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アレックス・ガーランド『MEN 同じ顔の男たち』ロリー・キニアがいっぱい

アレックス・ガーランド長編三作目。目の前で精神虐待的な夫を亡くしたハーパーは田舎の村で休暇を過ごすことにした。屋敷の管理人ジェフリーは若干挙動が変だが親切な人で…と思いきや、全裸の男に追い回されるし、近くの村の男たちはなんだかんだジェフリーそっくりな人しかいなくて云々。同じ顔の人間が大量に登場する映画として思い出すのは、今敏『パプリカ』の冒頭で登場する粉川刑事の悪夢だが、粉川が角張ったゴツい感じだったのに対して、本作品のジェフリー基ロリー・キニアはキモい方に寄っているので、同じ顔の男しかいないキモさにロリー・キニアのキモさも加わるのは良い。ただ、ハーパー本人が違和感を感じてないっぽいので、"本質的には同じ人間だがハーパーには違う人間として認識されている"のが正しいのだろう。ジェシー・バックリー、また『もう終わりにしよう。』みたいな映画に出てるんだなあ。基本的には男はクソというエピソードを女性を追い詰めるように重ねていくだけで、『アナイアレイション』と同じく、相変わらずの"俺の考えた世界見て!"といった感じの薄い世界観推しなのだが、まぁ確かに色味はやたらと鮮明に画像処理されているので、こんな人工的な緑色の森に対して恐怖を宿した映画は初めて見た気もする。最近のA24は『Lamb』とかこれみたいにキャプチャがバズりそうな"小綺麗な"映画を作ったり買ったりしているが、観客側からの精神分析を期待する映画はしょーもないものが多い(好きか嫌いかはそれとは別問題だが)。

・作品データ

原題:Men
上映時間:100分
監督:Alex Garland
製作:2022年(イギリス)

・評価:10点

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