開発しています。
また、単身や少人数の世帯向けの小容量型製品も人気であり、今回分析した「炎舞炊き」の象印マホービンや、三菱電機がそれに対応しています。さらに、タイガー魔法瓶はコメの使用量をクラウド上で分析して購入を促す機能を備えた炊飯器を販売しています。
既に人気を集めている「炎舞炊き」ですが、象印は更なるごはんの美味しさを追求しています。20年近くもの間、東京農大と共同研究を行うだけでなく、社内でも「炎舞炊き」を超える新製品の開発に向けた食味試験が行っているそうです。
今後どのように進化した炊飯器が出るのか、楽しみですね!
筆者のひとこと
ベトナムで基本的に売っている炊飯器は「炊飯・保温」のボタンしかなく、家にあるのもその仕様なので単純に白米を炊くだけにしか利用できません…。一時帰国すると目にする、家電量販店で炊飯器を買っている外国人観光客の気持ちが今はわかります。日本メーカーの炊飯器の性能、凄いです!
特に推しも使っている「炎舞炊き」は…調べれば調べるほど欲しい!!と思いました。値段は決して安くないですが、日々使うもので満足度があがるなら寧ろ安い買い物なのでは…と思いました。
普段日本米を炊いて食べていますが、やっぱり日本で食べるお米とは雲泥の差なので、一時帰国時に日本でご飯を食べると、いつも以上にお替わりできる自分にびっくりします。
残念ながら「炎舞炊き」シリーズは海外対応タイプのものはまだないようですが、まずは「象印食堂」に行ってみたいと思いました!
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