武尊スカイランを徹底解説!スカイランニング大会を楽しもう
2022年6月18(土)〜6/19(日)にかけて、群馬県片品村の花咲地区で、毎年恒例の「武尊スカイラン」が開催されました。
群馬県片品村は、関東以北の秘境地であり、6月中旬でも周囲山々の山頂付近には残雪が確認できる山深い地域です。関東唯一の特別豪雪地帯にも指定されており、圧倒的な大自然を活かした観光業と高原野菜などの農業を基幹産業としています。
そんな日本最後のフロンティアともいうべき群馬県片品村では、年間を通じて5つのトレイルランニング並びにスカイランニング大会を開催。武尊スカイランは、そんな山深い群馬県片品村で開催されている5大大会のなかのスカイランニング大会です。
今回は、2022年6月に無事開催されたスカイランニング大会「武尊スカイラン」の全貌について、徹底的に解説するので、ぜひ、2023年大会に出場する際の参考にしてください。
群馬県片品村のスカイランニング大会「武尊スカイラン」とは?
毎年6月中旬に開催されるスカイランニング大会「武尊スカイラン」とは、群馬県片品村で開催される5つの大会の1つです。
片品村では「KATASHINA MOUNTAIN SERIES(片品マウンテン・シリーズ)」と呼ばれる、群馬県を代表する名峰を舞台とした5つのトレイル・スカイランニング大会が開催されています。
1年を通じて四季折々の山の表情を楽しめる片品村には、関東最高峰の日光白根山をはじめ、群馬県・福島県・新潟県の3県にまたがる「尾瀬国立公園」などが点在。複数の日本百名山が舞台となる、5つのトレイル・スカイランニング大会に参加できます。
武尊スカイラン大会は、キッズ向けのレースや初心者向けのミニスカイレース、中級者向けのスカイレース、上級者向けのエクストリームなどのレベルに合わせた複数コースを用意。
2日間に分けて、バーティカル(垂直駆け登り)レースと周回レースを用意しているため初心者の方でも気軽に参加しやすいです。ぜひ、2023年レースよりご参加くださいませ。
なお、以下に過去の武尊スカイラン大会の様子を配信したYouTubeのURLも添付したので、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=jfoLXmSbw_0
「武尊スカイランニング」の舞台は日本百名山の上州武尊山
上州武尊山は、群馬県片品村の花咲(はなさく)地区にそびえる、標高2,158mを誇る独立峰です。主峰名は沖武尊であり、周辺には前武尊、獅子ヶ鼻山、剣ヶ峰山、中ノ岳、家ノ串山などの山々が点在し、複数のピークで形成されています。
武尊山(ほたかやま)は、長野県に位置する北アルプス連峰の一峰である穂高岳と区別するために、「上州武尊山」という呼称で親しまれている山です。
また、武尊山の山頂付近には「日本武尊(やまとたけるのみこと)」の銅像が建造されており、武尊山の名前の由来になったともされています。日本武尊が、東方遠征に訪れた際に、この地で悪事をはたらかせていた博徒などを退治して、一帯に平定をもたらしたと伝えられている伝説です。
そんな山岳信仰の場として霊山とされている山でもあり、周辺では以下のような景勝地を見ることもできます。
<武尊山の周辺で見られる景勝地>
裏見ノ滝
武尊神社
不動岩
シャクナゲ(山野草)
三ツ池
行者ころげ
大幽洞窟
など
武尊山を開山させたのは、御嶽山や八海山なども開山させたとされている「普寛行者(ふかんぎょうじゃ)」。歴史ある武尊山からは、燧ヶ岳(ひうちがたけ)や越後三山、谷川連峰、日光白根山、皇海山(すかいさん)、赤城山などの秀峰を見渡せます。
武尊山は、標高2,000m級の山のなかでも唯一、県立・国立・国定などの自然公園に指定されていない珍しい山。武尊山スカイランは、日本武尊とゆかりのある歴史の古い日本百名山を舞台に、最大走行距離25.5kmを駆け抜けるスカイレースになります。
武尊スカイランの大会コンセプト「あの稜線へ」
武尊スカイランの大会コンセプトは、「あの稜線へ」です。
