桜坂。
もう7月になってしまった。
例によって、小雨の中僕はバスに飛び乗った。せっかちな僕をよそに、バスは小笹の山を越え、桜坂をゆっくりと走ってゆく。
この辺はバスがゆっくり走る道が多いが、桜坂や浄水通の景色はいつ見ても飽きない。
高そうな料亭、おしゃれなケーキ屋さんや真っ白なチャペル。
この辺に住んだら天神まですぐなのに…と、何度思ったことだろうか。
車窓をぼーっと眺めながら、雨が止むのを待っている自分がいる。
そんな事をいつも考えていると、降りるバス停にすぐ着いてしまう。
…あんなに急いでいた筈なのに。
やはり、一日の刹那にも一休みが必要だと思った。
仕事でもプライベートでも、僕たちは何かと時間に追われている。
でも、ほんのちょっとの一休みが、心のchill outになるなぁと改めて感じた。
僕たちはもっとのんびり、生きるべきである、と。
バスを降りる頃には、雨が上がっていた。
雲の切れ間から差し込む光が、ビルの窓から照り返した。
雨上がりの匂いを感じながら、僕はまた歩き出した。
あわてないあわてない、一休み一休み。
大名の空よりも、僕の心が、澄んでいた。
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