武尊スカイランの舞台でもある群馬県片品村には、武尊渓谷や片品渓谷をはじめとした3つの渓谷が存在します。今回は、その1つである武尊山が創りだした「花咲(はなさく)谷」が舞台。
武尊山の標高は2,158mであり、東京スカイツリー(634m)の約4.5倍も上空が舞台となっています。日本百名山に数えられる群馬県を代表する名峰でのレースは、まさにスカイランニングの名にふさわしい大会です。
武尊山の山頂や周辺の山嶺を余すところなく使い尽くし、最大標高差1,500mのコースを周回する、「KATASHINA MOUNTAIN SERIES(片品マウンテン・シリーズ)最高峰レース」。
それが、武尊山スカイランと呼ばれるスカイランニング大会です。
本大会は、初心者向けのMINI SKYRACEや、中級者向けのHOTAKA SKYRACEとステップアップできるように複数コースを用意。
最終的にはメインコースの2,000m級の稜線を駆ける上級者向け「HOTAKA EXTREME」へチャレンジしてほしいという思いを込めて、大会コンセプトを「あの稜線へ」にしました。
「武尊スカイランニング」のスケジュール
武尊スカイランは、例年2日間に分けてバーティカル(垂直)レースと登り&下りの周回レースに分けられています。
以下は、群馬県片品村で例年開催されているスカイランニング大会、「武尊スカイラン」の2日間の日程です。
<1日目:駆け上りレース(バーティカル)>
OGUNA VERTICAL:4.0km_660mD±(初級車向け)制限時間2時間
MAEHO VK:5.5km_1,000mD±(上級者向け)制限時間4時間
<2日目:駆け上り&下りレース(周回)>
KIDS SKYRACE:1.5km_50mD±(キッズ向け)
MINI SKYRACE:12.0km_550mD±(初級者向け)制限時間6時間30分
HOTAKA SKYRACE:25.5km_1,450mD±(中級者向け)制限時間7時間
HOTAKA EXTRREME:23.0km_1,500mD±(上級者向け)制限時間8時間
群馬県片品村のスカイランニング大会「武尊スカイランニング」のコース紹介
2022年の武尊スカイランは快晴のなか、無事に開催。
中級者向けのHOTAKA SKYRACE部門(25.5km)は総勢65名。上級者向けのEXTREME部門(23.0km)は53名で行われました。
以下では、群馬県片品村が誇る花咲谷を舞台とした武尊スカイラン「HOTAKA SKYRACE部門(25.5km)」のコース走行の様子をご紹介します。
「HOTAKA SKYRACE」スタート地点
中級者向けSKYRACE(25.5km)、上級者向けEXTREME(23.0km)ともに、スタート地点は片品村にあるモンテフットボールパークです。
会場を出発してから、右手したロードを1km弱ほど下り、最初の頂上ポイントである武尊牧場スキー場キャンプ場「第1チェックポイント(約8km地点)」を目指します。
全長約1.0km弱の最初の難所を登り切ると、武尊牧場スキー場の平地が姿を現します。
参加ランナーのなかには、トレッキングポールを用意している方も多くいらっしゃいましたが、そのくらい傾斜が厳しいコースでした。
スカイランニング初心者の方は、トレッキングポールや携帯食料などを用意することで、完走率が大きく上昇するので、ぜひ万全の準備をして参加してみてください。
「HOTAKA SKYRACE」第1頂上付近:武尊牧場スキー場
武尊スカイランの中級者コースである「HTAKA SKYRACE」の最初の頂上地点である武尊牧場スキー場は、2015年に冬季国体も開催された天空に広がる平地。
6月下旬に差しかかる時期にもかかわらず、周辺の山々には残雪も確認できます。
スタートしてからは、2kmほど下り坂と平地が続きますが、以降は第1チェックポイント(CP1)の頂上地点までひたすら登りコースです。
最初の難所である武尊牧場スキー場を登り切ると、「武尊牧場キャンプ場」に到着します。周辺には、白樺やツツジが群生して、青々とした美しい景色を楽しめるほか、武尊牧場の名物であるジンギスカンも味わえるおすすめスポット。
武尊スカイランへの参加以外にも、ぜひキャンプ利用などでも検討してみてください。
武尊牧場キャンプ場の公式サイトはこちら「https://k-hotaka.jp/bokujo/」
「HOTAKA SKYRACE」第1頂上の武尊牧場スキー場・折り返し地点
上記の写真が最初の頂上地点のポイントである「CP1」です。
HOTAKA SKYRACE(25.5km)コースは、上記写真の武尊牧場スキー場の頂上地点から、手前に5kmほど下って、次の頂上地点である「オグナほたかスキー場」を目指していきます。
なお、HOTAKA SKYRUN SERIES最高峰であるEXTREMEコース(23.0km)は、上記の写真の奥地に進む道のりです。
ぜひいつの日か、大会コンセプトでもある「あの稜線へ」という想いのように、EXTREMEコースにチャレンジしてみてください!
登った分だけ下るため、第1チェックポイントを過ぎると3km〜4kmほどは下りコースが続きます。武尊スカイランに限らず、登っては下りを続けながら、コースの起伏に一喜一憂して走り抜くのがスカイランニングの醍醐味。
初心者で完走したい方は、登りコースでロスした時間を、このような下りコースで巻き返すことを意識しながら走るのがポイントです。
下りコース同様に、ロードコースも時間を稼げるポイントです。また、武尊スカイランを含む多くのスカイランニング大会は、数キロほどのロードコースを走ります。
そのため、練習方法が分からない方は、まずはロードランからスタートしてみましょう。
ロードランニングで基礎体力をつけた後は、武尊スカイランMINI SKYRACEなどの初心者向けのレースからチャレンジしてみてください。
遭難が心配な方でも、各大会には制限時間に合わせて最後尾を走ってくれる「スイーパー」と呼ばれるスタッフがパトロールしながら走ってくれるので安心です。レース中の制限時間が心配な方も、ぜひ下りやロードを意識しながら参加してみましょう!
「HOTAKA SKYRACE」第2関門への入口
武尊牧場スキー場を下り終えると、13.5km地点である第2チェックポイント(地図上:CP2)に差しかかります。CP2を通過すると、HOTAKA SKYRACEの第2の頂上「オグナほたかスキー場_頂上リフト」へとつながる林道入口が登場。
鬱蒼とした森が広がっているので、改めて気合を入れ直してリスタートです。道中には、大小さまざまな倒木や岩などがコース上に入り乱れています。
スカイランニングは、大会前の大雨の影響によっても、コース風景が毎回変化するようなレース。まったく同じ状況下のコースは1レースもなく、まさに心が躍るようなエクストリームな大会だといえるでしょう。
CP3地点の手前に立ちはだかるコースは、HOTAKA SKYRUN指折りの難所でもある、超急勾配な山肌・岩肌コースです。
林道、山道コースには、遭難防止として等間隔にイエローフラッグや蛍光色リボンなどが設置されています。走行中、目印を見かけなくなった際にはコースアウトしている可能性もあるため、一旦立ち止まってマップを見直すか、最後に見かけて目印ポイントまで来た道を戻りながらコースを確かめて、落ち着いて対策してください。
ほかの大会同様に、HOTAKA SKYRUNも万全のサポート体制で選手を徹底サポート。途中に現れるさまざまな難所でも、スタッフが安全に配慮して選手をサポートしてくれるので、果敢にチャレンジしてみてください。
CP3の超急勾配コースを駆け上がると、1km弱ほどの穏やかな林道コースが姿を現します。束の間の休息ポイントになるので、このような平地で呼吸を整えて、次の難所に備えましょう。
「HOTAKA SKYRACE」第2頂上ポイントにつづく最後の登り
ここから先、約1.5kmほどの長い長い最後の急勾配な上り坂が続きます。
疲労がいい感じに蓄積されはじめてくるCP3を通過した後に登場する、最後のにして最大の難所は2kmほどの急勾配コースです。
最後の難所に差し掛かる前には、給水ポイントも設置しています。ミネラルウォーターやスポーツドリンク、塩分タブレットなども用意しているので、しっかりとエネルギー補給してから挑んでください。
各ポイントに設置されている給水ポイントなどでしっかりと休んだり水分補給したり、呼吸を整えることで完走率も向上します。
HOTAKA SKYRACE(25.5km)コースの最後を締めくくるのは、心臓破りの超急勾配な登り坂です。
トレッキングポールを使用しても、登り切るのは非常に大変なコース。EXTREMEコースはさらに難所ポイントがあるため、まずは中級者向けのSKYRACEからチャレンジしてみましょう。
「HOTAKA SKYRACE」ゴールまでのラストスパート
HOTAKA SKYRACE(25.5km)のコースピークであるオグナほたかの最高標高は1,800m。コースピーク疲労困憊になった状態の足腰に襲い掛かるのは、ゴールまで続く約5kmの長い下り坂。
登りコースもさることながら、下りコースも足腰への負担が大きいため、転倒しないように注意して下り切ることが完走するポイントです。
ロングコースになるほど走行時間もかかるため、レインウェアやグローブ、場合によってはエマージェンシーシートなどのアイテムも忘れずに用意しましょう。
コースは大自然の山々なので、いついかなる事態が発生するのかは、明確に予測できません。遭難して救助されるまでの間を想定し、軽食や防寒着などで、安全第一でスカイランニングに参加してください。
コース途中で見ることができる、これらのスポットもスカイランニングの魅力です。
楽しみながら参加したい方は、お参りも忘れずに走ることで、マラソンとは一味違った楽しみ方が味わえます。
高低差1,450mの中級者向けのコースですが、HOTAKA SKYRUNは「KATASHINA MOUNTAIN SERIES(片品マウンテン・シリーズ)」最高峰のレースのため、難易度はやや高めです。
なお、HOTAKA SKYRACEの優勝者は2:23:56で走破。制限時間は7時間あるので、興味のある方はぜひ2023年に向けてチャレンジしてみてください。
スカイランニング大会「武尊スカイランニング」に必要なアイテム
< スカイランニングに必須のアイテム >
ウエア
ジャケット
スマートフォン
補給食水1.0L以上
保険証(コピー可)
ホイッスル
マスク
など
< スカイランニングの推奨アイテム >
レイン上下
エマージェンシーシート
ファーストエイドキット
熊鈴
ヘッドライト
地図
コンパス
ポイズンリムバー
現金
携帯トイレ
など
各大会のサイトにも詳細が記載されているので、スカイランニングに参加する場合には、必須アイテムや推奨品を忘れずに用意してください。
まとめ:群馬県片品村のスカイランニング大会を満喫したいなら「武尊スカイラン」!
武尊スカイランは、毎年6月中旬に群馬県片品村の花咲地区で2日間にわたって開催されている「片品マウンテンシリーズ」最高峰の大会です。
1日目のバーティカル、2日目の周回コース、キッズ部門にそれぞれ参加して、片品村の大自然を満喫しながら走れます。感染症対策や安全に配慮しながら、スタッフ一同が徹底してサポートしますので、安心してご参加ください。
また、武尊スカイラン以外にも片品村では複数のトレイル・スカイランニング大会を開催。関東最高峰の日光白根山を舞台にした大会や、国立公園である尾瀬の中を走る大会、厳冬期の雪山を駆け回る「スキー・マウンテニアリング」。略してSKIMO(スキーモ)と呼ばれる大会など、さまざまな大会を開催しています。
詳しくは公式サイトに掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。
https://hotaka-skyrun.com/
2023年も、武尊スカイランを開催する予定ですので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。